子ども達を戦いに追い込む大人達 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

「戦争は女の顔をしていない」というマンガを買いました。

原作も読んでいましたから、どんなマンガなのか、不安もありました。

 

 

しかし、涙がこぼれます。

したくもない戦争にかり出されて、

自分がやりたかったことや、好きだったこともできず、

ひたすら命令に従って戦争をしなければいけなかった少女達の、

口から語られる事実が、絵を伴って、すごい圧力で伝わっています。

お花が好きだったのに。小鳥が好きだったのに。歌を歌うのが好きだったのに、

ダンスを踊るのが好きだったのに、ライフルを持たされて、

人を何人殺したかが価値になってしまう世界に放り込まれた少女達の苦しみが、

ものすごく伝わってきます。

そして、戦争が終わってからの、日常生活に戻る苦しみも、淡々と描かれています。

ちょうど今、中学性の子ども達からの質問に返事を書いていました。

 

「努力をしても報われません。能力が増えません。だから努力するのが辛いです。今の自分は無能です。どうすればいいのかわかりません。」

 

なんてこった。

なんて恐ろしい苦しみでしょう。

 

学校の成績は、人間の価値を示すのもではありません。

成績など悪くても、素晴らしい人は沢山います。

この子にも、きっと素晴らしいところが沢山あります。

なによりも、こんな自分の苦しみを、明確な文章にして伝える事ができるんです。

なんて素晴らしい事でしょう。

だのにこの子は、自分には価値が無い、と思い込んでしまっています。

自分を責めています。

こうしているのは、大人です。

まるで、戦争になんて行きたくなかった少女達を、戦場に送って、

銃を持たせて戦わせた人達と、同じように思えます。

 

僕は、会社を経営し、大きな会社にだまされて大失敗し、

その後も、ひどい目に逢い続けたとき、

死んでしまいたいと思いました。

でも、死ぬことができませんでした。

だから、勉強しました。

そして、学んだことで、競争相手をやっつけました。

やらなければ、やられるからです。

相手に、どんな家族がいるのかも考えないで、容赦なくやりました。

そのとき僕は、「やっと勉強の意味がわかった!」と思ったのです。

学校の先生が言っていたのは、こういうことだったのだ!

相手を倒すために学ぶのだ。相手に勝つために学ぶのだ。

戦わなければ負けるのだ。大変なことになるんだ。

だから、戦うために、相手を倒すために学ぶのだ。
それが、お前のためなのだ。

それが、やっと理解できました。

 

でも、僕の心はだめになりました。

すべてを、合理でしか考えられなくなってしまったのです。

 

今の僕の心にも、それが残っています。

ものすごく冷酷な僕が、僕の中にいます。

それは、ビジネスでは役にたつこともありますが、

本当なら、そんな心は、持ちたくなかったです。

 

 




この世には、色んな人がいます。

お年寄りから、赤ちゃんまでいます。
幼稚園児に、中学校のテストを受けさせたら、0点だと思います。
大人に、中学校のテストを受けさせたら、おそらく、かなり低い点数でしょう。

外国の人に、日本語のテストを受けさせたときの結果は、かなり悲惨でしょう。
だって、問題の意味がわからないんだよ?

 

そういう人達は、ダメ人間でしょうか?

そんなわけないです。
全ての人は、大切な人達です。

それぞれの人達の能力を活かせる社会にすべきです。
テストの点数で、人の優劣を決めるなんてのは、

人間の命の優劣を決めるのと同じことです。

「お前には、生きている価値が無い。」という判断をしたのは、

ナチスドイツであり、養護施設を襲った人です。(奇しくも僕と同じ名字)

それは、人として間違っています。

でもいま、それを、よかれと思ってやってる組織があるのです。

 

学校のテストは、人間の価値を示すものではありません。
だから、お願いだから、学校のテストの結果ぐらいで、
自分の事を「無能」だと思わないで。

 

勝負をするとき、相手が得意なことで勝負したら負けるでしょ?

自分が苦手なことで勝負したら、負けるでしょ?

だったら、相手が苦手としていて、自分が得意とすることで勝負すべきです。

これは、勝負の鉄則です。

五分五分の勝負なんてしちゃいけません。

もしも、学校のテストが苦手ならば、そこで勝負したら負けます。

だから、学校のテスト以外で勝負できる環境に行くべきです。

はやく、社会と関わるべきです。
世界は広いのです。
学校になど行かなくたって、生きていけます。
だのになぜ、テストの点数が悪いと、学校に行かないと、ダメ人間なのだと決めつけるの?

人の命に優劣をつけているって、なぜ気がつかないの?

 

叫びたいです。

今より輝こうとする子ども達の未来を奪う者は決して許さん。

 

そばにいなくて、ごめんね。
助けられなくて、ごめん。
守れなくて、ごめん。