多発性嚢胞腎を患っている兄猫は、多発性嚢胞腎と併発しやすい尿路結石もかなり悪い状況で、片側尿管に詰まったシュウ酸カルシウム結石を、昨年大学病院にて膀胱尿管新吻合術と言う、膀胱と石を取った部分の尿管を直接吻合するという手術を受けた。


術後は、あまり体調が思わしくなく、術後の内部の傷部分から尿の漏れがあり、自然治癒を待ったが、一向に塞がる傾向もなく、術後1週間にして、2度目の開腹手術を受けた。


その後も、体調は思わしくなく、発熱と食欲不振(全く食べず)の状態で入院期間を過ごし、病院の停電の都合で早めに退院させられたものの、歩くこともできないくらいに衰弱しており、尿管結石を見つけてもらったサードオピニオンの病院へと通院し、抗生物質と痛み止め、食欲増進剤等々を駆使し、どうにか持ち直してくれた。


一時は、貧血がひどく、そのまま亡くなってもおかしくない状態にも関わらず、大学病院では、特に輸血も行われずに、ただ熱を下げるという名目で濡れたタオルで全身を冷やされていた。お見舞いに行くと兄猫はガタガタと震えており、その方法が正解とはとても思えなかった。結果、大学病院都合とは言え、今となっては早めに退院となって、結果良かったと思っている。(恐らく、大学病院では、難しい症例を多く診てきていることから、飼い主が不安になるような状態でも、本当に危険かどうかの見極めが確かなのだろう)


大学病院とは、医療(病気)と向かい合っている場なのだと、そして日々積み重ねられた研究と努力の賜物が、通常の動物病院では対応出来ない症例にも、その技術をもって治療にあたってくれることにつながっているのだと改めて思わされた。


そして、現在、石の治療の薬は、サードオピニオンの病院、多発性嚢胞腎の治療は、元々のかかりつけ医でと2箇所に通うことになってしまっている。毎回、2箇所での検査となると兄猫の負担も大きい事から、自宅から近く、今は多発性嚢胞腎の治療を主にしていることからも、元々のかかりつけ医でまとめて診察、検査、薬をお願い出来ないものだろうかと問い合わせてみた。結果「石の治療方針は、基本食事療法でやっているので、サードオピニオン病院でもらっている薬の取り扱いはなく、出すことはできない」とあっさり却下された。


元々トルバプタン治療も行ってないのを、了承していただいたので、本当に感謝しているのだが、自分のところで扱っていない薬を扱うことは、そんなに難しい事なのだろうか?


コメントで多発性嚢胞腎がわかり、トルバプタン治療を受けたいと地元の病院を数々当たったものの、全て断られ、自宅から片道7時間をかかる先の他県の病院で、何とかリモート治療を受けることができることになった方がおり、本当に良かったと思う反面、何故?という疑問が拭いきれない。


確かにトルバプタンに関しては、猫に使用した実績やデータがまだまだ少ないという事情もあるかと思われる。が、しかし、飼い主としては、藁にもすがる気持ちで、全財産をかけてでもとお願いに上がっているのである。そこは、初めてのものであっても、獣医を職としているのであれば、今からでも調べて勉強し、飼い主と一緒に治療を行っていくことがそれほど難しい事なのだろうか?実際、新しい治療を始めている病院も、データが少なく、手探りであることは変わりないと思われる。


ちなみに関東のトルバプタン治療を行っている病院では、多発性嚢胞腎の研究を行った岩手大学と連携して、治療を行っているそうだ。そして、こちらの病院は、実際に受診はしていないものの、問い合わせにも真摯に向き合い、丁寧な回答をくださる姿勢から、まず第一に動物な命を救おうという考えをお持ちの病院だと思われる。


横の連携を密にし、どこに居ても、どこの地域でも、同様の治療を受けられるようなシステムにはならないものだろうか?本当に、目の前の動物の命を救いたいという気持ちがあれば、自ずとそのような考えが出てくるものではないだろうか?それが高額な医療機器が必要なものであれば、難しいのも理解できる。しかし、取扱の薬を1種類増やすだけ、病院への負担はほぼないに等しいにも関わらず、一歩踏み出す病院がこんなにもないことが不思議でならない。


心から動物のことを考え、治療に向かい合ってくれる病院が少しでも増えてくれることを願わずにいられない。