(承前)前回書いたとおり、現経営陣と創業家との争いで現経営陣が勝利してまもなく、先月下旬に、Benihana Inc.(Nasdaq)はAngelo GordonというPEファンドによるバイアウトに合意した。
法律家としては、案件の背景もさることながら、バイアウトのための買収契約(契約書の全文はこちら で見られます)の中身が気になる。契約書をざっと見たところ、内容は、この手のバイアウト案件では標準的でシンプルなものだった。ストラクチャーと契約書の見所について簡単に書いておこう。
ストラクチャーは、Angelo Gordonを親会社とするSafflower Holdings Corp.が買収子会社(Safflower Acquisition Corp.)を設立し、その買収子会社とBenihana Inc.が合併するというもので、Benihanaの株主はその株式と引き換えに現金を受け取る。Angelo Gordonは、買収資金の一部をファンドの資金からエクイティとして拠出するとともに、レンダー3社からデッドを引いてくる予定でコミットメント・レターを取得している(残念ながら、コミットメント・レターは開示されていない)。なお、買い手による買収資金の確保は、実行の前提条件にはなっていない。
買収契約における交渉ポイントは、バリュエーション(提案価格)と並んで、Go-shop条項とTermination Feeの条件だったと思われる。
Go-shop条項(Section6.2)によれば、Benihanaとその経営陣は、契約締結から40日間は、第三者からの代替提案を積極的に勧誘し、検討することが許されている。このような条項は、事前にオークションが行なわれていなかったり、バイアウトのケースではよく見られるものだ。
また、第三者から株主にとってより有利な提案があった場合など、一定の場合には買収契約が解除できることになっていて、解除原因に応じてBenihana側か買収者側がそれぞれTermination Feeを支払う旨の取り決めがなされている(Section8.3)。Termination Feeの金額は、その支払原因によって異なっている。例えば、もしBenihanaが第三者からのより有利な提案に乗り換えて買収契約を解除することとなった場合、買収側は592.8万ドルのTermination Feeを受け取ることができる。契約条件の詳細に興味がある方は、契約書の原文を見ていただければと思う。
本件は、大規模案件ではないが、日本人に縁のある有名な「日本流」鉄板焼きレストランを運営する会社のバイアウトの案件であるので、今後も案件の行方を関心を持って見て行きたい。往年のファンも多いと思うし、人気レストランが再建を果たすことを心より願っている。