埼玉県 北本市の
栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

”怪我をしないために” シリーズ その2です。

〜怪我を繰り返さない方法〜

怪我を繰り返す子供さんは意外と多いです。

子供達は怪我をした時、
ほとんどの子が早く復帰したがります。

怪我の程度によりますが、
子供は痛みさえ取れれば、
『治った。』
と言って、クリニックに来なくなります。

暫くすると、
『前と同じところが痛い。』
と、またやって来たり、
『違うところを痛めた。』
と、やって来ます。

どうしてこんな事が起こると思いますか?

それは、
”怪我が治っていないのに運動を再開するから”
なのです。

右足首をサッカーで捻挫したとします。

右の外くるぶしが腫れて、
痛くて体重がかけられない状態であり、
ケンケンして診察室に入って来ます。

骨折はないけど、捻挫としては重症なので
ギプスシーネ(副え木)をします。

大抵の子供はギプスのままで歩けますが、
痛みが強い子供は松葉杖を使います。

大体1週間から2週間ギプスシーネを使い、
その後はサポーターになります。

3週間もすれば、
『痛くない』
という状態になります。

そして、
”試合があるから出たい”
とか、
”合宿があるから行きたい”
と言い出します。

『出たいなら気をつけてね。』
なんて甘いことを言うと
後で大変なことになります。

”試合に出たらまた痛くなった”
とすぐ戻って来て、
その後も怪我がなかなか治らなくなります。

私は、
『〇〇くん、痛みが取れていても治ったんじゃないんだよ。ギプスやサポーターをしなくて良い状態になっただけで、まだ怪我は残っているからサッカーをしたらすぐに痛くなるよ。まずはランニング、リフティングから始めて、ゲームはまだだめだよ。Jリーグの選手だってすぐに試合には出てこないでしょう。』
と、頑張って熱く語ります。

早く試合に出したい親御さん、
早く試合に出たいお子さん、
親御さんと怪我した子に考えて欲しいのです。

3週間前はギプスをしていた事を。

そもそも何で怪我をしたのかを。

怪我する前に、疲れていませんでしたか?
身体を休めていましたか?
しっかり食事を摂っていましたか?
ウォーミングアップは充分でしたか?

痛みが取れても、
炎症が取れただけ、
傷ついた靭帯や筋肉は傷んだままです。

痛くて休んでいる間に、
使わない筋肉はやせ細り、
代わりに休んだお陰で身体の疲れが取れ、
元気レベルが
マイナス状態から0になっただけで、
身体が治ったなんて勘違いしているのです。

痛みが取れて、傷が癒えて、
運動をしていいレベルまで回復させてから
また運動を始めないといけないのです。

今は子供が少なく、
1人が捻挫したら試合に出られない!
そんな竸技もあります。

私達が小学生の頃は
1学年5クラスありましたが、
今は2〜3クラス。

私達の時代(なんともう40年前です!)、
学校対抗球技大会はソフトボールでしたが、
今はバスケットボールやバレーボールです。

ソフトボールには9人必要ですが、
バレーボールは6人、
バスケットボールなら5人でゲームは出来ます。

しかし、チームとしてはギリギリで
誰か怪我したら、
ましてはエースが怪我したら大変です。

また、部活で運動部のキャプテンになれば、
責任感からかなりのストレスがかかります。

キャプテンが休むわけにはいかず、
”キャプテンなんだから...”
というプレッシャーもあります。

肉体的にきつい練習スケジュール、
精神的にかかるプレッシャーは、
キャプテンを追い詰めます。

部員も少ないと、
指導者の目もゆき届き過ぎて、
練習中に手を抜けないのでいつも全力。

疲れて食事もままならず、
子供達はますます怪我し易くなっています。

どうやら少子化は、
子供達の日常にも影響が出ているようですね。

怪我を繰り返さないためには、
しっかり治してから運動を再開して下さいね。

では、また。