南極の昭和基地からまだ1000Kmの南極ドーム基地。平均気温-57度、富士山よりも高い標高3800mの地で第38次越冬隊として8人の仲間と暮らした毎日が綴られた本書。-57度はおろかー70度と言われても皆目見当が付かない。ウイルスさえも生存していない地で、仲間といえども男性だけ9人で1年間。泣いても笑っても、気が合う、気が合わない何て言っていられない中で、著者の西村淳氏は、ごくごく普通に毎日を綴っている。
極寒の地ということを忘れるような毎日の料理は、本当においしそう。ご本人は超手抜き料理って書かれてあることもあったけど、おじさん9人分の料理をそれこそ、朝から晩まで365日作り続けるのはどんなに大変なことだったろう。(晩ごはんだけでも、時々ギブアップする私としては・・・)今日はしんどいから、気が乗らないから、何て言っていられない。
それに、外はだだっ広いけど、ドームの中は本当に狭い空間の中で、お互いコミュニケーションを取ることがどんなに大変なことか。西村さんと気があう、合わないは、文章量を見るとなんだか分かる気がした。良く登場したり、弟分とか、親友、戦友って書かれている人とそうでない人と・・・人間だからそりゃあって当然。最後の方に、西村さんは、一人一人に感謝を述べているのですが、「もうちょっと自分を出した方が良いと思うよ・・・」とか、読んでいる私もドキリとする一文があって。通常に暮らしていく中でも、いかに楽しく暮らせるか、参考になる一冊です。
最後に、「絶対に電車の中では読まない方がいいと思う。」ってあと書きに書いてあったけど・・・早く言ってよ~。笑いこらえるのを何度我慢したことか・・・。
新潮文庫
西村 淳著