栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

コラーゲンの話③です。

グリシンの話は尽きませんが、
グリシンには
また後日登場してもらいます。

今日は、
リジンとプロリンについて話します。

リジンは、
リシンとも言われています。

これはヒトが体内で合成できないため、

必ず食事から摂取しなくてはならない
必須アミノ酸のひとつなんです。

しかも、
リジンは
パン、麺、ご飯などの
穀物からはほとんど摂れません。

肉、魚、玉子などの
動物性たんぱく質に豊富。

また、
豆類にも豊富なんです。

つまり、
リジンをたっぷり摂るには、

パン、麺、ご飯を控えて
肉、魚、玉子、大豆を摂る、

そうです、
糖質制限と
高たんぱく質食が大事なんです。ウインク





つまり糖質制限は
コラーゲン作りにも大事だったのです!びっくり





リジンの化学構造式は、

グリシンとは大分違いますね。

グリシンは
側鎖を持たないアミノ酸でしたが、

リジンは
側鎖に4ブチルアミノ基を持ちます。

このリジンは、
主にコラーゲンの材料になりますが、

リジンがこのままの形で
その材料になることはありません。

コラーゲンの材料になるのは、
リジンが水酸化された
ヒドロキシリジンです。


リジンに水酸基をくっつけるのは
酵素の働きです。

その酵素が働くために必要なのが、
ビタミンCと鉄なんです。


さて、

次にプロリン。

Wikipediaによれば、
表皮細胞増殖促進活性、コラーゲン合成促進活性、角質層保湿作用などの生理活性を示す。一度破壊されたコラーゲンを修復する力をもつアミノ酸。体の結合組織、心筋の合成時の主な材料でもある。)という、まさにコラーゲンには欠かせないアミノ酸という訳です。

構造式は


プロリンもコラーゲンの材料なんですが、
これも水酸化されて
ヒドロキシプロリンに変わります。

コラーゲンの材料の
ヒドロキシプロリンの構造式は、


プロリンを水酸化する酵素にも、
保因子としてビタミンCと鉄が必要です。


コラーゲンの生成には、
タンパク質、
鉄、
ビタミンC、
が大切だというのは、
これでも理解していただけると思います。


ここで、

コラーゲンの話①で書いたことを
おさらいしますね。


(コラーゲンの話①から)
タンパク質はアミノ酸から成り、
コラーゲンは特にその配列が特徴的です。

ーGlyー⚪️ー⭕️ーGlyー🔵ー⚫️ー・・

と、その1/3が Gly(グリシン)なんです。

更に
プロリン 
リジン 
というアミノ酸が、

鉄とビタミンCの働きで水酸化されて

ヒドロキシプロリン、
ヒドロキシリジン、

となり、
これらがコラーゲン繊維の構造の
要になっています。


(そして、
             更にコラーゲンの話①から)


しかも、
コラーゲン以外のタンパク質には、
ヒドロキシリジン、
ヒドロキプロリン、
がほとんどみられないようなんです。

コラーゲンを語るには、
まずは
グリシン、
リジン、
プロリン、
この3つのアミノ酸から
語らないとならないようです。

ーGlyー⚪️ー⭕️ーGlyー🔵ー⚫️ー・・

ここにある配列は
よく次のように描かれます。

ーGlyーXaaーYaaーGlyーXaaーYaaー

X や Y は Gly 以外のアミノ酸です。

ヒドロキシリジンや
ヒドロキシプロリンも
このXやYの位置に並ぶのです。

しかも、
これもなぜか決まっているようで、

Xの位置にはヒドロキシプロリン、
Yの位置にはヒドロキシリジン、

が来ることが多いようです。

太古の昔からDNAに刻まれた
その遺伝情報が守られている訳です。

コラーゲンは
こうじゃなきゃならないと
決められたのです。

なぜでしょうか?

なぜなのか?

リジンが
コラーゲンの材料の1/3を占める訳は、
コラーゲンの話②でしました。

私達の身体を構成するタンパク質の中で
特にコラーゲンに多いのが、
ヒドロキシリジン、
ヒドロキシプロリン、
である理由をこれから語りますね。

タンパク質の合成の地図は
DNAにあります。

コラーゲンを作れ!

という情報が入ったら、
2本鎖のDNAが解けます。

コラーゲンレシピが書いてある部分に
メッセンジャーRNAがやって来て、
レシピのコピーを取りに来ます。

メッセンジャーRNAはレシピコピーを
リボソームという調理場に持ち込みます。

リボソームではレシピコピーから
コラーゲンを作るための
材料となるアミノ酸を決めて行きます。

アミノ酸を運んで来るのは、
運び屋さんのトランスファーRNAです。

調理場と運び屋さんの間には、
ある決め事があります。

調理場が必要とするアミノ酸は
コード化されているのです。

運び屋さんはそのコードを理解していて、
調理場からオーダーされたコードを聞いて
決められたアミノ酸をお届けしています。

リボソームでは運ばれて来たアミノ酸を
電車のように繋げていきます。

その連携スピードは、
1秒間に20個とも言われています。

電車のように繋がったアミノ酸は、
ただの紐状です。

この紐はまだコラーゲンの元。
1/3はグリシンで、
リジンとプロリンが
多目に繋がっています。

この紐は
調理場に隣接する加工場に運ばれます。

加工場の名前は小胞体。

小胞体ではアミノ酸の繋がった紐を
立体的にたたみ込んで行きます。

この加工場には、
酵素があります。

リジンとプロリンは
この加工場で水酸化されます。

ビタミンCと鉄が十分にあれば、

酵素が活性化して
リジンとプロリンが水酸化され、

プロリンがヒドロキシプロリンに、
リジンがヒドロキシリジンに変わって、

コラーゲンの元はようやく
コラーゲンらしくなって行きます。

実は、
コラーゲン繊維は、

コラーゲンの紐が3本絡み合って
こんな形をしているんです。


そして、
ヒドロキシリジン、
ヒドロキシプロリンが、
コラーゲンの紐を安定させるんです。

水素結合を作って、
螺旋をキツく巻くのに、
螺旋を丈夫にするのに、
ヒドロキシリジン、
ヒドロキシプロリン、
が必要だったんです。

加工場である小胞体で、
コラーゲン繊維はこうして作られます。

出来上がったコラーゲン繊維は、
細胞の外に出て
私達の身体を守ってくれるんです。

そうそう付け加えますと、

ヒドロキシプロリンは
コラーゲン繊維とエラスチンにしか
使われないコラーゲン専用アミノ酸。

(なんだか関係ないかも知れませんが、
赤い彗星 シャア・アズナブルしか乗れない
シャア専用の赤いモビルスーツを
連想しちゃいましたが、、、。)

つまり、
ビタミンCと鉄が足りないと
ヒドロキシプロリンが作れないから
コラーゲン繊維が作れない。

コラーゲン繊維が作れなければ、
骨、
腱、
靱帯、
血管、
皮膚、
がボロボロになる訳です。

そして、
栄養の通り道である
blogで書いた疎性結合組織も
当然ボロになってしまいます。

丈夫なコラーゲン繊維を作るために、
タンパク質(肉、魚、玉子、大豆)、
鉄、
ビタミンC、
は毎日摂っておく必要がありそうです。

次回は、
せっかく作ったコラーゲン繊維が
台無しになって行く話をしていきます。

それに告知もしつこくしますね。
タンパク質、鉄、ビタミンC
と著者でも書いています。

整形外科領域にも
必要な栄養療法について書いています。

読まれた方、
アマゾンレビューや
コメントもお待ちしています。

では、また!