そろそろ進路指導のやりかたをかえたら? | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

もしも、子どもが、「総理大臣になりたい!」と言ったなら、どうするか。

小さい頃なら、「あら、かわいいわね!すごいわね!」と言うでしょうが、

小学校の高学年や、中学生が、真剣にこの夢をしゃべろうものなら、

 

そんなん、なれるわけないじゃん!

 

よっぽど難しいよ、大変だよ・・・

 

そのためには、東大に行かないといけないから、とにかく勉強しなさい!

 

と言ってしまうのでは?

 

 

 

僕だったら、

「ほんと!?すごい! なって! なって、日本を、もっと優しい国にして欲しい!応援するよ!一緒に頑張ろう!」と言うでしょう。

 

そして、

「そのためにも、まずは、総理大臣のことを調べたらいいよ。本屋に探しに行こう!」

 

そして、いろんな総理大臣の伝記をよんだら、次は、

「総理大臣は、世界とつながるから、海外の大統領の事とかも調べてみようか!」

って、他の国の大統領などの伝記も読ますかな。

大事なのは、偉くなる前の生き方と、偉くなった後の生き方の、両方を知ること。

間違っても、偉くなることは目的じゃない。

 

そのあたりから、「なんで総理大臣になりたいんだっけ?」を考えてもらいます。

そうしたら、それに関して、もっと学ぶ機会を増やします。

たとえば、戦争をなくしたい、なら、戦争の勉強をする必要があるし、

現在、そのための活動をしてる人たちのことも調べることができます。

飢餓をなくしたい、なら、やはり、それを学ぶべきです。

 

「解決したい問題」が見えてきたら、

そのための手段は、総理大臣以外にも沢山あることを知ることができます。

 

大人は、職業名や、資格名、役職名で考えがちですが、それでは思考が極端に限定されてしまいます。そして、その職業に就けなかったり、その資格が取れなかったりしただけで、

夢をあきらめることができてしまいます。

それは、手段と目的を間違えているからです。

職業も、資格も、役職も、手段に過ぎません。

しかし、「なぜなりたいのか?」を考えることができたら、

そのための手段が沢山あることに気がつくことができます。

そうすると、夢をあきらめなくてよくなります。


でも、日本の学校では、夢を職業や進路の中から選ばせます。

そして、その夢の実現のためには、「進学」という選択肢しかありません。

そして、「進学」のためには「お金が必要」です。

そうなると、家にあるお金の範囲から、自分の夢を選ぶしかなくなります。

これで、お金が無いと、夢が叶わない、ということがすり込まれます。

そうなると、能力や知恵や経験よりも、お金を求める人になります。

こういう進路指導は、よくないと思います。

そして、こういう進路指導をする人達は、自分が知らない職業や資格については

根拠のない否定しかできません。

これでは、新しい職業は生まれてこないです。

そろそろ、進路指導を、学校の先生がするのをやめたほうがいいと思います。

子ども達の夢をあつめて、それに関わりのある社会の人を集めて、

子ども達にアドバイスをする仕組みを作った方がいいです。

たいていの町には、沢山の会社や組織があります。

そのリーダー達なら、具体的でリアルな話ができるはず。

 

ただし、条件があります。

目的と手段を間違えない人です。

 
そういう大人を増やさないと、子ども達の可能性を社会に活かす事は難しいです。