私が暗い気持ちになるのは、庶民感覚とあまりにかけ離れた彼らの報酬のツケを払わされるのが裕福ではない多くのファンだからである。メジャーリーグの内側 を描いたドキュメンタリー番組を見て知った事だが、選手の報酬が跳ね上がったのは代理人制度が出来てからだそうだ。少しでも多くの額を得ようとするのが代 理人というものである。GREED(欲)という英語が脳裏をよぎる。
ニューヨーク滞在中にシェイ・スタジアムで働く男性と話したが、子 供2人に親2人、いい席を取って野球を見ようと思ったら300ドルはかかる、食べ物にパーキングにおみやげと費用はさらにかさむ、年間90試合もあるから 親はたまったものじゃないとこぼしていた。選手の高報酬は野球人気を支える裕福でないファンの懐を既に直撃しているのだ。
案の定、チ ケットも高騰している。レッドソックスの本拠地開幕となるマリナーズ戦(4月10~12日)に松坂選手が登板となれば、一番安い席でもNFLのスーパーボ ウル並みの30万円を超えるプラチナチケットになると予想されている。ヤンキース―対メッツのサブウェイ・シリーズとなった2000年のワールドシリーズ ではダフ屋が外野席券を20万円以上で売ったそうだが、レギュラーシーズンでこんな高額を呼んだ例はない。チケット会社によるとマリナーズ3連戦のチケッ トは2月上旬現在、内野席で約12万から18万円、外野席でも約3万から3万6000円と既に正規料金の10倍の値が付いているという。
高額チケットは何も野球に限らない。バスケットボールの好きな私はマディソン・スクエアガーデンで気軽に観戦したものだが、2004年にふらりと訪れて中程度のチケットを買おうとしたら260ドルと言われて「えっ!?」と目を剥いた。そんな高値ではTVで見るしかない。
庶民は企業にお金を吸い上げられるものと相場が決まっていたが、いまどきは高額報酬選手に吸い取られるのである。



