栄養整形医学実践医の今日の独り言です。

 

まだ20代の大学生達に起こっている

異常事態のお話です。

 

コロナ禍の中、

 

大学の講義や実習が対面で行われなくなり、

オンライン講義となりました。

 

部活動やサークル活動も自粛となり、

アルバイトさえも自粛。

 

アルバイトで生計を立てながら学業に勤しんでいた学生には

大変厳しい期間となりました。

 

最近ようやく

大学での対面講義や実習が再開され始めました。

 

そんな時期に合わせて、

整形外科では異変が起こっています。

 

先月は急に右膝が痛くて歩けないという女子学生、

今月は急に左膝が痛くて歩けないという男子学生。

 

そんな大学生が急増しています。

 

女子学生は運動部に所属しており、

コロナ禍で部活動、学生大会が自粛で中止となり、

オンライン講義を自宅で受けるようになったそうです。

 

アルバイトも自粛ですることも無くなってしまったため、

ゲーム機を購入し友達と一緒にオンラインゲームで過ごしていたようです。

 

この春先から大学の対面講義が始まって、

数年ぶりに電車通学をし、

部活は体を慣らす程度に参加していたとのこと。

 

そんな時、

ある朝起きたら右膝が曲げ伸ばしできなくて、

歩けないほど痛くなったため当院を受診したそうです。

 

さて、男子学生はというと、

やはり同じような生活を送っていたようです。

 

コロナ禍でテニス部の活動が自粛になり、

やはり春先まで自宅でオンライン講義を受けており、

 

最近ようやく外出するようになったら

時々左膝痛が出るようになったそうです。

 

左膝痛が出てもすぐに治っていたのに、

大学に行ったある日の夜に痛みが強くなって

左膝が曲げられなくなったと言います。

 

その翌日に当院を受診。

 

診察室には杖をついて

左足を引きずって入ってきました。

 

二人の学生の膝のレントゲン写真では

骨に異常はありません。

 

しかし、

ある共通点がありました。

 

二人とも痛みのある側の太腿の筋肉が細くなっていました。

大腿四頭筋の筋萎縮です。

 

元々運動部だったのに部活動の自粛で、

この3年弱の間運動をしない生活を送っていました。

 

さらに、

バイトも自粛で、

自宅で過ごしていたためほとんど外出しなかったため、

外に出て長い距離を歩くこともしていませんでした。

 

そのため、

大腿四頭筋の萎縮をきたし、

筋力低下を起こしていたため、

まともに長い距離を歩けない脚になっていたのです。

 

また、

注目すべきは食生活も変化したということです。

 

女子学生はオンラインゲームをする時間が増えたために、

食事がカップ麺やパンやおにぎりなどに変わり、

体重は減ったのに体脂肪が増えたということが問診でわかりました。

 

運動していた時には摂取していたプロテインを

その時には摂取しておらず、

ゲームしながら食べられる糖質中心になったのが原因です。

 

男子学生も自宅で過ごすことが多くなって、

お菓子などの間食が増えていたと言います。

 

運動習慣を失い、

食生活が変化してタンパク質摂取量が減ったことで、

普段使っていた筋肉が使われなくなって衰えていったのです。

 

女子学生の右膝痛は内側にあり、

痛い部分を押すと激痛を訴えました。

 

男子学生の左膝痛は膝のお皿の上側にあり、

左膝を曲げて踏ん張ろうとすると激痛がありました。

 

女子学生の膝の痛みは鵞足炎(がそくえん)で、

男子学生の痛みは大腿四頭筋腱付着部炎(ジャンパー膝)でした。

 

女子学生の膝痛は強かったので

痛み止めの注射を打ちました。

 

男子学生の膝痛にはギプスシーネをして

左膝が曲がらないで歩けるようにしました。

 

本来ならば、

こんな痛みで整形外科には来るはずのなかった二人。

 

びっくりするような異常事態です。

 

コロナ禍がもたらしたもの、

それは、

普段元気な人から運動習慣を奪い、

食生活を変化させて、

運動器疾患を増やしました。

 

女子学生にも、

男子学生にも、

普段の生活を普通に取り戻すようにアドバイスをしました。

 

食生活を元に戻し、

本来あまり家にはいないような当たり前の生活を送り、

またバイトや部活動を再開して、

失った3年弱の学生生活を取り戻してねとアドバイスしました。

 

コロナ禍で今回の二人と同じような生活を強いられた患者さんは

私のクリニックでもたくさんいます。

 

高齢の患者さんもやはり膝痛、腰痛などが悪くなっている方が多く、

最近になってようやくクリニックに来院するようになってきました。

 

コロナ禍で私が学んだことは、

運動と食事の大切さです。

 

この二人のような生活を送っていた方、

まず簡単にできる運動を始めて、

なるべくタンパク質を意識した食生活をしてはしいと思います。

 

筋肉が落ちると

認知機能にも影響すると言われています。

 

猛暑で熱中症にも注意しながら、

運動習慣と食事内容を見直していただけたら嬉しいです。

 

では、また。

 

ゴムバンド(サンクトバンド)を使った自宅でできる簡単筋トレ解説もある

著書も是非読んでほしいです。リンク貼っておきます。