Folk Songs(1)  Little Green Cars - The John Wayn | AFTER THE GOLD RUSH

AFTER THE GOLD RUSH

とおくまでゆくんだ ぼくらの好きな音楽よ――

文章を書くスピードがひどく落ちている。特に今年に入ってからは、我ながら全く以てウンザリする程言葉が出て来ない。元来、書くという七面倒くさい行為より、読んだり、聴いたり、見たりする方が好きということもあるが(つまり単なる怠け者である)、ここまで書けない状態が続くと、少々焦ってもくる。もしや、アタマの病気ではあるまいか。いや、そこまでいかずとも、深刻な老化現象の前兆ではないか。

今回新設したテーマ「Folk Songs」は、そんなダメな自分を鼓舞するためのリハビリの場であり、個人的なメモ帳のようなもの。今聴いている音楽について思い付いたことをとにかく書いてみる。制限時間20分、およそ300字程度という縛りをかけて。Folk Song(フォークソング)とは、Folk、すなわち、People(民衆)による、民衆のための歌のこと。その概念は、ロックやポップスをも包含すると考える。どこぞのロッキンローラーとは次元の違う懐の深い音楽なのである。



はて、このコーラス、どこかで聴いたことあるぞという既視感ならぬ既聴感に襲われ、即座に思い浮かんだのが、あのすばしこいキツネ達(Fleet Foxes)。しかし、キツネの頭目、ロビン・ペックノールドが遠くシアトルからアイルランドを幻視していたのに対し、リトル・グリーン・カーズの面々にとってのそれは、自分達が生まれ育ち、今まさに2本足で立っている祖国の土地に他ならぬ。若干20歳の若者達がブライアン・ウイルソンとR.E.M.とウディ・ガスリーとその他諸々のグッドタイムミュージックを貪欲に吸収し、攪拌し、奪還した結果、最新型のフォークソングが誕生した。突き抜けるコーラスと疾走するメロディが胸を打つ「ジョン・ウェイン」は、2012年発表の曲でありながら、既に堂々たるスタンダードナンバーの風格を漂わせている。


 

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