栄養整形医学実践医の今日の独り言です。

 

世の中に広まって来た

栄養療法の誤解を解くための

私の考えを綴っていくblog②です。

 

多くの人が栄養療法を知るきっかけは、

おそらくこんな感じではないでしょうか。

 

心身の不調がある

→①病院では異常なしまたは治療でも改善なし

→②自分で解決策を探す

→③書籍、ネットで栄養療法を知る

→④情報を頼りにサプリメント摂取

→⑤何らかの体調変化が起こる

→⑥その体験を発信

→⑦その発信を誰かが受け取る

→⑧栄養療法が広まる

 

今日は

『②自分で解決策を探す』

から

『⑧栄養療法が広まる』

までについての話を書いてみます。

 

医師が

栄養療法を学んでいるか、

または栄養療法を実践しているか、

このどちらか出ないと、

 

病院に通院していても

栄養療法の情報にはまず出会えません。

 

通院していても体調不良が改善しないと気づくと、

本屋に行って書籍を探したり、

ネットで似た症状の解決策を検索すると思います。

 

情報を病院以外のところに求めるのは、

自分が良くなりたいなら、

または家族を良くしたいならば

当たり前の行動だと思います。

 

しかし、

ここで問題が出てくるのだと思います。

 

なぜなら、

あまりにも情報が多いからです。

 

最初にどんな書籍を読んだか、

あるいは

最初にどんなネット情報に出会ったか、

 

そして、

 

そこを足掛かりにして

どのような情報を手にしていくのかで、

 

自分が進むべき方向が決まってくるからです。

 

blog①でも書きましたが、

 

似たような症状でも原因は異なり、

どこから手をつけていくのかは一人一人違うので、

 

検査なしで栄養療法を始めるのは

ある意味で博打になります。

 

書籍やネット情報だけで良くなれば、

それは本当にラッキーだと思います。

 

ネット情報の中には、

ある検査項目の数値を出して

”○○は△△mg/dlになるのが理想”

と断言しているものがありますが、

 

人には個人差があるため

全ての人に当てはまる訳ではなく、

 

人によっては

その数値を目標に頑張ってしまい、

 

かえって

体調不良に陥ってしまう可能性もあります。

 

でも、

読者が多く、

”いいね”が多い、

影響力の強い人物が発信したものは、

 

いくら本人が ”理想です” と書いても、

 

多くの読者はその人物が

”○○は△△mg/dlにしなさいと言っている!”

と思ってしまいます。

 

そして、

そのようにネットで発信してしまいます。

 

栄養療法について語る時、

具体的な数字を載せるのは本当に怖く、

私はblogではほとんど数値を載せていません。

 

自分の数値がいくつになろうが、

それはその人の個人の身体の情報であり、

 

他の人には当てはまらない可能性もあるので

好ましくない情報発信だと思うからです。

 

特に血液検査の数値発信はいけないと思います。

 

血液検査データは、

検査したときの一瞬の情報であり、

検査前にどんなことをしたか、

検査前にどんなものを食べていたか、

などで変わってきます。

 

血液検査データは、

子供の頃に遊んだ『だるまさんが転んだ』で説明すると、

鬼が”だるまさんが転んだ”と言って振り返った時の

子供が動かないでじっとしている、

そんな場面を見ているようなものです。

 

鬼が背を向けていたときに、

それぞれの子供がどのように動いていたかは

振り返った時には正確にはわかりません。

 

あいつはこう動いていたんだろうな、

こいつは次にこういう行動をするかもしれないな、

それぞれの子供を見て鬼は展開を予測するのです。

 

子供は血液検査で言えば、

それぞれの検査項目です。

 

検査の値は

”こんなことが起こっているかもしれないな”

という評価にはなるのですが、

たくさんの項目を同時に見ていかないと

その予想の精度はかなり低くなります。

 

だから、

ある項目だけに着目して、

”その数値をいくつにすればいい”

という見方は大変に危険だと思います。

 

私は恐ろしくて、

そんなことは絶対にblogで書けません。

 

発信者として

責任が持てないからです。

 

自分で見つけた情報を頼りに、

食事を変えてみるのは一番安全だと思います。

 

しかし、

情報を頼りに沢山のサプリメントを摂取するのは

安全性に欠けると思っています。

 

沢山のサプリメントを

いきなり飲める人と

そうでない人もいるからです。

 

サプリメントの摂取量も、

”□□を✖️✖️g摂ればいい”

とのコメントもありますが、

 

体調の悪い方はそもそも初めから

その量を摂れない方がいます。

 

サプリメントを最初に摂取する量にも

個人差があるため、

 

必ず指導を受けてから

摂取するべきだと思います。

 

栄養療法に出会ったならば、

まずは適切な検査を受けて、

自分の身体で何が起こっているのかを理解して、

本当に必要なサプリメントだけを摂取すべきです。

 

そう、

まず何よりもスタートが肝心なのです。

 

私のクリニックには

栄養療法の検査を希望して来る方がいます。

 

私が驚いているのは、

”栄養療法を始めたいから”検査に来る方よりも、

 

既にサプリメントを自分で買って飲んでいて

”自分の体がどうなっているのかを知りたくて”

検査を希望して来る方が多いことです。

 

前者は治療のために検査を受けに来て、

その後も定期的に検査を受けて、

しっかりと”栄養療法”を行っているのですが、

 

後者は一度だけ来て検査結果を聞いて

その後来院することはなく、

”栄養療法”を受ける気がありません。

 

栄養療法は、

決してサプリメントを沢山摂ることではありません。

 

最初は沢山のサプリメントが必要でも、

治療によって摂取量が減っていくものです。

 

もしあなたの摂るサプリメントの数や量が

逆にどんどん増えていっているのであれば、

 

または

 

何ヶ月もまたは何年も

同じ量を摂取しているのあれば、

 

果たしてそのままでいいのか

一度冷静に考えてみるといいと思います。

 

飲んでいるサプリメントそのものが効いていないか、

または

サプリメントが効かない身体なのかもしれません。

 

栄養療法とは何か?

 

検査を基に

悪いものを体に入れないように、

いいものを体に入れるように、

食事を変えて、

 

検査をしながら

基本の栄養状態を整えて、

 

同時に検査で炎症に気を配りながら

 

検査しながら

腸内環境を整えて、

 

検査によって

身体の状態を把握しながら

必要なサプリメントを適量摂取して、

 

検査によって

解毒の必要性を把握してからデトックスして、

 

検査をしながら

体調を整えていくものです。

 

検査をしないで

サプリメントを沢山飲んで

検査もしないで

乳酸菌をガバガバ入れて

検査をしないで

デトックスに取り組む

そのような

”偽の栄養療法”が広がっている事を

私は心配しています。

 

また栄養療法の基礎には

身体にとって基本になり、かつ重要な

メチレーションという考えが必要になるのですが、

 

残念ながら

これが今の栄養療法に十分に考慮されていません。

 

これからの栄養療法は

メチレーションを意識した検査を主体に

進められていくものと思われます。

 

私は、

真剣に栄養療法を実践していきたい、

と思っているので、

 

今日は気合を入れて、

栄養療法の誤解を解くために

書かせてもらいました。

 

では、また。