栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

さて、

いよいよ

エイコサノイドの話ができるかも。



その前に、
もう一つ細胞膜の話です。



細胞膜の質はそれを構成する
不飽和脂肪酸の種類に関係します。

油の話①で出てきた、
ω6とかω3とかが不飽和脂肪酸です。

ω6は、
ω位から数えて
6番目の炭素に二重結合があるから
ω6不飽和脂肪酸といいます。

では、
ω3不飽和脂肪酸は?

ω位から数えて
3番目の炭素に二重結合があるからです。

ここで、
細胞膜を構成するリン脂質を
もっと詳しく見てみますと、

下の図のようになります。

赤い点線で囲まれているところに注目!

その部分が不飽和脂肪酸です。

油の話②でかいたように、
二重結合のところで折れ曲がっています!

二重結合のところ、
つまり ーC=Cー の部分は、

       "グニャグニャ動く"

という訳なんです!


さあ、
ここからがお楽しみです。
 

今、
あなたは腕を虫に刺されてしまいました。
 

さて、
これからどんな事が起こるのでしょうか?


虫はなんらかの毒を持っています。

だから虫に刺されたら、
毒が私達の皮膚に注入されます。

毒には私達の細胞膜を壊す働きを持つ、
ある酵素を含んでいます。

リン脂質を壊す酵素です。

その名は、
Phospholipase A2(PLA2)といいます。

この酵素は、
細胞膜の不飽和脂肪酸を
選択的に切り離します。
(正確には、トリグリセリドのA1,A2,A3のうちのA2結合部位を切り離す酵素です。)

その様子は、
下の図のような感じです。

リン脂質から切り離された
不飽和脂肪酸(図ではアラキドン酸)は、

おっ!切り離された!
           緊急事態だぁ〜‼️

って事になり、
決められた通りの行動に出ます。

頼むぞみんな!

                     うぉ〜っ!

と救急隊の隊員達が出動してきます。

隊員の名前は、

トロンボキサン(TX)、

プロスタグランディン(PG)、

ロイコトリエン(LT)。

この救急隊員達の事を
エイコサノイドと呼ぶのです。

つまり、

細胞膜が壊されるような事態になると、

PLA2が
不飽和脂肪酸をリン脂質から切り離し、

遊離した不飽和脂肪酸が

エイコサノイドを作り、

作られたエイコサノイドが
何かをするという事になります。

じつは、
不飽和脂肪酸の種類によって、
呼べる救急隊隊員が違います。

慌てん坊もいれば冷静沈着な奴もいる。
ホットな奴もいればクールな奴もいる。
暴走する奴もいれば場を治める奴もいる。

私達が食べた油で
現場に派遣される救急隊隊員が
違ってくるんです。

最近、

"ω6系の油は避けて、
           ω3系の油を摂りましょう!"

と言われていますが、
            何故だと思いますか?

キョロキョロ「えっ?身体にいいからでしょ?」

"はいっ? あなただめウーマン‼️" ウインク

理由は、
ガン、
うつ、
アトピー、
心筋梗塞、
脳梗塞、
に関係があるからです。

ω6系油の代表はリノール酸です。
サラダ油を代表とする植物油に
沢山含まれる油です。

リノール酸は、
体内でアラキドン酸に変わって行きます。

リノール酸をどんどん摂取したら、
私達の細胞膜にアラキドン酸が増え、

何かあった時に
出てくるエイコサノイドは、

熱を出せ!
    血を固めろ!
        とにかく熱くなろうぜ!

と身体に炎症を起こしやすくします。

細胞膜にアラキドン酸が多いと、
炎症が止まらなくなり、

ガン、
うつ、
アトピー、
心筋梗塞、
脳梗塞、
などを起こして来ます。

だから、

"ω6系油を避けましょう!"となります。

ω3系油の代表は、EPAやDHA、
いわゆる魚油です。

これらの油が
私達の細胞膜に取り込まれていると、

作られるエイコサノイドがいざという時、

熱を抑えろ!
血液サラサラにしろ!
みんなとにかく落ち着いて!

と炎症を抑えるように働きます。

びっくりギョギョ! すギョい!うお座

だからω3系油を摂取していれば、
健康が保たれやすく、

また

ガン、
うつ、
アトピー、
心筋梗塞、
脳梗塞、

の予防や病態改善に役立つのです。

だから、
ω3系油を積極的に摂取しましょう!
となるのです。

では、
どれくらい摂取したらいいのか?

EPA/AAが1.0以上になるように、
EPAを摂るという訳です。

㊗️やっと話が繋がりました!

EPAやDHAは集中的に多目に
2週間取れば細胞膜に取り込まれます。

逆に
2週間サボれば
アラキドン酸が増えます。

油が変える
私達の細胞膜の生理活性。

これからあなたは、
自分の細胞膜をどう変えますか?

食べたもので自分の身体が変わる、
これがオーソモレキュラーなんです。



では、また!



しつこいようですが、