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太平洋戦争の終結から十五日で六十九年。「東京大空襲・戦災資料センター」(江東区)で資料の整理に携わる一 方、傷痍(しょうい)軍人の研究も進める大学院生、松田英里(えり)さん(29)=写真、国立市=は「上の世代が生きてきた重みを引き受け、次代への橋渡 しをしなくては」と語った。

 松田さんは月二回ほどアルバイトとして、センターに寄せられた戦災資料の確認作業を担当している。寄贈者の名前や資料名、誰がいつ作ったかを調べ、封筒に記入して保管する。資料のデータは、後で検索できるようパソコンで入力する。

 二〇〇二年の開館以降、空襲で亡くなった人の遺品や当時の写真、当時使われたお金など三千点近い資料が集まっている。寄贈は高齢者からが多い。

 「寄贈者たちは自分の戦争体験を引き継ぎ、平和に生かしてほしいと考えているのでは」。資料の保管は人々が戦争を知るための第一歩と考え、自分の役割を「次の世代に彼らの思いをつなぐこと」と感じている。

 松田さんは山形県天童市出身。両親は共働きで、祖父母が世話してくれた。終戦前、海軍上等兵曹だった祖父はフィリピン近くの海上で、乗っていた船が攻撃を受け、三日三晩波間をさまよった。二百人ほどの船員が次々と力尽きていった。

 話を聴いたのは中学二年の時。祖父はまもなく七十八歳で他界した。「『今伝えなければ』と鬼気迫る顔つきだった」。私に覚えていてほしかったのだろう、と受け止めた。

 松田さんは東京学芸大に進んで歴史学 を専攻し、一橋大の大学院 では傷痍軍人を研究テーマに選んだ。傷痍軍人は後遺症 のある体で畑仕事ができず路頭 に迷ったり、恩給が打ち切られて生活が困窮したりした。「彼らの生きた意味を考えること。それが祖父母世代への恩返 しになるのでは」

 安倍政権は集団的自衛権 の行使容認に突き進み、戦後 のあり方を変えようとしている。「戦争では誰かが誰かを傷つけ、殺す。その傷は死ぬまでとれな い。リアリティーをもって想像するべきなのに、きれいごとで議論が進んでいないか」。体験者が減り、戦争の記憶が風化することを強く危惧している。 (杉 戸祐子)