久しぶりにプロの本を読んだと感じた1冊。ある意味、エッセーなどは素人でも1編くらいだったら書けそうに感じるが、このような本は絶対に素人は書けない。フィクションだけど、世界で起こっていると思わせるような物語、文章構成。すごい。作家のプロフィールを読むと、ずいぶん昔読んだ「13階段」を書かれている。そういえばこの「13階段」は、あまりにも描写が生々しくて、読むのがつらかった覚えがある本だった。そして、今回。ジェノサイド=大量殺戮という題名のこの本も、専門的なデジタル・医学・航空学の知識が盛り込まれている。だからこそノンフィクションだと感じる。
物語は、うだつの上がらない科学者だと思っていた父の急死から送られてきたメールを受け取った大学院生 古賀研人。研人自身も創薬化学を専攻しており、毎日研究にあけくれていた。父から送られてきたメールと謎の人物からのメッセージにより難病の薬の開発に携わるようになる。一方特殊部出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病により死の淵をさまよっている息子の治療費を稼ぐために、アメリカ政府からのアフリカでの極秘依頼を引き受けていた。しかし、日本とアフリカのこの2人がある目的のためにつながりさまざまな戦争に巻き込まれていく。
題名通り、大量殺戮の様子が生々しくて、読むのがつらい場面があったが、本当にフィクションではないところにこの本の真の意図があるようにも思う。今現実にイスラム圏で同じような殺戮が繰り返され、アメリカが空爆を開始した。このままでいくと、近い将来、私たちが生き残れることはない、ということを本書は繰り返し警告している。しかし、最後の章は、涙が出そうになった。私の今年のベスト5の上位に入る2冊。
ジェノサイド(上・下)
角川文庫
高野和明著

物語は、うだつの上がらない科学者だと思っていた父の急死から送られてきたメールを受け取った大学院生 古賀研人。研人自身も創薬化学を専攻しており、毎日研究にあけくれていた。父から送られてきたメールと謎の人物からのメッセージにより難病の薬の開発に携わるようになる。一方特殊部出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病により死の淵をさまよっている息子の治療費を稼ぐために、アメリカ政府からのアフリカでの極秘依頼を引き受けていた。しかし、日本とアフリカのこの2人がある目的のためにつながりさまざまな戦争に巻き込まれていく。
題名通り、大量殺戮の様子が生々しくて、読むのがつらい場面があったが、本当にフィクションではないところにこの本の真の意図があるようにも思う。今現実にイスラム圏で同じような殺戮が繰り返され、アメリカが空爆を開始した。このままでいくと、近い将来、私たちが生き残れることはない、ということを本書は繰り返し警告している。しかし、最後の章は、涙が出そうになった。私の今年のベスト5の上位に入る2冊。
ジェノサイド(上・下)
角川文庫
高野和明著
