姑をはさんだ話し合いは不思議な時間だった
もう、戻れないのか?との姑の問に無理ですと
彼は色んなことを言っていたけれど
彼の言葉、話は次元の違う空間に発せられて
私の言葉とすれ違っていくのだった
同じ部屋にいて話合っているのに決して交わることがなかった
ただ最後に言った彼の言葉
お前なんて何処へ行っても働けなくさせてやる
この言葉だけが心に刺さった
後はなにを話したのか全くわからなかった
車に荷物を積んで彼の実家で泊まらせてもらうことになった
実家のない私に、自分の息子を捨てようとしている私に
最後まで娘のように接してくれた舅、姑
ごめんなさいと何度も謝る私に、息子が悪いんだからと
娘と二人寝ようと横になった時娘が言った
お母さん、ここは私たちのいるところじゃないよねと
明日息子の所に行こうと決めた
家に置いてきた愛犬の服を娘が持ってきていた
その服を見て二人で号泣した
愛犬までもつれてきたら彼はどうなってしまうのだろうと
泣く泣くおいてきたのであった
これが最後の彼への私からの思いやりであった
その夜は彼が殺しにこないかと
火をつけにこないかと
眠れない夜だった
夜が明けて明るくなった時は少しほっとした
生きている!