われわれは北京の犬ではない。秘密党員は去れ、不動産の豚も去れ | 日本のお姉さん

われわれは北京の犬ではない。秘密党員は去れ、不動産の豚も去れ

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成24(2012)年3月26日(月曜日)弐
通巻第3601号 (3600号突破記念特大号)

 梁震英・次期香港行政長官に異議ありと香港市民は街頭へ
  「われわれは北京の犬ではない。秘密党員は去れ、不動産の豚も去れ」と。
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 3月25日の香港行政長官選挙は梁震英の圧勝だったが、内訳は定員1200名の選挙人のうち、1193名が投票。このうち有効投票は1132票。白票も混じり、棄権も目立った。

 梁震英は当選後の記者会見で「これまで香港市民が享受してきた、すべての自由に変化はない」と声明し、また同時に一部のメディアから攻撃された「共産党秘密党員」説を否定した。
梁震英は公約に掲げた「低所得者用住宅建設」を実行するとも発言した。

 しかし考えてみれば1997年香港返還前夜まで、英国へ移住した香港市民が23万人前後、豪州へ移住して豪パスポートに変えてから舞い戻った香港市民も目立ったが、残りの金持ちの多くはカナダのバンクーバーへ移住した。バンクーバーはホンクーバーという異名をとった。

 『フォーブス』は1995年に特集号を出して「香港の死」と比喩したこともあった。共産主義独裁がやってくる恐怖、不安が市民に海外移住を促した。97年7月、中国人民解放軍が香港へ入城し、およそ900名が駐屯した。香港から言論の自由は消えると思われた。

 しかし表現の自由はかろうじて残り、北京を攻撃するメディアは少数とはいえ健在である。理由は中国共産党のほうが、香港の金融ハブとしての特徴、その利便性をむしろ活用しはじめたからである。
 
 香港在住の英国人は激減したが、かわりに入ってきたのがフランス人。香港におけるフランス人コミュニティは一万人を超えて、駐在日本人の数に迫る。そういえば、脱線ながら昨秋、香港に滞在したおり、ソーホー地区には洒落たレストラン、バア、パブが増えていたが、フランス料理の店が急増したことを不思議に思っていた。

 一方、中国大陸から香港へ出入りする中国人は、2010年統計で年間2600万人!
 観光? 昔は運び屋、書類や現金の運搬屋もいたが、いまは大量のビジネス目的である。
 世界の金融のハブの役割、アジアのファイナンシャル・センターとして、上海は香港にはかなわない。
 中国企業は香港で片っ端からIPO(株式新規公開)という錬金術を行使し、巨額をつかんだ。そのうえ、中国は人民元建て国債を香港で起債した。

 共産党の高官らは香港にダミー会社を登録している旧大英連邦の特権からバミューダ、ケイマン、英領バージン諸島めがけて、怪しげな会社を登記し、香港から正体不明のカネが、これらタックスヘブンへ向かった。つまり共産党の別の顔が、香港の金融ハブの活用を通じて露骨に表面化したのだ。


 ▼返還後、香港でおきていた異変の実態は

 この香港めがけて、中国大陸から妊婦も大量にやってくる。
西洋医学の先進的医療機関にはいり、もし子供を香港で産めば香港籍が取得できるとばかり、つぎつぎとやってくるので産院は満杯。昨今は国境付近で妊婦の入国を制限している。

また香港だけの現象だったフィリピン人のアマさん(女中)は、大陸での需要が急増し、どっと中国大陸へ職場を求める。
いまではフィリピン女性のアマさん、広州だけでも十万を超え、もちろん香港で二十万人。上海でもフィリピン女性のアマさんが顕著に目立つ。
 「香港の死」の予測ははずれ、香港は繁栄した。カネに目がくらんだ投機筋が蝟集し、不動産は倍々ゲームとなって開発業者は天文学的冨を手中にした。

 ともかく香港はアジア最大の市場であり、国際金融は自由なまま、英国植民地時代よりも規制が緩和されたため、オフショア市場で成立する金融セクターに人材が殺到して、オフィスのレンタル料金はまたまた跳ね上がった。香港の不動産価格は東京より高い。NYよりも、ロンドンよりも高く、この不動産ビジネスで巨富をなした李嘉誠ら「香港タイクーン」らが、富裕層に人気のあった対立候補、唐英年(金持ちのぼんぼん)を推薦した理由は、そこにある。

 昨夏、習近平が訪中したバイデン副大統領を四川省に案内していたおり、李克強は香港へ入った。李は香港の実業界、金融界の幹部を集中的に訪ねて、さらなる規制緩和、香港金融市場の堅持を約束しつつ、共青団の利権確保を急いだ。
 香港はどちらかと言えば上海派と太子党の利権だった。しかし広東人は基本的に上海人が嫌いであるから、今回のような逆転劇のおこりうるわけだろう。

 ▼香港市民の民意はひとつも反映されない選挙だった

 さて選挙当日、街頭では香港市民らが選挙の無効を訴えてデモ行進、集会。投票の会場となったワンチャイのコンベンションセンターの周囲はデモ隊に溢れた。同会場は97年の返還式典で江沢民と李鵬が並んだ場所でもある。あのときも江沢民と守旧派の李鵬が香港利権を奪い合った。そのために国家主席と国務院総理が対等にそれぞれが特別機を飛ばして並ぶという珍奇な場面があった。

香港市民のデモ隊のプラカードをみると「不要地下狼」「不要地産猪」「我要真普選」とある。
 それぞれ、「秘密党員はいらない」(梁震英)「不動産で太った豚もいらない」(唐英年)、「われわれが欲しいのは普通選挙だ」の意味である。

また「吾々は北京の犬ではないぞ」と横断幕。香港大学などで同時に実施された住民リフレンダム(合法性はないが)にはネット投票は妨害されたものの合計23万人が参加し、梁も唐も両名ともに「香港のトップにはふさわしくない。辞めろ」という結果だった。

 なお当選した梁震英の略歴は次の通り。
 1954年、香港生まれ、1977年に英ブリストル理工大学卒業。1997年7月から2011年9月まで香港特区行政会議メンバーをつとめ、99年7月から2011年9月まで香港特区行政会議ノン・オフィシャル・メンバー招集者だった。香港特区基本法諮問委員会執行委員・秘書長、港事顧問、香港特区準備委員会予備委員会委員兼政務小組組長、香港特区準備員会副主任委員を歴任。北京の団派との繋がりが強いとされる。
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(読者の声1)貴誌3600号達成おめでとう御座います。類似メルマガ多々ある状況の中で、つねに新鮮にして深い分析、感心して読んでおりますが。いつぞやも何回か投書がありましたが、貴誌を有料化される計画はないのでしょうか?
  (YT生、さいたま市)

(宮崎正弘のコメント)ご心配有り難う御座います。弊誌は拙著との相乗効果を目的としてところもあり、メルマガに掲載しつつ、方向的にまとまったものは大幅に書き加えて、データも最新のものと入れ替え、その都度、単行本としておりますので、是非、拙著をおよみいただければと思います。
ともかく弊誌の有料化はありません。

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(読者の声2)貴誌前号の香港選挙の速報、あまりの速さに驚きました。しかし北京寄りの梁震英氏の当選は、「一国両制度」などという、事実上の北京支配のもと、香港の真の民主主義とは言えず、いずれ台湾もこういう事態になるのではありませんか?
  (HU生、茨城)

(宮崎正弘のコメント)いや台湾の政治は既に半分前後、そうなっているのではありませんか。北京の顔色を窺い、独立色を消して国民党候補が優勢になるなどというのは香港と似ていませんか?
 呉伯雄(国民党名誉主席)はつい先日も北京へ行って胡錦涛に「拝謁」したあげく、「一国両制度」ではなく「一国二地方」などとアホなことを言いましたが。呉は、本省人であり、しかも兄貴は国民党の白色テロの犠牲となって殺された人物ですよ。

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(読者の声3)前回の投稿で、日本のアニメに感謝しているボスニア人の話を書きました。そのボスニア人と日本人がビジネスについて語り合った内容がまた面白い。
ボスニア人(Dさん)と日本人(Kくん)の話から。
http://ameblo.jp/self-neo/entry-10814361875.html


D Just going back to 70's... だから昨日、兄と電話で話したんだ。君が日本で生み出した日本的ビジネス倫理に基づく講義は、マレー人とマレーシアを救う内面の規律を築く手段になるかもしれないって。 
K そこまで深く捉える日本人はほとんどいない。
D マレーシアだけじゃない。セルビアも10年に渡る国連の経済制裁で国民精神の退廃は甚だしいものがある。しかしおれたちはおれたちの文化を守りながら再建したい。
だが、アメリカ的な底が浅い職業倫理は、アメリカが国連の親玉ということもあって心理的に抵抗がある人が多い。
K そりゃ、ボスニア紛争でサラエボを空爆したのはほとんどアメリカ軍だったからね…。
D どうだ? 君の講座をいつかセルビアで販売しないか? おれは国政や地方議会にもパイプを作ってきた。そしてセルビアでの日本人の評価はとても高い。
K …アジア、そしてヨーロッパで日本の職業倫理を広げるってこと?
D そうだ。おれは君が英語で書いた営業塾と会計塾の教科書を読んだ。そして思った。「これこそアジアとヨーロッパの途上国を救う有益な商品だ」と。そして同時にこうも思った。「どうして講座に日本語で名前を付けないんだ?」と。
K 日本語の名前?
D そうだ。「営業塾」、「会計塾」なんて名前で誰が買うか。そんな名称はアメリカやイギリスの教材にごまんとある。
K 確かに…。
D 入門編を「ニンジャ」、上級編を「サムライ」、最上級編を「ショーグン」と名付けたら一発で分かるじゃないか。
K 確かに…。
D じゃあ、会社名は「サムライビジネス」で決まり!
K 相変わらず強引だなぁ…。
D 考えてもみろよ。もし中国人が「サムライ」、「ニンジャ」、「ショーグン」という言葉を冠して何かの商品を販売したらどう思う?
K …彼らなら、儲けさえすればやりかねないね。
D 違う! そんなことを聞いてるんじゃない。日本語で日本の伝統思想を販売できるのは日本人しかいないっていう、当たり前のことを言ってるんだ。中国人が売る日本の教材なんて誰が買うものか。
韓国人が語る日本の職業倫理など、誰が信用するものか。きみたちはこれほど素晴らしい文化や伝統を持っていながら、どうして日本を主張しようとしないんだ?
K 価値はお客様が決めるものだから…。
D 確かにそうだ。しかしマレーシアの国民を見ろ。やつらは中国人に恐れをなしている。「おれたちは絶対にやつらには勝てない」って。ところが中国人は日本人に恐れをなしている。17年間この国で働いてきたおれはよく知っている。中国人がどれだけ頑張っても、日本人と同じ技術やチームプレイは絶対に生み出せないことを。
K それはそうだろうけど、中国人の独立意識の高さと個の強さは、日本人も尊敬しているよ。
D それはそうだ。だが、個人商店がいくら集まっても、所詮は個人事業だ。だから中国人には半導体や自動車は作れないんだ。膨大な人数で長期の複雑な分業を行うことにおいて、日本人以上に優れた民族はいない。
K そこまで褒められると照れるよ。
D 今、マレーシアとセルビアに必要なのは、何よりも、共同体や会社、政府のために個を抑えて奉仕する日本的職業倫理なんだ。
きみたち日本人には当たり前にできることが、世界の大半の民族にはとてつもなく難しいんだ。おれはビジネス上のアドバンテージから言ってるんじゃない。君の商品はアジアとヨーロッパの未来が求める条件を備えていると言ってるんだ。

続いて、日本の産業の強みと弱みについて、マレーシアでの都市開発プロジェクトから。
http://ameblo.jp/self-neo/entry-10815616560.html


Klang Valley Mass Rapid Transit Project
http://www.youtube.com/watch?v=Q2ogDAvnT0M&feature=player_embedded


K そうだろうね。その時は大きなビジネスが生まれるだろうね。次に、設計図と仕上がりの誤差はどんなのが多い?
D それはもちろん、測量、測地と実際の道路や橋梁の高低の差だろうね。きみもマレーシアの建物が地面との段差がめちゃくちゃなのは知ってるだろう? あれは、地下でもそうなんだ。地下なら見えないだろうって、やつら、配管なんて知らんぷりさ。
K そうだね。二階でも水圧が低くて水が十分に出ないビルも多い。なのに30階、40階建てのビルは無数に建っている。生活インフラの技術が低いのは問題だね。
D 日本では高さの問題はどう解決してる? 道路や橋梁建設で、設計図と作業の誤差は生じないのか?
K 日本の土木会社はGPSで測量を行っていて、ブルドーザーにもそれが導入されてる。ブルドーザーに内蔵されたコンピュータが人工衛星からの信号を読み取って、自動的にリフトの高さや角度を調整するんだ。だから高さがずれることはない。もっとも、設計図がきちんとしておかないと、指示持も全部ずれてしまうけど…。
D オーマイゴッド! なんてこった、道路工事を人工衛星からの指示でやってるのか? なんてすさまじい国だ、日本ってのは!
K 弟は測量と施工管理のプロで、特に水理や地下構造物には専門知識と豊かな経験を持ってる。GPS支援測量システムは九州でもかなり早く導入したんじゃないかな。
数百万円したって言ってたけど、それで後々の誤差がなくなるなら安い買い物だって言って導入してたよ。他の業者は今、必死にそれを買って練習してるけど、弟はもう自由自在に扱えるから、後進の技術者の教育をやってさらに収益力を高めてる。
D マレーシアにはそんなハイテクを使ってる建設会社なんて一つもない。それどころか、そんなものの存在さえ知らない。よかったら、おれにも教えてくれないか?
K 分かった。じゃあ、今年中に弟を連れて一度マレーシアに来るよ。
 …これでどれだけの手抜き工事が減らせるか。また、これでどれだけ安全性が高まることか…。コスト削減効果もすごいだろうけど、何より工事の質が高まって会社の評判が高まりそうなのが一番嬉しい。
K 建設業は日本最大の産業で、おそらく聞けばもっと先進技術もあると思うから、帰国したら色々聞いてくるよ。
D おれがもし、日本式の積算ノウハウと日本の最新技術を取り入れたら、マレーシアとセルビアの発展にどれほど貢献できるか分からない。しかも、技術者の教育も併せて行えれば、その効果はどんどん広がっていく。良かったら、きみの弟も一緒にマレーシアで建設コンサルタント会社を作らないか?

D 日本は技術貿易の国際収支が2兆円の黒字だって聞いてて、ノウハウの輸出だけでセルビアの国家予算に匹敵するのかと常々驚いてきたけど、まさかおれの仕事にこんなにぴったりの技術の話を聞くとは思わなかったよ…。まさかここまですごいイメージが描けるなんて…。
K 新技術を手に入れれば、一気に同業他社を追い抜くことができるからね。
日本の明治時代っていう時代もそうだった。新知識と新技術が勝負を分けた、かつてなかったほど競争が激しかった時代だ。今のマレーシアは、ちょうどそういう時代だと思う。
D そうか。なら、セルビアはもうすぐその時代が来るってことだな。しかし、マレーシアやセルビアには日本製の高機能の建設機械はまだ少ない。最新のノウハウや技術を取り入れても、機械がそれに対応していなければ使えないことも多い。どうやってその資金を捻出したものか…。
K 政府に知り合いいるんだよね?財務省関係はどう?
D いる。いいパイプがある。
K だったら、投資信託か何かの金融商品を発行したらどう?政府が発行するか起債するかすれば信用があるし、日本の銀行は預金者金利がゼロに近く、株価も下がり続けて債権価値も下がってるから、新しい金融商品なら買い手も付きやすいと思うよ。
D オー マイゴッド! 日本の金融情報を知っているセルビア人なんておれの他に誰がいるのか…。そんな方法は思い付きもしなかった!
K 日本の金融機関や投資ファンドは投資先もなく、投資家から早く利益を出してくれと急かされて焦っているから、有望な事業にはお金が集まりやすいと思うよ。それに日本の投資家は「投資はするもの」と思ってるけど、本当は「させるもの」だからね。
日本人のカネを投資させるには、マレーシアの建設事業はとても有望だと思う。両方の国に役立つし。
D 日本人から投資してもらった資金で日本の最新機械を買い、コストを下げて利益を増やせれば、配当も付けやすくなるな。確かにいいアイデアだ。日本の金融マンは、そんな感じで世界中に商談を広げているのか?
K いやいや、銀行も証券も保険も、新入社員が個人宅を回って預金や小口の投資を集める営業ばかりやってるよ。

D なんだって?世界中には、日本人から出資してもらいたい国や企業がいくらでもあるっていうのに、日本の金融機関の社員は国内ばかり営業してるのか?
K 日本の大卒社員は語学も会計もビジネス発想も全く駄目だし、金融機関の人間も国際情勢や歴史は全く知らないから、世界中に投資可能な案件を探しに行くなんて営業をやるわけがないよ。
D 香港やアメリカの金融機関の人間は、世界中の未開拓地を走り回って事業の可能性を見極め、担当者と関係を築き、息の長い信頼関係と事業計画を構築しているっていうのに…。たまたまおれはアメリカが嫌いだから断ったけど、日本の金融機関はそれで大丈夫なのか?
K いや、日本の金融業は日本で一番遅れていて、どうしようもない産業だ。規制に守られて社員の行動の自由度は狭く、自分から事業を興し、産業を支援しようなんて発想はないよ。昔は総合商社ってのがそういう仕事をしてたけど、今じゃ資源は中国に押さえられ、プラントや鉄道は韓国やフランスに取られてばかり。
日本企業は日本を富ませるための事業はいくらでもやるけど、ある国と第三国の関係を豊かにするようなビジネスチャンスの発見の仕方は苦手なんだ。
D 信じられない弱みだな…。じゃあ、日本国内では今人口が減少しているっていうから日本国内だけを市場と見積もっていたら、大変なことになるんじゃないか。
K メディアや政府、大学生もまじめな顔で「少子高齢化で人口は減り、日本は終わりだ」って言ってるよ。笑ってもいいけど、外国語や国際情勢が分からない点では、日本の役人や学生は北朝鮮の人民と同じだ。思想的鎖国の中で洗脳されているようなもんだね。
D 「日本が終わり?」。
だったら、セルビアやマレーシアは始まってもないぞ。日本人は悲観的すぎるんじゃないのか?日本人が世界中に技術や近代化の経験を知識化して売れば、日本は十分世界で一番豊かな国になれると思う。
K 世論を悲観的にした方が増税の根拠が増えるから、政府主導で「少子高齢化、少子高齢化」って大合唱しているよ。
おまけに若者やビジネスマンは全く近現代の歴史を知らないから、今世界に何が起こっているのかなんて全く知識も関心もない。やつらがいくら海外留学や旅行に行こうが、歴史も知らない人間にはビジネスチャンスなど見えようはずがない。

日本の建設業界はGPS支援測量システムを利用した世界最高水準の建設技術を持ちながら、日本の金融機関はアジア諸国の開発案件には目もくれず、香港・シンガポールの金融機関に事業化プロジェクトをさらわれ、貯蓄過剰でデフレが続く日本でさらに高齢者から預金をかき集めデフレを助長している実態が浮かび上がります。
18世紀から産業革命が始まったイギリスでは19世紀には資本蓄積の投資先を求めて南米の鉄道などに投資をしている。戦前の日本では朝鮮や満洲での民間投資がなかなか増えなかった(満洲では当初、民間投資を嫌っていた)ことから見ても、日本人は国外への投資にはよほど慎重なのでしょうか(バブル期の米国への投資でも大失敗が多いですね)。
バンコクの居酒屋で常連だった日本の大手ゼネコンの人も、タイでは3ヶ月もあればできる仕事でも1年~2年かかるのは当たり前、と言っていました。
震災での道路の復旧工事でわずか一週間ほどで元通りにしている事例を見ると、結局は資金と資材の集中投下ができるかどうか。アメリカのエンパイアステートビルができたのは大恐慌の真っ只中、余剰資材と労働力を活用し、わずか3年足らずで完成しています。
地価が下がり低金利のいまこそ北海道・北陸・リニア中央の各新幹線や高速道を整備する絶好の機会なのに北海道新幹線の完成予定は2035年。財務省の日本破綻論~増税路線に命を賭けるという野田総理、馬鹿につける薬はないとはいえ、覚悟もないのに命を賭けるなどと軽々しく言って欲しくはないですね。
   (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)日本はいずれスペイン、ポルトガルのように沈んでいく。衰退一途の方向にあります。気概を失った国民が、世界の列強に伍すことは、もはや考えづらいのではありますまいか。小生は政策とか、維新の会とか、選挙で勝てば、などという妄言につきあう気はなく、ひたすら精神、正気の回復いがいに日本再浮上の可能性はないと考えております。



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(読者の声4)震災瓦礫の処理が進まないことには再興着手ならず、急がれるのですが消費税議論に政権党議員百数十名が七時間も費やすという、相変わらずの政治劇ご披露の体たらく。
 瓦礫は沖ノ鳥島で埋め立て処分。
新保守政党については、これを打ち立てることで、港湾あわよくば空港を整備するまでの野心的政策が必要と思案いたしております。
いずれは核兵器を配備できる海上要塞となれば、とは願うのですが、当面のところ北朝鮮の鬼子が繰出す無謀を利用して、迎撃ミサイル配備基地として基盤を整えることは出来ましょう。領海保全、行き着くところは離島振興を看板に不沈空母を尖閣ふくめ国防態勢の確立を図る絶好機かと。皆様の御貴見や如何に。
 (熊本護国生)


(宮崎正弘のコメント)瓦礫処理に関して一つだけ疑問があるのです。現地で焼却炉を建設して処理できる筈です。どうも瓦礫を遠隔地に運んで処理するというのは利権がらみの産業とロビィが政治を食い物にしている側面がありませんか?
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<< 宮?正弘の寄稿掲載予定 >>
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(3)「都市人口が過半を超えたチャイナ」(『月刊日本』4月号、発売中)
(4)「習近平は日本に何を要求してくるか」(『撃論ムック』、下旬発行予定)
(5)「太子党は分裂しているが利害は一致」(『共同ウィークリー』、4月9日号を予定)
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