栄養整形医学実践医の今日の独り言です。

 

50代の女性が腰痛で来院しました。

 

普段運動歴がなく、

前日に風呂掃除を一所懸命にやっただけでした。

 

椅子から立ち上がったり、

逆に椅子に座る時にも腰痛があり、

お辞儀をするのも困難で、

腰を反らすこともできない状態でした。

 

ほぼ ”ぎっくり腰” の状態でした。

 

普通の整形外科であれば、

コルセットを処方し、

薬と湿布を処方して、

安静を支持し、

 

「お大事に」

 

と、声をかけるくらいです。

 

私も以前はそのようにしていました。

 

しかし、

今は違います。

 

患者さんは、

腰が痛くて、

痛みを何とかして欲しくて、

整形外科クリニックに来たのです。

 

クリニックに来たからには、

その患者さんの痛みを何とかとってあげたい、

いつもそう思っていました。

 

そんな治療方法があれば

是が非でも習得したいと思っていました。

 

そしたら、

そんな治療法があったんです。

 

その方法が、

PAPT(Parietal Acupoint Therapy) です。

 

鍼灸用の鍼を、

頭にあるツボに打つ治療法です。

 

年に何回も学びに行って、

遂に昨年PAPT認定医の資格を取りました。

 

ぎっくり腰の治療には、

希望された患者さんにはPAPT治療を行っています。

 

今回の50代の患者さんも、

『痛みが取れるならお願いしたい』

とのことでPAPT治療を行いました。

 

患者さんに椅子に座ってもらって、

まずは両手をとってある反応を確認します。

 

その時、患者さんは、’ある痛み’ を感じます。

 

そして、

頭にある腰のツボに刺鍼して行きます。

 

1本、2本、3本、4本、5本。

 

刺鍼後また両手をとって反応が消えているのを確認します。

 

ここで患者さんは、

1回目の ”えっ?何で?” を感じます。

 

最初に両手を取られたときに感じた、

’ある痛み’ がなくなっているのに気付くからです。

 

そこで患者さんに立ってもらうように促します。

 

患者さんは、

椅子から立ち上がるときに腰が痛くなっていたので、

恐る恐る立ち上がります。

 

すると、2回目の ”えっ?何でですか?” を感じます。

 

立ち上がった時の痛みがないからです。

 

さらに、

お辞儀をしても、

腰を後ろに反っても、

痛みが取れていることに気づきます。

 

鍼を刺される前まであった腰痛を

感じなくなった患者さんは患者さんは狐に摘まれたような顔で

 

『えっ?何でですか?』と笑顔になります。

 

これがPAPT治療です。

 

他には、

寝違えて首が回らなくなった患者さん、

薬を飲んでいるのに膝や肩や臀部が痛む患者さん、

リハビリを受けているのに肩こりが治らない患者さん、

などにもPAPT治療は効果があることを経験しています。

 

PAPT治療を学んで、

私の痛みの治療が大きく変わりました。

 

実は今日、

こんな患者さんが来院しました。

 

変形性股関節症で右の股関節と臀部の痛みのために

鍼を打ってほしいと来院した77歳の女性です。

 

ホームページにも掲載していないのに、

初診で鍼治療を希望されたので理由を聞くと、

 

『私の通っている美容院のお客さまが、

先生のところで頭に鍼を打ってもらって良くなったと聞いたから、

行ってみたらどうですかと美容師さんが教えてくれたので来ました。』

とのことでした。

 

話を聞いて、

PAPT治療をしたところ、

右臀部の痛みと股関節の痛みが軽くなって、

歩くのが楽になったと喜んでくださいました。

 

PAPTの認定医になって本当に良かったと思いました。

 

整形外科医でPAPT認定医になったのは、

今のところ日本で私一人ですが、

是非全国の整形外科医にこの治療法を知ってほしいと思っています。

 

PAPT治療の良いところは、

鍼を頭に打つので、

鍼を打ったまま動けるということです。

 

クリニックのスタッフが寝違えて首が回らなかった時にも、

PAPT治療を施し、

頭に鍼が刺さったまま仕事をしていました。

 

患者さんの体に備わっている、

自分で自分を治すシステムを動かすのが

このPAPT治療だと思います。

 

薬と違って副作用のない痛みの新しい治療法、

PAPT治療をもっと広めて行きたいと思います。

 

では、また。

 

今日も書籍を紹介します。