今回は、動物病院で処方される薬(今回は、トルバプタンを例に)の薬価について書かせていただこうと思う。
先日、このblogへコメントくださった方から、偶然にも薬価の話となり、私がUPしている費用明細額と大幅な違いがあり、私自身も大変驚かされた。
関東で治療を受けていらっしゃる方にも、お話を伺ったところ、私のところよりは若干安価な程度で、そのくらいの範囲であれば、自由診療の動物病院だからということで納得できるものだった。
が、今回、コメントくださった方の価格は、ほぼ薬剤メーカーから購入する価格と変わらない価格であり、聞けば問屋を通しての仕入れとのこと。ここまでの価格は、いろんな方とお話をさせていただいて方が、初めてであり、耳を疑うような価格だった。
ただし、動物病院は、基本自由診療なので、価格の違いはあって然るべき、よって現状では、仕方がないのだ。
安価になる理由として考えられるのは、
・かなり大きな病院
・他の薬剤含めたくさんの取引がある病院
・大量購入
そのが故、単価が下がる可能性があり得る。また、薬剤メーカー支社のある所在地では、送料の負担も少なく済むものと思われる。
そう考えると、地方の場合で、またそれほど大きい病院ではなく、
・中規模病院
・薬剤は必要最低限の仕入れ
・高価なトルバプタンは、在庫をせず、都度注文
となれば、バラ売りで購入、そして都度送料もかかるとなれば、やはり割高になるのもやむを得ないのかも知れない。
ちなみに、ほとんどの動物病院では、薬価には上乗せすることはほとんどない。もし、動物病院で他にかかるとすれば、処方料だったり、手数料、別途送料の負担等だ。
また今回、調べてみて、全部の病院とはいわないが、少なくとも競争率の高い大都市圏の病院では、処方料を取らないところが多く、逆に地方に行くほど処方料が発生しているように思えた。
処方料も1回数百円から、1日分に対して数百円を請求しているところもある。ひと月分であれば、数百円×30日となる。これも自由診療故、受診する方としては致し方ない。良い先生に出会えてもやむなく、違う病院へとなる場合もあるだろう。
大切な愛猫に、最高の治療を受けさせたいのは、皆さん同じだと思う。が、そこにのしかかってくる現実的な問題こそが、良い病院を選べないネックになってしまっていては、本末転倒ではないだろうか。
少子化が益々進み、ペット家庭が増えている昨今、またペットの虐待問題や、ペットショップやブリーダーの繁殖問題(近親相姦や多産なと)、利益主義で、命を扱っている意識のない人達でも、経営できてしまうのが今の日本。pkdのような遺伝子疾患は、本来であればきちんと遺伝子検査を受けさせてから、繁殖を行えば、病に苦しむペット達は、いなくなるはずである。
日本は、いつになったらペット問題について、法整備をするのだろうか。命を扱うことに関しては、まず取り扱いについて国家資格レベルの資格を有する者とし、経営となると、申請制ではなく、厳しい許認可を受けなければならない等、また繁殖については、獣医師レベルの知識を必要とする等、いくらでもやれることはあると思われる。そもそも命を売り買いすることが問題だともいえる。海外では、ペットを迎え入れたい場合、知り合いなどを伝って生まれた子を譲ってもらうしか方法はなく、日本のようにショーケースで見比べて選ぶのではなく、生まれてきた子を受け入れるのみが唯一の方法だ。そう考えると日本の現状は悲しいかな無法地帯だ。
動物病院も、人間並に保険の整備や診療の提供、薬価や診療料についても、一定のガイドライン的なものがあっても良いのではないだろうか。どの病院へ受診しても同レベルの医療が受けられ、薬価も一律、人間の病院と同じように、一定レベル以上の医療が必要な場合には、総合病院的な大病院(現状は、大学病院が担っている)を受診できるシステム等の構築を願ってやまない。それが、大切な命を(人間であれ、動物であれ)守り育てていく者としては、本当に望むところではないだろうか。
話は戻るが、トルバプタンについては、高価故、地方では、取扱病院が皆無だ。どの病院へ問い合わせても取扱を頑なに拒む。経験と知識がないことも原因の一つかも知れない。
関東圏や大都市圏であれば、もっと治療実績のある病院で医療を受けられるのではないか?薬価ももう少し安価にすることができるのではないか?しかし、病気に罹患している愛猫を連れ、受診するのは現実的ではない。それは、獣医師側も理解されている。しかし、現在の法律のもとでは、実際に受診しなければ、薬を処方できない。
悩んだ挙句、ここで何度か書かせていただいている関東の病院へ相談させていただいたところ、やはり遠方からの問い合わせも増えてきているらしく、今後、オンライン診療を検討していただけることとなった。もし、このオンライン診療が可能となった場合、直接受診することが難しい場合でも、受診した場合と同じような医療を受けることが可能となる。
今回、能動的に発案、検討に入られていただけた件について、心から感謝申し上げたい。オンライン診療が可能となった場合、このblog内で病院を紹介させていただくこともご了承いただいた。今まで、近隣でトルバプタン治療を受けられなかった皆様にも、治療を受けられるチャンスがあるかもしれません。期待を胸に、その時を待ちたいと思う。