僕は、宇宙開発でお金を稼ぐつもりがありません。
僕がやりたいのは、僕よりももっと頑張っている様々な研究者を助けたいです。
実験を手伝ったり、実験環境を提供したり、実験装置を作ったり・・・
僕らの持ってる能力を、人類の進歩のために使いたいです。
でも、実はこれはこれで、僕にとっては儲かっています。
僕の会社には、様々な実験装置があります。
微小重力状態を作る実験装置もあるし、
推力4トンくらいまで対応可能なロケットエンジン用のサイレンサーもあります。
それらの装置を、研究する人になるべく安価に提供しています。
その結果、ずいぶん沢山の人が実験に赤平を訪れてくれるようになりました。
そのおかげで、僕らは、本来なら出会うはずがない研究者や技術者に出会えます。
いろんなことを教えてもらえます。仲良くなれます。
研究成果を発表する論文に、僕らの施設や、植松電機のことも書いていただけます。
それを見た人が、あらたに実験に来てくれます。
これは、お金を払ったって手に入るものではありません。
僕らは、実験環境を提供したり、お手伝いすることで、
ものすごく貴重な知恵と経験と人脈を得ています。
それによって、人が育ちます。
実際、こういった研究開発のサポートをしているメンバーは、
どんどん成長してくれています。
そういう仲間が、次々と会社の本業を改善してくれるし、
新しい仕事もこなしてくれます。
会社の仲間の成長は、会社の成長に直結しています。
これで、大儲けだと僕は思っています。
しかし、この「知恵と経験と人脈」は、企業経営にとての重要な「貸借対照表」の
どこにも記載されません。
資産としての価値が認められていないのです。
てことは、非課税です。
最高の投資先は、人間です。
でも、実際には、いま多くの企業が「即戦力」を求めています。
企業内で、時間をかけて人材を教育していくような、時間もお金も
もったいないと判断している経営者が増えているように見えます。
その原因は、大きくわけて2つだと思います。
まず1つは、景気が悪いことです。
資産として価値が無い人材に投資するような時間もお金もなくなって来ています。
人材育成にものすごく有効な研究開発事業がどんどん削減されています。
そして、2つ目は、学べない人が増えているように思います。
(1)指示されたことを、指示どおりにすることしかできない。
(2)自分で思考や判断ができない。指示や命令がないと動けない。
(3)自分から調べない。与えられた本を就業時間内に読むだけ。
こういう人には、いくらチャンスを与えても、育ちません。
「教えられたことを覚えるだけ」なのです。
こういう人達は、思考ができないから、研究開発そのものができません。
だから、研究開発にすごく時間とお金がかかるようになって、研究開発が削減されて・・・
という悪循環です。
この状況を打破するためには、いまの日本の教育を変えるのが効果的です。
子ども達の思考力や学ぶ力を奪うような教育は、日本の国力をそいでしまいます。
そのために、スーパーサイエンスハイスクールなどの取り組みが行われています。
素晴らしい事だと思います。
しかし、この素晴らしい取り組みをだいなしにしてしまうのが、
現在の日本の受験システムです。
評価を簡単に行うために、評価を簡略化しすぎです。
暗記の量と正確さを競うなんて、ロボットに確実に負ける勝負です。
そのために、子ども達の貴重な時間を使っています。
これを変えるためには、
「大学に行けば何とかなる」「大学に行かないと就職がない」という常識を
打ち破るのが効果的です。
そのためには、企業が採用条件から「学歴」を外すのが効果的です。
外すだけですから、学歴があったってかまいません。
(僕は、大学は、「学びたいこと」や「自ら学ぶ意欲」がある人にとっては、素晴らしく能力を高められる環境だと思っています。)
資源がない日本国ですから、仕事の付加価値を高めることが国益になります。
そのためには、人間の能力を高めるのが一番です。
「素直・まじめ・勤勉」という、ロボットに負ける人材を作るのはもうやめたほうがいいです。
僕の会社では、来てくれた人達にロケットを作ってもらいます。
不思議なことに、学歴が上がれば上がるほど、ロケット製作時間が長くなります。
失敗率も高くなります。
でも、小学生はぜんぜん大丈夫です。
助けあって、教え合って、迷わず、失敗してもすぐにやり直して、
どんどん作ります。
だから、今日生まれてくる子ども達は、みんな大丈夫です。
これから日本や世界をよりよくしていく可能性に満ちあふれています。
それを、古い体質の企業や組織の階層構造に都合のよい人間に仕立てる仕組みがあるだけです。
(僕は、「素直・まじめ・勤勉」なんてのは、支配者や管理者に都合のよい奴隷の条件だと思っています。)
だから、企業の経営者にお願いです。
どうか、採用条件から学歴を外してください。
それだけで、10年くらいしたら、素晴らしい人材をばんばん採用できるようになりますから。