栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

8月は大変暑い日が続きました。

猛暑になると、

リハビリに来るだけで
熱中症になることもあるため、

私のクリニックの患者さん達は
パタッと来院しなくなります。

少し涼しさが感じられるようになると、

患者さん達はようやくクリニックに
来院するようになります。

少し涼しくなったこの時期に
血液検査や骨密度の検査をすると、

血液や骨が夏の過酷さを教えてくれます。

つまり、
血液検査や骨密度から
夏バテしていることがわかるのです。

暑いと食欲が落ちて、
肉や魚なんか食べたくなくなり、

サッパリしたものを食べてしまいます。

ソーメンやお蕎麦、
トマトやスイカ、
アイスや甘味。

タンパク質は
せいぜい納豆やお豆腐。

また、
涼しくなると
美味しい果物がスーパーに並びます。

例えば、
今ならブドウ。

旬のシャインマスカットは
程よい甘さで何粒でも食べられます。

こんな時期に患者さんの血液検査をすると、
皆ほぼ同じ傾向が見られます。

タンパク質の摂取不足と
糖質の過剰摂取。

この時期の
診察室でのお決まりのやり取りは、

"◯◯さん、
         ちょっと糖分摂り過ぎましたね。"

『先生に言われてから糖分は食べてません。
ご飯もパンも麺も少しだし、
                          夜はご飯を食べません。』
"じゃあ、
         なんで中性脂肪が高いのかな?
                                        アルコールは?"
『飲みません。』

"じゃあ、お芋とか?"

『食べません!』

"じゃあ、果物は?"

『果物は、毎日食べてます。
              だって、今美味しいじゃない。』

"あと、トマトは?"

『トマトも毎日食べてます。
           家庭菜園で毎日取れるから。』

"犯人は果物とトマトだなー。"

『えっ?
       先生、トマトって、ダメなの?』

"トマトって昔と違って、甘いでしょ。
糖度が高いから、
       トマトはもう野菜じゃなくて
                      果物と同じと考えて下さい。
私はチェリートマトなら
                    1日3粒までにしています。"

『あら、そうなのね。』

そして、
そんな患者さんの骨密度の結果ですが、

春先の検査では上がっていた骨密度が
なんと下がっています。

結果説明のやり取りは、

"今回、骨密度が減ってますねー。
夏バテですね。
あまりお肉は食べませんでしたか?
タンパク質を食べられなかったので、
骨も痩せちゃっていますね。"

『暑くてサッパリしたものが多くて、
お肉はあまり食べなかったです。』

"骨はタンパク質でできているから、
お肉を食べないとこんな風に
                骨密度が減ってしまうんです。
涼しくなったから、
                    またお肉を食べて下さいね。
あと、
美味しい果物ばかり食べていると、
                       骨が弱ってしまいますよ。

果物って凄く中性脂肪を上げるんです。 

秋になると熊が果物を沢山食べますが、
あれは冬眠するために
                             脂肪を蓄えるためで、
冬眠をしない私達は
           あまり果物を食べる必要は
                                        無いんですよ。
◯◯さんは、
                  冬眠しないでしょ?"

『・・・そうねー。

    また頑張ってお肉食べます。

でも、、、
              これから美味しい果物が
                                 出てくるのよねー。』

はい、
その通りなんですけど。

でも、

私が子供の頃、
今のように甘くて美味しい果物って
凄く少なかったのですが、

今は子供も大人も
おじいちゃんもおばあちゃんも

ほぼ一年中、
甘いトマトや果物を食べられます。

それって、
いい事なのでしょうか?


甘さが脳に偽りの幸せをもたらし、
その幸せを求めてヒトは甘いものを食べて、
知らないうちに壊れていってしまいます。

ヒトは
味のしない不味いタンパク質より、
甘くて美味しい糖質を求めてしまいます。

果物は今後も品種改良されて、
更に私達の脳を刺激して来るでしょう。

毎年、毎年、
甘くて美味しい果物を食べ続けていれば、

骨粗鬆症になる頃の骨は
更にボロボロになってしまうと思います。

冬に食べる温かい料理は
鍋やしゃぶしゃぶなどタンパク質が豊富、

夏に食べるサッパリした料理は
冷やし中華やソーメンなど糖質が多目。

だから、
猛暑になると
タンパク質の摂取量が減り、
その結果、
骨密度が減ってしまうんです。

毎年夏バテするヒトは夏に食欲が落ちて、
タンパク質を食べられないため
秋の骨密度検査では骨密度が減り、

食欲が増す秋から冬には
タンパク質が食べられるようになるため、
春の骨密度検査では骨密度が増えます。

ある意味で骨密度は
その人の栄養状態も反映しているのです。

今日は猛暑と骨密度の関係に
フォーカスしてみました。

骨密度も栄養整形医学的に考えると、
治療のアプローチの仕方に幅が出る、

そう思っているのは私だけでしょうか?

骨といえば、この書籍。
では、また!