栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

血液検査の結果説明を聞いていた70代女性が、

「先生、私、ビタミンDを飲んでるのに、
   なぜビタミンD欠乏なの?」

と不思議そうに聞いてきました。

「今飲んでるビタミンDは、
          意味が無いの?」

『血液検査のビタミンDは、
" 25OHビタミンD " といって
      自然のビタミンDなんです。
私が処方して今飲んでもらっているのは、
" 活性型ビタミンD製剤 " といって
      薬のビタミンDなんです。
25OHビタミンDが身体の中で
活性型ビタミンDに変わるから、
今回の血液検査で不足と出たのは
25OHビタミンDが足りないという事です。

25OHビタミンDは
本来食べ物から摂るものですが、
日本人は殆どの人が不足しています。
なぜなら、
食事からでは充分に摂れないからです。
だから、
ビタミンDは
サプリメントで摂取した方がいいんです。』

「お薬じゃ、ダメなの?」

『ダメじゃ無いんだけど、
本来ならビタミンDは必要な時に
身体の中で活性型に変わるんですけど、
お薬のビタミンDは初めから活性型だから
毎日飲んでいると余って来て、
増えすぎると副作用が出たりします。

天然のビタミンDは貯蔵できるから
必要とされた時に、
必要とされた場所で、
必要なだけ活性型に変わるんです。

ビタミンDは骨を丈夫にするだけじゃなく、
粘膜を丈夫にして花粉症を防いだり、
風邪をひきにくくしたり、
インフルエンザにかかりにくくしたり、
免疫にもいい働きかけをしたり、
妊娠しやすくしたり、
血糖値の調整をしたりと、
とにかく大事なんですが、
これはお薬のビタミンDの効果ではなくて、
天然の25OHビタミンDの働きなんです。

摂るならば
天然の25OHビタミンDの方がいいのですが、
お薬ではなくサプリメントになるので
健康保険はききません。

ビタミンDといっても、
同じじゃないのです。

ちなみに私は
サプリメントで摂っています。』

「じゃあ私も先生と同じのにしたい。」

『ではこれを1日一粒飲んでください。』

「1日一粒でちゃんと足りるのね。
次の検査はどれくらいにしたらいいの?」

『3〜4ヶ月したら
25OHビタミンDの血中濃度を測ります。
でも次の採血は保険が使えません。
健康保険では骨粗鬆症の病名では、一回しか測れないからです。』

「わかりました。大丈夫です。
今度の検査が今から楽しみだわ。
先生、いつもありがとう。」

こんな患者さんは滅多にいませんが、
本来はこれがまともな医療だと思います。

医師である以上、
患者さんにしっかりと説明して、
'自分の口から入れるもの'
つまりは、
薬かサプリメントかを
患者さんに決めてもらうのは、
当たり前の事だと思います。

実際にはなかなか
サプリメントを摂るという方は少なく、
そんな方にビタミンDを摂る方法として
"シラスを毎日1日2パック食べて下さい"
と言っています。

私も毎日シラスを2パック食べるなんて
無理なので、
サプリメントを摂っています。

身体は天然ビタミンDを欲しているのに
ヒトは人工ビタミンDを希望する。

医師として、
そんなギャップの日々を送るのが辛い
と思う今日この頃です。

ビタミンDの話は、
書籍にも書いていますので是非!

では、また!