命はたった三十日。という帯にひかれて購入した本書。作者は「探偵!ナイトスクープ」などで活躍されていた放送作家、百田尚樹さん。『永遠の0(ゼロ)』を読んだときも衝撃だったので、今回もかなり期待していました。

 主人公は、命がわずか三十日のオオスズメバチのマリア。スズメバチの帝国で、生まれてから幼い妹たちと「偉大なる母」である女王蜂を守るため、こいもせず、子供も産まず、命を燃やし毎日戦い続ける。そのことに疑問を持たず、ただひたすら毎日に生きていた。しかし、ある日出会ったオスバチから告げられた自らの宿命、ある蝶から投げかけられた疑問によって、迷いが生まれます。しかし、その迷いを考える暇もなく三十日という日が刻々と過ぎてゆき、新たな戦いに身を投じてゆくのです。そして、三十日後・・・主人公であるが、自然界の掟の中、命を終えます。しかし、命の終え方は潔くすばらしい。最後は、著者の『永遠の0』を彷彿とさせるかの如くでした。

巻末に養老孟司さんが書かれていましたが、この物語は「たかがハチ」と切り捨てられない何かを持っていました。生きるとは、宿命とは・・・。自然界の厳しさも見せてくれた本書。生態系も学べる本書でした。