栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

今日はコラーゲン分子の紐を束ねて
コラーゲン繊維を作るのに必要な
架橋の話をします。 

まずはおさらいから。

(vit-c.jpから引用)

上の図は今まで話してきた
コラーゲンの生成の様子が
よくまとまっていたので引用しました。

更に下の図、

コラーゲンの紐が3つ束ねられていて、
繋がれている様子、

そして、
架橋によってコラーゲン繊維は強くなり、
しなやかな動きをするのがよくわかります。

(horoyoikagen.blog120.fc2.comより引用)

今日はこの架橋の話をしていきます。

前回、
健康なコラーゲン繊維と
劣化したコラーゲン繊維の話をしました。

その違いは、
実はコラーゲンの架橋に関係があります。

下の図を見て下さい。
" 架橋には2タイプある"  となっています。

コラーゲン繊維同士を橋渡ししている
緑の架橋が善玉架橋、
茶色の架橋が悪玉架橋
です。

緑の善玉架橋は細胞が作った架橋、
茶色の悪玉はそれが錆びた状態です。

架橋が錆びればコラーゲン繊維には
しなりがなくなり、硬くなります。

骨ならば折れやすくなり、
腱ならば切れやすくなります。

ではなぜ架橋が錆びてしまうのか?

そうです。
酸化と糖化です。

架橋が錆びる原因は、
酸化ストレスと糖化ストレスによります。

酸化ストレスとは、
過度な運動、飲酒、喫煙などで生じる
活性酸素に晒されて起こります。

糖化ストレスとは、
過剰な糖質摂取で生じる
高血糖状態に晒されて起こります。

その様子がわかる
リアルな感じの図も見つけました。

細胞が緑色の酵素を出して作った
緑の善玉架橋が、

紫色の活性酸素や
赤色の糖の暴露によって
茶色の悪玉架橋に変わっていく様子です。

怖くないですか?

この糖化反応は、
血糖ピークを作ると起こり易いとの事。

血糖ピークとは、
食物繊維を含まない糖質を
単独で摂ると起こり易いのです。

私の古〜いblog記事にある
白い悪魔達のことです。

精製された白い糖質3つ。

砂糖、
小麦粉、
白米(米粉)。

これらを含む食べ物も同じです。

飴、
ジュース、
アイスクリーム、
精製飲料水、
チョコレート、
お菓子、
クッキー、
ケーキ、
おにぎり、
トースト、
麺類、

大変困ったことに
美味しいものばかりなんです。

更に困ったことに
疲れている時に摂りたいものなんです。

でも、
考えてみて下さい。

これらはヒトが作った食べ物です。

実はこれらは、
みんな精製されて、
加工されて、

つまりは

自然でない食べ物なんです。

ジュースを飲むならば、
果物を食べた方がいいのです。

りんごを例にとれば、

りんごジュースには食物繊維はありません。
液体なので200mlくらい平気で飲めます。

しかし、
りんごを丸かじりすれば、
1個食べたらお腹いっぱいです。

りんごジュース200mlは、
りんごを何個絞った量でしょうか?

ジュースにすると身体に入る糖質量は、
果物そのものを食べるよりも
何倍にもなります。

食後の血糖値も、
食物繊維を含むりんご丸かじりより、
食物繊維ゼロのりんごジュースの方が
ドカーンと跳ね上がります。

食べ物はなるべく
自然にある(存在する)形で食べましょう。

糖質を摂るならば、
食物繊維も一緒に摂れるものにしましょう。

白米は玄米や麦ご飯にしたり、
パンはライ麦パンや全粒粉パンにしたり、
芋はジャガイモよりサツマイモにしたり、
工夫をするといいと思います。

お菓子、
クッキー、
ケーキ、
商品として売られているものは、
実は全てヒトが加工したもの。

私は、
そういうものなんだと認識して
自己責任で買って食べています。

糖質は沢山摂取しないのが得策ですが、
摂るなら自然の食べ物から摂りましょう。

さて、
血糖値が高い状態が続くと、
糖化が起こるわけですが、
糖化によって出来上がってしまうのが
厄介者の糖化最終産物、
通称 " AGEs " です。

実は、
コラーゲン繊維の悪玉架橋を作ってしまう
AGEsがあります。

それが ペントシジン。

化学構造式は下のようになります。

なんと、
リジンが糖化されて
ペントシジンになるんです。

リジンはコラーゲンの紐を束ねるのに
必要な善玉架橋を作る重要な分子でしたね。

血糖値が高い状態が続くと、
ペントシジンが増える事が知られています。

ということは、
血糖値が高い状態が続くと、
コラーゲン繊維の悪玉架橋が増えて
コラーゲンは老化していくということです。

実は、
リジンは糖化を受けやすいアミノ酸です。

AGEsには、
ペントシジンに他に

CML(カルポキシメチルリジン)、
クロスリン、
ピラリン、
などが知られています。

化学構造式はそれぞれ以下の通りです。




なんと、なんと、
全ての化学構造式中にリジンがあります。

コラーゲン繊維の架橋が
いかに糖化を受けやすいか、
理解して頂けたでしょうか?

瞬間的にも
持続的にも
血糖値を上げてはいけないのです。

更に、
血糖値を上げてはいけない理由がもう一つ。

ブドウ糖からATPが作られますが、

そのためにはミトコンドリアの
TCA回路が回らないといけません。

この回路を回す補酵素は何でしたか?

古いblog記事
" ビタミンB群の実力 "
で話したビタミンB6ですよね。

ということは、

糖質を摂り過ぎたら、
ビタミンB6が不足していきます。

そして、
ビタミンB6が減ってしまったら、

あの困った何かが増えてしまうのですが、
何だかわかりますか?

悪玉アミノ酸、
ホモシステインです。

困った事にホモシステインも
コラーゲンの悪玉架橋を増やします。

更に
ホモシステインは血管も老化させるため、
動脈硬化を悪化させます。

糖質を摂り過ぎるだけで、
結果的に
骨や血管まで老化してしまう訳です。

コラーゲンを健康に保つには、
①新しいコラーゲンの材料を摂取すること
②コラーゲンを老化させないこと
重要になります。

①のためには、
タンパク質、
鉄、
ビタミンC、

②のためには
禁酒、禁煙などの生活習慣の改善、
糖質制限、
ビタミンB群摂取、

が必要になります。

こうして話してきたら、

コラーゲン繊維を健康に保つこととは
まさに
アンチエイジングなんだと痛感しました。

私も自分のコラーゲンを健康に保つように
頑張っていこうと思います。ニコニコ

そうすれば間接的に、
認知症や動脈硬化の予防にも
繋がるのですから。爆笑

皆さんも是非。ウインク

では、また!




あっ、
またまた書籍を紹介しておきます。

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