脳祭り4 | カッサーノのニューロリハ〜脳卒中リハビリを考える〜

カッサーノのニューロリハ〜脳卒中リハビリを考える〜

特に回復期〜維持期にかけ、脳卒中リハビリを本気で考えていきます。私の目的は【脳卒中の方が障害をもった中でも、地域でいきいきと生活する】そのために機能改善〜生活、予防まで考えていきたいと思います。いろいろな方と情報交換ができたと思います。

こんばんわ!!脳祭りまで2か月…コメダに何回お世話になるのやら(笑)



脳祭り1をちょっと振り返り、脳を勉強してよかったことで、前回は脳や運動をシステムとして見ることが大切さを教えてくれると書きましたが、これに関連&加えて書きたいと思います




それは・・・「患者さんの世界を少しでも知る」ために神経科学の視点は大切です



僕たちセラピストは、今までの経験をもとに生きているかと思います


つまり健常者という世界の中で。。。




当たり前にコミュニケーション(言語)が成立し、自分が全てを言わなくても何となく察してくれる(共感)友人がいて、そして当たり前に自分の体が自由に動き(body image、空間認知)、転ぶ恐怖心(情動)もない。さらに自分が楽しいと思えるやりたい事(やる気)を自分の意志で選択(前頭前野)していくことができる




目の前の患者さんは、こういった当たり前の事ができなくなってしまっている…


自分たちが当たり前にできることが、患者さんではできないため、想像がしにくい…



セラピストが共感できなければ、他スタッフや家族ができるわけがない…



脳内のメカニズムやシステムを知ることで、患者さんの世界を少しでも共感する道具として神経科学は大切と考えています




患者さんによっては混沌とした、混乱した世界、初めての分けが分からない世界に放り込まれてしまったような…

口では簡単な麻痺、感覚障害、高次脳機能ですが


でもその一人称な経験は患者さん自身にしか分からず、そして言葉で表現しづらいため、他の人には伝わらない。


僕らもなんでこんな注意が悪いんだ?なんでこんな発動性が低いんだ?なんで言葉の理解が悪いんだ?

なんで学習が遅いんだ?なんでまっすぐ立てないんだ?


などなど、自分らには到底想像しても理解が及ばないような世界とは思います


だって経験していないし、想像もつきにくい



でもそんな世界で患者さんは生きている




だから少しでも、その世界を分かろうとする、患者さんは一人ではないんですよと訴えかけるor教えてあげるような存在も重要


その初めがナースであり、自分たちでもあると思います。




例えば、発動性が低い人に


「はい、やりますよー立ちましょう!!」と言うのは簡単で、もちろん外部刺激が運動を引き出すでしょう


ただ、その前に


「なんかやる気がでないんですよねー。きっと○○さんはやろうとする気持ちがあるけど、なんか体が反応しなくてやる気が出ないんじゃないでしょうか・・・?」


みたいな。


発動性が低いのは症状ですよね


発動性が低いってどんな感じなんだろうな?って想像します



脳のシステムから考えても動作には情動や注意、過去の記憶など主観的な要素も大きく影響します



だから、ただ声掛けするだけでなく、患者さんが自ら動こうとするまで待ってあげることも大切です。


毎回立ちますよーじゃなく


「今から立ちますが、○○さんのタイミングで立って見て下さい」みたく




経験的に患者さんの話を聞いても、頭で分かっているんだけど体が動かないみたいな感じで話される人もいます



だから、まずはそれをこっちは少しでも分かっていますと伝えることも大事かなと思います。


(もちろん上記の声掛けが正しいとは思っていません。あくまで自分が言うならです)





感覚障害にしても、感覚障害だから、麻痺側の管理が悪い


だからいつもしっかり声掛けしてます。


もちろんいいと思います。僕もします。



ただ、運動感覚が悪いということはどういうことかな~って想像したり、神経科学の視点から考えるだけでも、患者さんにかける言葉は違うと思います


自分らは動いたら動いた分だけ、当たり前に分かりますが、


患者さんは麻痺があって「どんだけ動かしたかもよくわからず」、感覚障害で「どんだけ動いたかも分かりません」


どの方向に(空間的)、どのタイミング(時間的)でどのくらい(量)力を出したのかよく分からないのです



とっても恐怖ですね。そりゃ体も縮こまります




そんな患者さんに、難易度の高い訓練をして、荷重が…抗重力筋が・・・働かないという前に


「この立つ訓練、怖いですよね~でもしっかり持ってますね」

「こうすると少し怖さが減りますか~?(^^)v」


・・・


なんでもいいので、患者さんの立場に合った声掛けがとても大切かなと思います




きっと、患者さんは自分目線で見てくれるセラピストだ


このわけがわからない世界を少しでも分かろうとしてくれてる、もしくは共感してくれる人がいるんだ


このセラピストともう一度頑張ってみようかな



みたく、なることを僕は信じています




まぁ精神論と言われればそれまでですが(笑)




ただ患者さん目線の声掛けは、信頼関係にもやる気にも学習にもつながります


信頼されれば、患者さんは自信をもって運動に専念できると思います







ここからは自慢になります 笑


こういうことを言えるのは自分が経験しているからでもあります



先日も、代行で入った患者さんに今までのリハビリで一番よかったと言われ、それが主任ナース→リハ科のトップに伝わり褒められました(久々にww)



もちろん革命的な治療をしたわけではないです


それにただ、この患者さんにとって自分の治療がマッチしただけですが



それでも、上記で書いたようなことには注意しました




患者さんの世界は共感することは容易ではありません。


そんな世界を少しでも想像しやすくするために、神経科学が使え


そして患者さん目線の声掛けにつながりやすくなると思っています



そして自分らが分からなければ、患者さんの家族は分からないと思います


患者さんのご家族の方で、すこし厳しめに「はい、左足から昇るっていったじゃん」みたいに・・・


普段のコミュニケーションができるからと、ズバズバっと言葉攻めをするご家族の方もいます


そのご家族は見える身体麻痺は分かるけど、言語情報で混乱する患者さんは分かりません。

病前のような声掛けをして大丈夫と思っているのかもしれません



そんな家族と患者さんをつなぐのが自分らであって、患者さんの症状を分かりやすく伝え、家族の方が理解できるような関わりが重要かと思います。


自分らが分からなければ、家族の方、患者さんに関わる方は到底分かりません。






ん~脳祭りではこっちの方が伝えたいな♪



最後まで読んで頂きありがとうございました!!