栄養整形医学実践医の2024年最初の独り言です。
私が2017年に書いたブログがあります。
そのブログで
私が
"人工サプリ"
として紹介した
"グリシンでキレートされた鉄のサプリ"
の話をするのですが、
グリシンキレート鉄を摂取している方には
特に知っておいて欲しい内容になると思います。
グリシンキレート鉄サプリは、
Bisglycinate,
Bisglycine,
Ferro・・l,
と表示があるサプリメントになります。
グリシンキレート鉄は
日本では作っていないため、
すべてが海外産のサプリになります。
鉄剤や、
ヘム鉄は、
小腸にある鉄専用の入り口から吸収され、
毒性のある鉄が毒にならないように
安全に管理されながら
身体に利用されます。
しかも、
この鉄の入り口(ゲート、門)は、
鉄を取り入れてはいけない時には
ちゃんと閉鎖されるので、
毒性を持つ鉄が身体の中で増え過ぎたら、
入り口が閉まって
身体は鉄を吸収しなくなります。
しかし、
グリシンキレート鉄は、
ヒトが本来準備しているゲートからではなく、
アミノ酸であるグリシンとして、
グリシン専用入り口から、
わざわざATPというエネルギーを使ってまで、
どんどん入って行ってしまいます。
つまり、
吸収が抜群にいいのです。
しかし、
限度なく入ってくるので、
歯止めが効かないのです。
だから、
身体が鉄を取り入れたくなくても、
勝手に鉄がどんどん入って来ちゃいます。
毒性を持つ鉄が、
歯止めなく身体に入ってきたら、
何か悪い事が起こるかも知れない。
2017年に書いたブログでも、
何か悪いことが起きなければいいな、
という思いで書いてありました。
グリシンキレート鉄は、
つまり、
ヒトの身体が制御できない、
ヤバイサプリメントだからです。
私の経験では、
あるブログを読んだお母さんが、
グリシンキレート鉄を
自分の息子に飲ませており、
『息子のフェリチンを測って欲しい』
と、息子を連れて来て、
後日、
フェリチンの値を見たら
軽く100を超えていましたが、
何故かヘモグロビンは低く、
見方を変えてみたら、
息子さんの身体は鉄過剰の状態になっていました。
お母さんに、
"フェリチンだけ高くなっていますが、
貧血は治っておらず、
むしろ身体は鉄過剰になっているので、
グリシンキレート鉄を
息子さんに飲ませるのをやめて、
数ヶ月後にまた採血しましょう"
と、説明しましたが、
その後、
その親子が来院することはありませんでした。
息子さんがその後どうなったか心配ですが、
フェリチンの値が高いことだけで、
お母さんが満足気な顔をしていた事の方が
心配であり、
怖さを感じたのを忘れられません。
相変わらず、
海外サプリが買えるiH...では、
グリシンキレート鉄が売れているようで、
なんとも言えない気持ちです。
何故、
今日こんなブログを書いたかと言うと、
ついに
グリシンキレート鉄の長期摂取で、
健康被害が報告されたからです。
その方は、
10代の方。
母親が
グリシンキレート鉄をその方に飲ませていて、
体調が悪くなり、
よく調べたら4桁を超えるフェリチン値、
肝臓に鉄が溜まり、
鉄過剰の状態がわかり、
瀉血療法が必要になった、
というものです。
おまけに、
そのお母さんが、
自分の子供に起こった事で、
自身もグリシンキレート鉄を飲んでいたので
心配になり検査をしたら、
やはりフェリチン値が高く、
鉄過剰症になっており、
自身も治療を行なっている、
ということでした。
鉄欠乏症の治療がうまくいくと、
まず自覚症状がよくなり、
ヘモグロビンが上がってきて、
MCV,MCHCの値がよくなり、
最後にフェリチン値が上がってきます。
いきなりフェリチンだけが上がって来ることは、
鉄の体内利用を考えたら、
まずないことなのですが、
ある影響力が大きいブログで、
"フェリチン値がすぐに上がる事がいい"
からと言って、
グリシンキレート鉄を勧めた事によって、
何も検査しないで
グリシンキレート鉄を買って
自分で飲んだり、
家族に飲ませたり、
そんな方々が沢山いるので、
凄く心配していたのですが、
やはり心配事が現実になってしまいました。
だから皆さん、
鉄はヒトが本来備えている、
正しい入り口から体内に入れてあげて下さい。
正しい入り口を使っていれば、
鉄過剰には絶対になりません。
グリシンキレート鉄を飲んでいて、
定期的な血液検査モニターをしていない方は、
必ず検査を行なって下さい。
身体を良くしたいために、
わざわざお金を払って摂取しているサプリに、
健康を害されるなんて本末転倒です。
いいサプリメントならば、
日本のメーカーが作っていない訳ない!
そう思いませんか?
日本で作っていないサプリを、
わざわざ外国から買って、
身体を壊して、
高い医療費を払うことになってはいけません。
今年最初の独り言は辛辣なものになりましたが、
黙っていられなかったので一気に書きました。
わたしの書籍も紹介して、
今日はこの辺にしたいと思います。
では、また。