埼玉県 北本市 大友外科整形外科の
栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

鉄は、
まず吸収され、
そして運ばれ、
組織で利用され、
最終的に貯蔵されることによって、
初めて足りたと言えるのです。

つまり、
鉄欠乏症(貧血)の治療は、
①鉄の吸収
②鉄の運搬
③鉄の組織利用
④鉄の貯蔵
の全てを満たさないと上手くいかないのです。

さて今日は
①鉄の吸収についておはなしします。

鉄は小腸の粘膜上皮で吸収されます。

鉄には実は2種類あるんです。

動物の血や肉やレバーに含まれるヘム鉄
ほうれん草やプルーンにある非ヘム鉄です。

非ヘム鉄は鉄イオンがそのまま剥き出し、

ヘム鉄は鉄イオンが
タンパク質に包まれています。

実はヘム鉄と非ヘム鉄は
吸収率にも違いがあります。

どちらの吸収がいいかと言うと、
ヘム鉄の方が非ヘム鉄の約6倍の吸収率!

いつものように
オーソモレキュラー.jpからの引用です。

鉄の吸収 ~ヘム鉄と非ヘム鉄~

栄養素の鉄には2種類あります。ヘム鉄と非ヘム鉄と呼ばれるものです。

肉や魚に含まれるものを「ヘム鉄」、ひじきやほうれん草、プルーンなどに含まれるものを「非ヘム鉄」といいます。ヘム鉄の方が圧倒的に吸収率がよくなっています。

ヘム鉄

  • 肉や魚に含まれる
  • 吸収率が高い(10~20%)

非ヘム鉄

  • 野菜や穀類に含まれる
  • 吸収率が低い(2~5%)
(以上、オーソモレキュラー.jpより引用)


鉄は私達の身体で
最も必要とされている金属(ミネラル)。

金属(ミネラル)の吸収は
主に小腸でなされますが、

小腸が吸収できるのは
2価の金属(ミネラル)のみ。

⚫️++  ←こんな感じが2価の金属です。

2価の金属(ミネラル)には
鉄(Fe++)の他に、
亜鉛(Zn++)、
銅(Cu++)、
マンガン(Mn++)、
などなど沢山あります。

これらの全ての2価の金属(ミネラル)は、
小腸の粘膜にある ”一般ゲート” から
身体の中に吸収されます。

しかし、
ヘム鉄には ''専用ゲート” があり、
簡単な手続きで体内に吸収されるんです。

例えれば、
空港の入国審査です。

自国民の入国審査はスムーズですが、
外国人のそれは複雑です。

両者では入国手続きの手間が違いますよね。

ゲートを出たら
自国民は待合室に待機している乗り物に
ヒョイと乗ってスムーズにロビーに移動、

一方外国人は待合室でまず待機して、
乗り物が来てやっとロビーに移動できます。

両者が空港を出られる時間の差は
かなり大きいですよね。

つまり、ヘム鉄
腸がわざわざ専用ゲートを持つくらいに
特別な鉄なんです。

非ヘム鉄別に特別扱いされないで
他の金属と同じただのミネラル扱い。

ではなぜヘム鉄だけ特別扱いなのか?

先程も書いたように、
鉄は
私達の身体で最も必要とされている
金属(ミネラル)。

私達人間は
動物の肉やレバーに含まれるヘム鉄を
効率よく吸収するシステム
手に入れている訳です。

ここでまた、
オーソモレキュラー.jpから抜粋です。

ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収

鉄は小腸で吸収されます。

ヘム鉄はもともとタンパク質にくるまれて吸収されやすい形になっているので、比較的すんなりと吸収されます。

一方、非ヘム鉄の吸収率は非常に低く、吸収されるときに活性酸素を出して粘膜を攻撃してしまいます。

また、一緒に食べたものに簡単に影響されてしまいます。

貧血対策にはヘム鉄を含む食品を食べましょう。


ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収(図)

オーソモレキュラー.jpより引用、一部改編)

さあ、
ここからが重要です。

図の中には、
Fe+++とFe++の2つの鉄イオンがあります。

自然界では
鉄はFe+++【Fe(III)】でいた方が安定です。

一方、私達人間が生体で利用できるのは
Fe++のイオンなんです。

しかしながら、常に
Fe++は安定したFe+++になりたがります。

つまり、Fe++ → Fe+++  +  e-(電子)と、
誰かにe-(電子)をもらって欲しいんです。

Fe++は不安定なため
体内で悪い奴を作ってしまう事があります。

細胞内には過酸化水素が発生しています。

細胞内にフリーのFe++があると、
過酸化水素はそのe-(電子)を奪おうとします。

これがフェントン反応です。

Fe2+ + H2O2 → Fe3+  + OH- + OH・

ここで生まれた OH・は、
ヒドロキシラジカルという
最悪最強の活性酸素です。

病院で鉄剤(非ヘム鉄)を処方された時に、
お腹が痛くなったり、
便秘や下痢をしたり、
怠くなって気持ち悪くなるのは、
この活性酸素のせいなんです。

つまり、
非ヘム鉄は腸が吸収する時に
活性酸素を作ってしまうために、

あまり沢山取らない方がいい
という事になります。

私が鉄欠乏症の方にヘム鉄が豊富な
『赤身の肉やレバーを食べてね。』
とオススメする理由はここにもあります。

また、
私達の腸の細胞には
Fe++をフリーにしないシステムがあります。

図にもありますが、
そこにはフェリチンというタンパク質があり、
危険なFe++を安全なFe+++ に変えて
自分の中に一時保存してくれるんです。

鉄を沢山摂ればフェリチンも増えるんですが、
これについてはまた後日に。

最後に、
鉄を摂取する時には
ビタミンCやタンパク質と一緒に、
酢の物と一緒に摂ると
吸収率は上がります。

鉄の吸収については以上です。

次は鉄の運搬についてです。


では、また。