朝日新聞世論調査〈9月2、3日実施〉の結果を見て、 主語ない回答による世論調査では・・・ | NYのブログ

朝日新聞世論調査〈9月2、3日実施〉の結果を見て、 主語ない回答による世論調査では・・・

朝日新聞が世論調査を9月2、3日に実施した。

 

朝日新聞世論調査―質問と回答〈9月2、3日実施〉 [自民党総裁選2020]:朝日新聞デジタル:https://www.asahi.com/articles/ASN937CXXN93UZPS001.html?iref=pc_extlink

 

回答のいくつかを転記する。①~⑤の数字は私が付した。

 

(数字は%。小数点以下は四捨五入。丸カッコ内の数字は、7月18、19日の調査結果)

① ◆安倍首相が辞任を表明しました。あなたは、安倍首相の7年8カ月の実績をどの程度評価しますか。(択一)
 大いに評価する17
 ある程度評価する54

 あまり評価しない19
 まったく評価しない9
 その他・答えない1

② ◆安倍首相の政策の中で、あなたが評価する政策は何ですか。(択一)
 経済24
 社会保障14
 外交・安全保障30
 憲法改正5
 評価する政策はない22
 その他・答えない5

③ ◆安倍政権のもとで、あなたの政治への信頼感は高くなりましたか。低くなりましたか。それとも変わりませんか。
 高くなった18
 低くなった21
 変わらない59
 その他・答えない2

④ ◆あなたは、安倍首相は、新型コロナウイルスの感染拡大の防止にむけて、指導力を発揮してきたと思いますか。発揮してこなかったと思いますか。
 発揮してきた41
 発揮してこなかった49

 その他・答えない10

⑤ ◆あなたは、次の首相は安倍政権の路線を引き継ぐ方がよいと思いますか。引き継がない方がよいと思いますか。
 引き継ぐ方がよい45
 引き継がない方がよい42

 その他・答えない13

〈調査方法〉 コンピューターで無作為に電話番号を作成し、固定電話と携帯電話に調査員が電話をかけるRDD方式で、2日夕から3日夜にかけて全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した1028世帯から534人(回答率52%)、携帯は有権者につながった1096件のうち596人(同54%)、計1130人の有効回答を得た。

 

 

まず、私の感想、

 

日本人は自分の考えをその場の雰囲気の中で再構成して表明するところがある、いわゆる、空気を読むということである。

 

このアンケートでも、回答に迷いのようなものが見られる。テレビやSNSの情報に流されているように思え、自分の考えで答えられていない。もしくは、ぼやかした表現で、責任を回避(主体的判断を躊躇)している

 

まず、

① ◆安倍首相が辞任を表明しました。あなたは、安倍首相の7年8カ月の実績をどの程度評価しますか。(択一)
 大いに評価する17
 ある程度評価する54

 

この回答から、安倍首相の実績を71%もの人が評価している、にもかかわらず、

 

⑤ ◆あなたは、次の首相は安倍政権の路線を引き継ぐ方がよいと思いますか。引き継がない方がよいと思いますか。
 引き継ぐ方がよい45
 引き継がない方がよい42

 

この回答では、引き継ぐほうが良いと思う人は45%であり、42%のもの人が引き継がないほうが良いと答えていることから、安倍首相に実績を評価しながらも変化を期待している人たちがかなりいるということである。

 

④ ◆あなたは、安倍首相は、新型コロナウイルスの感染拡大の防止にむけて、指導力を発揮してきたと思いますか。発揮してこなかったと思いますか。
 発揮してきた41
 発揮してこなかった49

 

についても、意見が割れていて、安倍首相の実績を評価している人71%を考えると評価が少ない。

 

② ◆安倍首相の政策の中で、あなたが評価する政策は何ですか。(択一)
 経済24
 社会保障14
 外交・安全保障30
 憲法改正5
 評価する政策はない22
 その他・答えない5

 

この回答は、外交の安倍というイメージが影響していると思われ、いくつかは調べる気はないが、多くの国を訪問し、G7やG20を日本で実施したことが影響したかもしれないが、その外交の結果はほとんど出ていないことを理解しているのかと首をかしげたくなる。また、社会保障は悪化していると私は感じているし、経済政策であるアベノミクスの成果は株価が高止まりしているだけで、実質賃金やその他指標は悪くなっている。

 

③ ◆安倍政権のもとで、あなたの政治への信頼感は高くなりましたか。低くなりましたか。それとも変わりませんか。
 高くなった18
 低くなった21
 変わらない59
 その他・答えない2

 

この回答で、注目すべきは、信頼感が高くなった人と変わらない人で77%もの人に達し、①の回答で安倍首相の実績を71%もの人が評価することにほぼ合致する。

 

特に、④の回答の(信頼感は変わらない)59%と、①の回答(安倍首相の実績をある程度評価する)54%とがグレーゾーン的な回答であることから、自分の積極的な意思表示(判断)を放棄していると私は感じてしまう。

 

つまり、白黒判断を迫るべき設問であれば、もっと、結果は異なるかもしれない

 

 

 

このような世論調査の結果を受けて、私は、日本語に主語がなくても、会話がある程度成立してしまうことの影響を考えたくなる。

 

自分の意思表示ができるのは、組織の有力者の意見を知ってから、もしくは、多数派がどちらか知ってから、ってことが多く行われることは、日本の政治的決断に悪い影響を与えてきていると私は感じる。主語のない会話になれ、意思表示をぼやかすことで、結果的に、全体主義的な意思決定となっているのではと私は考える。

 

合理的に考えたら、そのような判断には至らないと思うような状況でも、有力者の発言や多数派工作による雰囲気で政治的な判断がされ、後世の検証にも十分に納得できる説明ができる判断がされなかったという、過去の歴史、特に戦前・戦中の日本から学べていないと、私は考える。

 

もちろん、国民性が一朝一夕に代わるはずもないのかもしれないが、正直に申し上げて、このような主語ない回答による世論調査では、自分の意見か空気を読んだ回答なのかが区別をつけられず、さらにグレーゾーンの回答があることから、国民の本音は測れないと私は考える

 

結果として、政治力のある人、インフルエンサー、の思い通りになる結果しか生まないことに気づいてほしいと、私は願っています。

 

最後に、政治家なら、自分の考えを主張する時ぐらいは、私という主語を入れて発言すべきではないか。主語を入れるのは、日本語としては、おかしくなることもある(格好が悪い・くどい)かもしれないが、自分の発言か他人の発言かをあいまいにすることは、安倍政権における答弁で、話題になった、“ご飯論法”と同じで、議論の根拠があいまいになると言え、責任をぼやかす、灰色の決着しか生まない。それが、結果として、多くの国民の不幸を生み出したとしても、責任を取る人が特定されないか、もしくは、身代わりとなる人が出るだけである。

 

 

追記、もへもへさんの下記ツイートに気づいたので載せておく。

 

もへもへ  @gerogeroR

反安部としては腹がたって仕方ないだろうが「評価されてるから八年近く続いた」って現実をそろそろ反安部も気がついた方がいい。 安部さんに賛否があるのは個人の思想だらか当然色々あるが「憲政史上最低とか戦後最悪」とか決めつけちゃうやつは自分の思想が絶対だと信じる傲慢なバカ。

引用ツイート

 朝日新聞(asahi shimbun)

@asahi ·

安倍政権を「評価する」が71% 朝日新聞世論調査 http://asahi.com/articles/ASN937F3RN92UZPS005.html?ref=tw_asahi…

午後0:55 · 2020年9月4日·Twitter for Android

 

931 件のリツイート 50  件の引用ツイート 3,099  件のいいね

 

このツイートに対する答えは、主体性をもって政治にかかわっている(関心を持っている)人が、安倍支持派は組織的であり、それに対し、反安倍派は組織力が見劣りすることによると私は考える。野党組織がまとまれないことからも分かるだろう。

 

安倍派(与党勢力)は、支持母体が宗教組織と考えてよく、組織的な利害と組織関係者の行動は一致しやすいし、信仰心で支持政党・支持政治家が決まってしまう。

 

反安倍派は組合組織が中心となると思われるが、雇用条件の多様化のため、組合の組織率は低下傾向と考えられる。また、産業に依存した組合(例えば、電力系)は、特定の政策で他の組合と異なる意見を持っている(例えば、原子力政策)ため、団結力が宗教組織に見劣りする。

 

後は、勝ち馬に乗るということ、すなわち、積極的に、安倍政権支持ではないが、雰囲気で自分の意見を変えてしまう人々が多いと考えてよいのではないか。

 

実際、安倍辞任後に支持率の上昇とか、次期首相としてふさわしい人が数日前のニュースでは石破茂であった(※1)のが、自民党の有力派閥(細田、麻生、竹下3派)のトップが記者会見で菅官房長官支持を表明する(※2)と、菅官房長官が次期首相としてふさわしい人のトップになる(※3)という変化からも分かるだろう。

 

(※1) 次の首相、石破氏1位34% 菅氏14%、共同通信世論調査 8/30(日) 18:42

     (https://news.yahoo.co.jp/articles/d90f538064fa79a23b2fe5b5eaf8c8c464b39428

(※2) 細田、麻生、竹下3派が菅氏支持表明 二階派参加拒む _日本経済新聞 2020/9/3 0:00

     (https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63368770S0A900C2PP8000/

(※3) 次期首相ふさわしいのは「菅氏」最多 朝日新聞世論調査 2020年9月3日 22時23分

     (https://www.asahi.com/articles/ASN9373YCN92UZPS004.html

 

 

まだ、日本では、個と集団・組織の意思の区別ができないのではないか、自分の意思(自我)を組織的な判断に合わせることが生き残り戦略としてうまくいく社会では、組織的な判断の間違いを修正できない場合は個人も一緒に地獄行ってことになるかもしれないのにね。

 

実際、個人の考えで行動しても組織的な集団の力に圧倒されがちである、だから、個人の権利を、憲法で基本的人権として保障しているのであるが、安倍派の多くがそれを否定しがちである。そのくせ、菅官房長官の“「国の基本」と位置づける「自助、共助、公助」”という発言が出てくるので、自民党って本当に頭が悪い信仰心だけの組織って私は感じてしまう。

 

ドラマ、半沢直樹の視聴率が高いが、会社の有力者でさえもその不正を突きつけられて土下座をするという状況は、安倍政権では見られなかった。それが、国民が、まだ、自民党政権が続くと感じる理由である。つまり、不正が完全に暴かれない限りは、安倍派の勝ちという悪夢が続く。この不幸を終わらせるのは、公平、公正、公明であるかを公僕である政治家に問い詰められるメディアが必要である。しかし、そのメディアも広告で成り立っている場合が多く、世論の後押しがないと動きづらいってことも気づいてほしいと私は思っている。

 

この状況を変えるためには、多くの人が自我に目覚めること(組織的な意思とは別に自分の意思を自分で感じ取れること)、そして、その個の意見を、勇気をもって発信していくことしかないだろうと私は思って書いています。