東京での、吉川先生との対談は、素敵な時間でした。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

昨日は、東京で、はやぶさ2のミッションマネージャーの吉川真先生と

公開対談をさせていただきました。

 

僕としては、吉川先生にあうのははじめてなので、とても緊張しました。

ですが、吉川先生は、ほんとうに穏やかな人で、すぐにいろんなことを

お話ししてくださって、すごくほっとしました。

 

僕は吉川先生にあってから、まずは、

「ついにはやぶさ2が帰途につきましたね。おめでとうございます。」という話をしたら、

吉川先生は「いやいや、まだあと1年間、なにが起きるかわからないのです。

だから、ぜんぜん安心できません。」と苦笑いです。

その気持ちは、本当にものすごくよくわかります。

成してきたことが素晴らしいほど、失敗は怖くなります。

そして、失敗は、しようとしておきるものではありません。

だから、地球に戻ってきて、サンプルを手にするまでは、

安心できないのでしょう。

 

対談に関しては、吉川先生の周到な準備と、伝える為の努力に、本当に感動しました。

沢山のスライドや貴重な映像、そして、りゅうぐうの模型までも用意してくださっていました。

 

最後に、成功の秘訣として、吉川先生は

挑戦

多様性

柔軟性

平常心

そして

楽しい

が大事だとまとめてくださいました。

激しく同意です。

なんて穏やかな挑戦なのでしょう。

 

まるでそこには、美しい大自然の世界が広がっているように感じました。

そう、これはまさに、なにが起きるかわからない自然の中で、

進化していくために必要なことだと思います。

 

挑戦には、努力が必要です。

最適な努力を見つけるためには、沢山の情報が必要です。

しかし、その努力とは、ただただがむしゃらに一心不乱に同じ事を繰り返すのではなく、

努力そのものが正しいのか、適切なのか、を考え続ける必要があります。

そして、がんばったけどダメだった、ということは必ずやってきます。

そのときに、絶望したり、慌てたり、投げ出したりしてはなりません。

そして、努力の為にもっとも大事なのは、「楽しい」です。

 

残念ながら、「努力とは、最初に決めたことをやり続けること。苦しいことに耐える事。」

と教えてしまう人がいます。

それは、努力の中の一部でしかないのに、それが努力の全てであるかのように教えてしまうと、

独善的で排他的で頑固な努力になってしまいます。

そういう努力は、しても報われないです。

そうすると、まわりを恨んだり呪ったりするようになったり、自分を絶望したり、

努力は無意味だと思ってしまう人がいます。

これでは、救われないです。

 

なんだか、久々に山に登りたい気分になるような、吉川先生との時間でした。

そういえば、吉川先生も登山が趣味だっておっしゃっていたなあ。