栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

今日は私がどうして栄養療法を始めたかを書いていきます。(大友外科整形外科の院長ブログのリニューアルです。とにかく、長いので頑張って読んでくださいね。)


 そもそも私は10数年来の肩こり持ちでした。


午前の外来が終わるころになると首の付け根が重くなり、こめかみのところが締め付けられ、頭痛が起こりました。


症状はランチを摂ると少し和らぎました。


しかし、その後夕方5時過ぎころには午前中よりもひどい症状が出ました。


自分で揉んでみると首筋の筋肉は鉛筆くらいの硬さになっていて、頭痛はひどく、吐き気も感じました。


仕事が終わって、すぐに帰宅したくても肩こりと頭痛で帰る気にもなれません。


リハビリスタッフに干渉波治療(電気でほぐす治療)をしてもらったり、理学療法士(PT)に調整してもらってから何とか帰宅していました。


スタッフから『お大事に』と言われて、帰路につきました。なんだか、トホホ・・・な感じで、辛かったです。


肩こりがひどい時は鎮痛剤(ロキソニン)や筋弛緩剤(リンラキサーやテルネリン)を飲みました。


漢方薬(芍薬甘草湯)も少しは症状を和らげてくれました。


飲むと数時間は楽になりました。


でも、完治しません。


枕や寝具も関係すると考えて、いろいろ試しましたが、無駄な努力と無駄な出費でした。


整形外科の専門医である私が10年以上も自分の肩こりを治せませんでした。


 だから肩こりでつらいという患者さんには大変共感できました。


自分が行ってみて少しでも効果のあった方法を治療として行いました。物療(物理療法)やリハビリ、湿布や内服薬の処方をしました。枕や寝具の相談も受け、自分の経験をお話ししました。


でも、結果は私と一緒だったと思います。


治療しているうちは症状が楽になるけど、リハビリに来なくなったり、薬がなくなってしまうと症状が出るため、患者さんもそのたびに受診してきます。


皆さん、自分と同じで治っていないようでした。


そうこうしているうちに、私はもっと体調が悪くなりました。


 いつものように肩こりと思っていたら、今度は”めまいらしき感じ”が出てきました。


今まで『めまい』なんて感じたことがなかったので、多分これがめまいってやつだなと思う症状を感じたのです。


 診察台に横になって、看護師さんに血圧を測ってもらったら、なんと182/90mmHg でした。


人生で初めて体験した高血圧でした。


 『やばい、死ぬかもしれない』


生命の危険を感じた私は、診察を待っている10数名の患者様にお帰り頂き、自分が病院に向かいました。


病院に着くころ、ひどい動悸もしていました。


β-ブロッカーと呼ばれる薬を処方されて飲み始めました。


その後、前触れもなく突然上がる血圧と長時間続く不整脈。不眠、不安、起床時の顔のむくみ感、両手のこわばりとしびれ感に悩まされます。


 忙しさの中の”ストレス”が原因だと思っていました。


主治医からもストレスを少なくするようにアドバイスされました。


そんな頃、気分転換に都内のレストランに同業の仲間たちと食事に行ったときに、今までに感じたことのない不整脈に襲われました。


ドンドンドン、ボコッ、ドンドンドン、ボコッ、・・・


こんなリズムがエンドレスで続いて脈が触れにくくなりました。


気分が悪くなって、救急搬送され、聖路加病院に運ばれました。


そこでの血液検査で血中のカリウム値が低く、低カリウム血症があるといわれ、点滴を受けました。1時間には心臓が普通に脈打ってくれました。帰宅した日はゆっくりと寝られました。


しかし、その後も不整脈は続きます。


肩こり、頭痛、頭のフワフワ感、起床時の顔のむくみ感、不眠もです。


 都内の大学病院の循環器内科を受診して、しっかり検査を受けました。


低カリウム血症と高血圧から原発性アルドステロン症という病気が疑われ、血液検査や腹部CT,MRIをチェックしましたが、副腎に異常はなしでした。


不整脈の検査で24時間心電図をとるホルター心電図の検査もしましたが、不思議なことにその時は不整脈がほとんど起こらなかったのです。


検査の結果を聞く日は、何が原因かはっきりするし、これでよくなるかもしれないと思って、検査の結果説明を聞きに行きました。


診断結果は『異常なし』でした。忙しい生活のための『ストレス』とのことでした。


(どうしよう。今の生活は変えられないし、忙しい仕事も変えられない。)


でもやむなく、自分の身体を守るために診療時間を短くして、辛い時には無理せず休診しました。


患者さんの中には、『そういえばよく先生は休んでいたな~』と思い出している方もいると思いますが、こんなことがあったからなのです。


でも一向に症状は改善しませんでした。


(このまま、この辛い不整脈、肩こり、頭痛とともに生きていくのか。)と内心、いじけました。


そんなある日、日本抗加齢医学会というものがあることを知って、学術集会に参加しました。


抗加齢って、若返り?


自分の不整脈が治るヒントがあるかもって思ったからです。 


でもこの学会、いろいろな分野の先生たちが最新の研究を発表している凄い学会でした。


展示ブースも多種多様で、真の健康を得るためにはどうしたらいいのか、そんな研究から生まれた検査機器や健康食品、サプリメントなど今までの私とは無縁であったものがあちこちに並んでいました。


そこで出会ったのが、糖質制限生チョコレートというものでした。


一口食べて、おいしさにびっくり。


甘いのに、なんで糖質制限なの?


砂糖を使わないのになんで甘いの?


ふと、横を見ると、『栄養セミナー』の案内がありました。


(からだの不調は栄養の不足かもしれません)というコピーに心がロックオンされました。


担当者に合って、詳しい話を聞きたいと後日の面会をお願いしました。


面会の日、担当者はいろいろな栄養素のパンフレットを持ってきてくれました。今、私のクリニックにおいてある『からだに必要な栄養素のはなし』っていうやつです。これは患者さんも自由に閲覧できるし、持って帰ることもできるようにしてあります。それと、『栄養ナビ』というパンフレットです。


これは、栄養素が体のどんなところで作用して、どんな症状に効果があるか、学術的な論文とともに丁寧に書いてあるものです。


 担当者から、栄養の不足が様々な体調不良(病気)を招いていることや、食事からは摂取できない栄養はサプリメントで摂取することの重要性を聞きました。


                           ⁉️


この不整脈は栄養不足から来ているって訳?


栄養は食事だけでの摂取は不十分?


3食しっかり摂っているのに、何がいけないの?


栄養状態は血液検査でわかるって?


サプリメントが病気を治すって?


 

私の頭の中にはコンビニや薬局においてある、あのサプリメントコーナーが浮かんでいました。しかし、担当者から頂いた資料にあったサプリメントは、そういったどこでも誰でも買えるサプリメントとは全く違っているなと直感しました。


始めは、変なサプリメントを売られるのではないかと警戒していましたが、なぜか『栄養セミナーに参加しなくてはいけない』と強く思ったので、サプリメント取り扱い医療機関として契約しました。


 そして医師向けの『栄養セミナー』に参加して度肝を抜かれました。


 基準値は決して正常値ではないこと。


栄養状態によっては、基準値内でもよくない状態があるっていうこと。


血液検査データは生化学的反応であって、多くは酵素反応や代謝が関係しているということ。


医学部で習った生化学こそが、臨床的に重要であるということを理解できた瞬間でした。


色々な症状で辛さを訴えている患者さんたちが、食事指導とサプリメントの摂取で改善する様子も提示され、こんな治し方があったんだと感心して、同時に自分も良くなる気がしました。


私が内科で受けた血液検査の結果ですが、すべて基準値でした。主治医も異常なしといいましたが、医師である自分が見てもどれも基準値内で、私も当時は『ホントだ、みんな正常だ。』と思っていました。


しかし、


栄養セミナーで勉強した後に見ると、たんぱく質の摂取不足、ビタミンB群の不足、亜鉛不足、鉄不足、脂肪肝による炎症、酸化ストレスの増大によるミネラル不足が見られました。



主治医も私も、医師であるのに血液検査データが正確に読めなかったのです。


『よし、では血液データを良くしよう!』


そう思った私は、自分の体調が食事とサプリメントで良くなるのかを自分で人体実験しました。


 その結果は...後半に。


では、また。