ぼくは、このアルバムの絶対的な信者になろう。通ぶったソウル・ファンに笑われたって構わない。ぼくは、このサウンド、このヴォーカルを全面的に擁護するし、完璧に服従する。
何て格好いいんだ。聴くたびにゾクゾクする。例えば、「Never Did I Stop Loving You 」のイントロ。ブン・ブン・ブンとハイスピードで弾みながら下降するベース音、軽快にシンコペートする16ビートのリズム、体を突き抜けるようなホーン・セクション。そして、高揚感に満ちたアリスのヴォーカル。パーフェクトだ。ぼくにとって最も理想的なダンス・ミュージックがここにある。
アリス・クラークは、もしかしたら、ソウル界のヴァシュティ・バニヤン、もしくはSCOFなのかもしれない。1972年に発表されたアルバムは、同時代に受け入れられることなく、長い間見捨てられ、90年代、フリー・ソウル、レア・グルーヴといったムーヴメントの中で“発見”された。まさに小西康陽氏言うところの「未来の音楽」なのである。
もし、あなたが何かにつまづいて、うつむいているのなら、ぼくはこのアルバムをそっとあなたの傍らに置きたいな。悲しい時には心が温まるまで寄り添い、楽しい時には陽気に踊ってくれる、そんな素敵なアルバムだから。教えてくれたwhiteさん に感謝。