そのカメラマンと仕事をしたのは2回目だった。ビューティー(顔がアップになったり手がアップになったり身体のパーツの接写が中心の撮影)用のネイルを依頼され、テーマが「カラフル」だ。
それ以外は自由な感じでと言われ、イメージを向こうから送られて来る事もなく本番当日。メークさんとイメージがチグハグにならないように彼の方向性を尋ね、自分もデザインに取りかかる。完成して、早速撮影。メークさんもセットに入ってモデルさんに指示をだす。
私は黙ってその光景を後ろで見つめる。カメラマンが私に一言、「君、元気無いね」。「そんなことないですよ」と私。1種類終わったので、次のネイルを黙々と作成。カメラマンが皆に話しかけにくる。私は黙々とネイルをデザインする。そこへ彼が一言、「次のモデルさんのポーズ、君が考えてね」。
私の動揺が始まる。デザインは完成し、いざモデルさんがセットへ。肝心なポーズはというと、頭の中真っ白。今までポーズを考えるのはフォトグラファーやモデルさんの仕事だと思っていた。
結局、メークさんがああでもない、こうでもないと、ポーズを指示して変えて行く。追いつめられた私にひらめいたポーズ。でも声に出して言えない。自信が無いからだ。
そしてそのネイルは却下になった。後でカメラマンに言われた。「もっとチームに入ってこないと」。本当にその通りだ。みんなのムード、方向性に歩み寄るのも大事な仕事の一つ。そして自分の考えを持って言わないとそこへ入って行けないんだ。
その6へ続く。。
Happy Time