中朝インテリジェンスのキーマンは、やっぱり商人だ。
北朝鮮留学生
「日本の若者は何も知らないじゃないか。
俺が目にしたことのある日本の若者はみんな、
中国語や英語すらまともに話せないぞ。
ニューヨークタイムズにアクセスできる自由をもっていて、
その権利をまともに行使しているのか。
それだけの英語力をもっているのか?
言論の自由?結構なことだ。
ではおまえら日本の若者はそれをまともに行使しているのか?」
~~~~~~~~~~~~~
◆加藤嘉一『北朝鮮スーパーエリート達から日本人への伝言』を読み解く
北朝鮮が、ミサイル発射態勢に入っている。
加藤氏は、北京大学・大学院の6年間の留学を経験。
その巧みな中国語と頭脳明晰な思考から、
日本、中国ともに幅広い人脈を築いている。
この情報は、北京大学に留学していた北朝鮮の
若手エリートたちからの証言などを元に作成している。
※要旨
・2003年、筆者は高校卒業後、単身で北京大学へ留学。
国際関係学院という学部で学んだ。
学部と大学院における修士課程を修了した。
・中国共産党首脳部や幹部をはじめとする政界関係者、
軍部関係者、学術関係者、メディア、文化人など、
できる限り各業界の中枢に入り込むよう意識し、関係をマネージメントしながら、
変わりゆく情勢をウォッチし、自分なりの発信を続けてきた。
・北京大学で過ごした留学時代、筆者が最も興奮した場面を、読者の皆さんと共有したい。
筆者の周りには北朝鮮からの留学生がいた。
金日成総合大学から派遣されてきたり、労働党幹部の子息であったり、
いずれにしろ北朝鮮のエリート中のエリート達だった。
学部生が中心で、常時20人くらいは在籍していた。
・国際関係にとって、真相がどこにあるか分かるのが国境だと、北朝鮮留学生が言っていた。
そのため、筆者は断続的に5回、中朝国境に向かった。
そこには、真の国際関係があった。
・筆者は中国語を始めて半年ぐらい経つと、
外国人だとは気づかれないほどのレベルに達していた。
また翻訳も始めた。
1年半で同時通訳にも取り組めるほど、己をいじめ続けた。
信念を持って取り組んだ。
大学内外でも話題になり、メディアの取材も受けるようになった。
だから、中国語に対して自信をもっていた。
しかし、北朝鮮留学生とコミュニケーションをとるようになって、プライドは打ち砕かれた。
彼らは中国に留学しにきているにも関わらず、外部との必要以上の接触を固く禁じられている。
一方の筆者は毎日、中国の現地の人たちと、どにかく話し続けることで語学を習得した。
道端のおばさんや若者など、あらゆる階層の人々と会話することで、柔軟に勉強していった。
北朝鮮留学生は違う。
図書館で、寝室で、教室で、己の中に籠もり続けることで、
あくなきハングリー精神で、少なくとも筆者と同等レベルまで中国語をのばしてきた。
滑らかではなかったが、研ぎ澄まされていた。
果てしない反復練習の結晶であると、すぐに悟った。
・ある日、北朝鮮留学生に聞いてみた。
筆者:
「君は海外留学組、エリート中のエリートでしょ。
一般の国民、大多数は自分達の置かれた状況を知っているの?」
北朝鮮留学生:
「知っている。間違いなく知っている。
北朝鮮国内にも、多くの外国企業が進出している。
中国からの華僑は数万人にも及ぶし、中朝間を往復する商人は数え切れない。」
また、ある日、筆者が北朝鮮の閉鎖社会について突いたら、
こう切り返してきた。
北朝鮮留学生
「日本の若者は何も知らないじゃないか。
俺が目にしたことのある日本の若者はみんな、
中国語や英語すらまともに話せないぞ。
ニューヨークタイムズにアクセスできる自由をもっていて、
その権利をまともに行使しているのか。
それだけの英語力をもっているのか?
言論の自由?結構なことだ。
ではおもえら日本の若者はそれをまともに行使しているのか?」
彼の意見はもっともで、図星であったが、
一応、こうやり返しておいた。
筆者:
「ご指導ありがとう。
ただ一つだけ言わせてもらおう。
お前の中国語はまだ甘い。
発音も、文法も、表現法も、隙だらけだ。
俺と勝負するなら、もっと気合を入れて勉強して来い」
・正しい北朝鮮情報は運び屋に聞け。
中朝国境を行き来する商人は、
互いの国情について以下のように言っていた。
「大まかな状況は知っているよ。
常にネットワークを機能させて、情報交換に努めている。
向こうの側の実情を知らないとビジネスにならないし、
親戚達に食料や現金を渡そうとしても、目安が把握できない」
・つづけて、その運び屋は、
北朝鮮情勢分析の重要なポイントを3つ挙げている。
「まずは、食物の物価だ。
北朝鮮内部における、とうもろこし、
米、野菜などの価格変動は極めて重要だ。
国情を知る上で大切な指標となる。
外国からの食糧援助がないにもかかわらず、
価格が下がれば、その理由は密輸の横行だと判断できる。
ここ数年、密輸は継続的に実施されているが、
北朝鮮当局も半分見て見ぬふりをしている。
2つめは、人口の流動性だ。
北朝鮮内部における人口が流動的な場合、
ある種の開放を意味する。
3つめは、党、政治、軍などにおける、新しい状況だ。
特に人事は重要。
北朝鮮の国内情勢は、なんといっても政治で決まる。
党と軍の間の力関係などを含め、
これを外すと根本的に情勢を見誤る」
・北朝鮮国内の華人ネットワークについて。
食物の価格、人口の流動性、内政の変化、
この3つの核心的な情報は、両国を頻繁に、
そして定期的に往復している商人から得る。
彼曰く、
「北朝鮮国内には10万人のネットワークがある。
彼らは中国に帰ってきてから、
中国当局の役人と面会し、金銭を受け取ったりしている。
要は、情報の運び屋だよ。
中朝インテリジェンスのキーマンは、
やっぱり商人だ。
北朝鮮の社会に直接食い込んでいる商人からの情報が、
いちばん新鮮なんだよ」
・中朝関係と脱北者について、重要なポイントは3つ。
1.近年緊張化する外交関係の中で、
脱北する人間、中国で暮らす脱北者が激減しているということ。
2.北朝鮮側の脱北行為への取り締まりがより一層厳しくなってきていること。
3.国際社会で責任あるステークホルダーとしての
役割を果たすことが求められている中国共産党にとって、
脱北してきた北朝鮮人をいかに「処理」するかというプロセスが、
以前にも増して複雑化していること。
・中国国民が持つ情報量のレベル。
情報統制が厳しい環境で生きる中国人は、
生きる術として、天性のインテリジェンス力とネットワーキング力を持っている。
網の目のようにネットワークを張り巡らせ、生の、価値ある情報を獲りに行き、
自らの商品やブランドに変えてしまう。
・中国の対外戦略は、何もトップリーダーだけで決めているわけではない。
そこは、長老、軍部を含めて、
朝鮮戦争に関わった巨大な圧力団体が随時、指導部に「アドバイス」を送っている。
長老と軍部に気を遣いながら、政策面においても耳を傾けるのは、
中国のトップリーダーにとっては重要な素質なのである。
・内政、外交を問わず、筆者が見る限り、
中国政治の根本を支配しているのは、依然としてイデオロギーだ。
マルクス・レーニン主義であり、毛沢東思想である。
※コメント
北朝鮮情報は、正しい情報を見極めることが難しい。
そのためには、複数の情報を刷り合わせて、分析することがキモになる。
また、北朝鮮内部だけでなく、周辺国の情報も集めることがポイントだ。
★加藤嘉一『北朝鮮スーパーエリート達から日本人への伝言』
の詳細,amazon購入はこちら↓
◆菅沼光弘『北朝鮮・水爆実験、衝撃の舞台裏』動画ご紹介。
詳細はこちら↓
※動画の注目すべきポイント
・根本的な問題として、日本人は一般に、
朝鮮および朝鮮人というものに対する正しい理解が欠けている。
朝鮮人とは何ものかも知らずして適切な外交方針を立てることはできない。
・朝鮮半島こそわが日本の生命線であることは昔も今も変わらない。
朝鮮半島に対するわが国の影響力が皆無になれば、
わが国は滅びざるを得ない。
それが地政学的結論だ。
・政権幹部を「恐怖とカネ」で
コントロールしていると言われる金一族。
彼らの権力の源泉である資金はどこから流れてきているのか。
・北朝鮮がこのタイミングで水爆実験成功を発表した真意とは。
・北朝鮮が核を持たなければならない本当の理由とは。
・もし近い将来、朝鮮半島が統一されるとしたら、
人口にして7500万(フランスの人口:6600万)
の新たな核保有大国が東アジアに誕生することになります。
アメリカ、ロシア、中国の狭間で揺れる朝鮮半島は日本へ銃口を向けるのか否か。
・菅沼氏は東大法学部を卒業後、公安調査庁に入る。
西ドイツの情報機関であるゲーレン機関に研修・留学。
それはマインツ大学留学という名目。
その後、公安調査庁ひと筋に情報マンの道を歩む。
・菅沼氏は元・公安調査庁調査第二部長である。
詳細はこちら↓
公式ブログ『国際インテリジェンス機密ファイル』
ご提供中の小冊子リストは、こちら↓
◎国際インテリジェンス機密ファイル のバックナンバーはこちら
⇒ http://archives.mag2.com/0000258752/index.html