子供の気持ちがわからなくなったら・・・

暴れる子供が手に負えなくなったら・・・

どれもこれも私にはわからない世界。友人・知人だと付き合わないという方法はあるかもしれない、だけど、自分の子供だったら・・・

親も人間。きっと逃げたいと思うこともあるだろう、でも、逃げることができない。

「夜行観覧車」は、「観覧車」ではなく「夜行観覧車」なんだ。昼間に楽しそうに回っている観覧車ではなく、夜にぐるぐる同じところを回り続けている観覧車ということか。

物語は、市一番の高級住宅地に住むエリート一家高橋家で起きた殺人事件。向かいに住む遠藤家、昔からこの住宅地に住む小島家、そしてのこされた3人のこどもたちを追って物語は進む。特に遠藤家の真弓と娘彩花の壊れていく様が生々しい。学校内での格付けやいじめなども普通に起こっていそうなところが怖い。著者の湊さんが帯で「どこか遠い町、余所の家での出来事のようでいて、もしかしると、あなたの家で起きることかもしれません」と書いているように、あまりに身近なようだから、怖い。

昔と違う今の子供の心からの叫び、そして子供だけではなく無理している大人の内なる叫び。誰かに話できていたら、もしかしたらその最後の一歩に踏み出さずに済んだかもしれない。

 

 

夜行観覧車 

湊かなえ 

双葉文庫