ひろ子


ひろ子も小中学校と同じ学校に通った。

色が白くて、目が細く、

風船みたいに胸が大きかった。

「天パが嫌なの」

なんていつも言っていたが、

学生時代パーマが禁止だった私達は.

毎朝"こて"と闘い、

毛先をカールさせて、

少しでも可愛らしくするのに必死だった。ひろ子は天パを活かして、

当時流行った松田聖子のような髪型にしていた。

こてを使うなと生活指導の先生に怒られていた私達が思うことはひとつだった。


だからボス的女子にも、

よくいじめられていた。

パシリにもよく使われていた。


なんだろう…

あまり好きじゃなかったのに、

いつも近くにいたような気がする。

近くにいたから、嫌いだったのか。


でも良く一緒にいた記憶がある。


いい子だったような気がする。

楽しかった覚えもある。

でもひがみっぽかったし、嫌味な女で、

私の物をよく横取りした。

私が男子と楽しく談笑して女子の塊に戻ると、楽しそうでいいねぇと言われ、

友達引き連れて、私を1人にした。


美人ではないけど、男好きするひろ子は、

私がいいなと思う男子は、

たいがいひろ子に気が合ったような気がする。


私がいいなと思った転校生の男子がいた。

彼を私は呼び出した。

彼は、

ひろ子と付き合うことになりそうだから…と言った。

君のことも良くわからないし…。

友達と上手くいきそうなの知ってて、

俺に言ってきたの?

…と。

私は何も知らなかったし、

私の気持ちをひろ子は知っていたはずだ。


嫌いなのに今でも思い出す。

嫌いな奴ほど、記憶に残る。


私が行きたいと思っていた高校を、

ひろ子が受けると聞いて私は、

同じ高校に通いたくないと思い、

ひとつランクを下げた。

中学校の卒業間近に、

梶君と付き合うとことになった。

梶君はひろ子と同じ高校を受けていた。

私の学力でも梶君と同じ高校に行けたはずなのに、「ひろ子」のせいで、

私は梶君と同じ高校に行けなかった。

自分で選んだ人生の選択の、

最初の失敗だった。