多発性嚢胞腎に効果のある(完治治療ではない)唯一の治療法がV2受容体拮抗薬のトルバプタン(サムスカ)である。

しかし、今現状、関東地区を除いては、地方でこの薬を使って治療を行ってくれる病院は、ほぼ皆無に近い。


しかし、昨今の猫ブームの中、多発性嚢胞腎(ADPKD1)の猫が増えているような気がする。私も、当初情報がなくネットやSNSを頼りに、どうにか治療に漕ぎ着けたが、今度は私のブログに助けを求めてコメントをいただくことが増えてきた。もちろん私は専門家でもないので、今までの経験と対応してくれた獣医の方々の意見、現在治療継続中の飼い主様等々のご意見をもとに、私のように何もわからず突然命の期限を告げられた、猫ちゃんと飼い主様に少しでも情報提供出来ればと、このブログを立ち上げた。


今回は、やはり地方でトルバプタン治療をしてくれる病院を探して苦戦している飼い主様へ、私も最終手段として念頭にあった個人輸入について書かせていただこうと思う。


トルバプタンは、個人輸入で購入が可能で、しかも日本の製薬会社製品より安価となっている。ただ、私の中では、下記の点が問題と考えられた。

①郵送の問題で、薬が途切れることなく上手く手に入れられるか?


②岩手大学の治験は、日本の製薬会社のもので行われたものなので、同様と考えて良いのか?


③個人輸入で飲ませている薬で、動物病院がその後の経過観察等のフォローをしてもらえるか?


④成分的に、国産製薬のものと違いはないのか?


この点に不安が残った。

結果、かかりつけ医に懇願し、受け入れてもらい今日に至っているが、あまりの薬価の高さに、今後も続けていけるか不安でしかない。よって、上記問題がクリアになるのであれば、個人輸入も検討したいところだ。


個人輸入のトルバプタンは、シンガポールおよび台湾からのものとなるようだ。






また個人輸入代行もある

https://okusurinavi.shop/detail.php?pid=1762





個人輸入で、頭を悩ませるところが、服用させる量や回数かと思われる。


参考までに私の兄猫の場合を下記に書かせていただく。


<スタート時>

7.5mgの半分、1日1回夜

1〜2ヶ月飲んで血液検査で、肝臓等に副作用がないか確認


<1回目増量>

7.5mg1錠、1日1回夜

1〜2ヶ月、検査、同様に副作用等なければ、次の増量へ


<2回目増量>

7.5mg1錠を朝晩の1日2回

1〜2ヶ月、検査、副作用等確認後、増量


<3回目増量>

15mgの1/3を朝晩1日2回

1〜2ヶ月、検査、副作用等確認後、増量


<4回目増量>

15mg1錠を朝晩1日2回

1〜2ヶ月、検査、副作用等確認後、増量


<5回目増量>

15mgと1/3錠を朝晩1日2回

体重に対しての規定量服用となったため、今後は基本

1〜2ヶ月、検査、副作用等確認



ちなみに兄猫の体重は、6.3Kg

規定量は、体重の3mgなので、18.9mg

飲んでいる量は、15mgと5mgの20mg

丸い1粒の錠剤なので、分割には限度があり、自分でカットしなければならないので、日によって多少(0.1単位の狂い)のズレはあるかと思うが、1週間もしくは、ひと月単位で飲む量を飲めてれば良しとする。


上記のように少しずつ増やし、食欲や元気がなくなるようであれば、一度前の量に戻したり調整しながら、その子の適正量まで増やしていく。また、他に使う薬との相性もあるので、そのあたりは病院から薬が出た場合、必ず飲み合わせを確認する必要がある。


また重要なのが、利尿剤なので、おしっこの量もかなり増える。その分の水分補給が絶対的に重要だ。お水はもちろん、ウェットフードのスープタイプのものでも利用し、兎に角脱水しないようにたくさんの水分を出来るだけ無理なく取ってもらうことが必須だ。


しかし、腎臓が悪い子は、基本脱水症状がベースにあるので、検査結果に反映されてくる可能性も高い。その場合は、血圧等にも注意が必要だ。そのあたりは、獣医と相談しながら薬を調節し、体調を崩さないように増量していくことがベストだ。


中には、慢性腎不全の対処療法の基本である、皮下輸液を勧めてくる獣医もいらっしゃるが、多発性嚢胞腎は、皮下輸液によって、増大することが確認されている。ただし、皮下輸液をしなければ命に関わる場合には、選択の余地はない。なので、ひどい脱水症状を起こさないよう十分な水分摂取をしてもらう工夫も必要となる。


我が家では、流れるお水が好きなようなので、蛇口のようなスタイルの水飲み器で、センサーで歩くと水が流れるようにし、そこを通るたびに水の音で水を意識させ飲ませるようにしている。これは、その猫ちゃんの好みなので、飼い主さんが1番ベストな方法を選んであげると良いかと思われる。


個人輸入薬は、あくまでも自己責任だ。しかしFIPの治療薬ムティアンは、基本輸入薬のため、病院で取り扱いのある場合もかなりの高額な薬価となる。完治までに要する費用は、おおよそ1,000,000円〜1,500,000円(2〜3ヶ月程度)と言われている。


トルバプタンは、持続して最後まで使用するため、長い目で見るとムティアンよりもはるかに高額な費用がかかる。ちなみに、遺伝性疾患については、ペット保険対象外だ。


参考までに

猫の人工透析を行っている病院もあるようだが、1回30,000円で、週3〜最終的には、毎日とかにもなるようだ。これは、ほぼ現実的ではない。また獣医の話から、透析を行うとその時は良くなるが、その後は徐々に悪化し、少しずつ腎臓と共に身体も衰弱していくようだ。


また、トルバプタンが多発性嚢胞腎対応となる以前は、慢性腎不全の対処療法を治療としており、(地方ではこの対処療法を治療として行っている病院がほとんど)今現在も行われていると思われる。あくまでも対処療法なので、多発性嚢胞腎に対しての治療とはならず、残された正常な腎臓細胞に負担をかけずに、どれだけ頑張れるかという療法となる。


・皮下輸液

・腎臓食

・腎臓の炎症を抑える薬

・尿毒素を排出するサプリ


などの利用がほとんどだと思われる。


どの治療を受けるかは、飼い主の選択となる。なるべく後悔のないようじっくり検討し、猫ちゃんの幸せを1番に選択して欲しいと思う。