今回は、我が兄猫の病である遺伝性多発性嚢胞腎の話ではなく、今まで愛猫家に恐れられていた、伝染性腹膜炎(FIP)について簡単だが、書かせて頂こうと思う。
つい数年前までは、不治の病といわれ、これにかかったら、数日で命はないと言われていた病が、今では、数種類の薬剤によって、たくさんの猫達の命が助かっている。
1番有名なのが「ムティアン」
中国製未承認薬で、有効成分は、後に述べるレムデシビルと同一とされており、生存率は82.3%
唯一血液のビリルビン値が予後に影響がでることがある。価格100万〜150万円
「cfn」
ムティアンの製造会社の社員が独立して作った薬で、製造方法、成分はムティアンと同一。ムティアンと比べ、流通量が少なく、在庫数に不安がある。価格ムティアンと同額〜少し高い
次に「モルヌピラビル」
ウィルス内の遺伝子コードにエラーを起こし、ウィルスの複製を阻害する薬剤。ただし、長期的な副作用は不明。安全性も確立されておらず、催奇形性や発がん性があるという指摘もあり。価格は、他の流通している薬剤の1/4程度というくらいで、はっきりしてない。
そして「レムデシビル」
聞いた事がある名だと思われるが、新型コロナ治療薬のひとつだ。FIPにも有効とされているが、残念ながら日本ではまだ動物用に流通されていない。
これだけ、効果のある薬剤があるにも関わらず、動物用として未承認となっており、そのためかなりの高額となっている。
遺伝性多発性嚢胞腎のトルバプタン(ジェネリック、正規品はサムスカ)も動物用に承認されていない。されたとしても、人間用ですら、かなり高額な薬剤な為、恐らく価格は今よりは若干の値下がりはあったとしても、やはり高価になるだろうと思われる。
更に遺伝性に関わる病については、ペット保険対象外となっていて、全て実費となる上、FIPは服用期間が決まっているが、PKDに関しては、一生飲み続けなければならない。
現在、我が家でも毎月10万以上の費用がかかっているのが現状だ。決して楽ではない。兄猫を助けたい一心で、お金は、後々でも、働いて稼げばどうにかなるの勢いで、今はかき集めてでも、足りなければ借金してでも、まずは助けるのが先決だ。
今の世の中で、ペットを飼うのが贅沢な道楽と考える人は皆無だろう。例えば小さなお子さんのいる家庭では、情操教育の一環としてもかなり効果的(昨今、コミュニケーション能力に欠けている若者が増えている事も踏まえ)であり、更にはペットケアラーとしての存在意義を有していることも証明されている。人間と切っても切れない身近な間柄なのだ。
それだけ精神衛生的に、癒しを与えてくれる動物達に、人間は一方的すぎではないだろうか?もっと動物達に還元すべきだと思うのは、言い過ぎではない。何故なら、動物たちは一生をかけて、私達人間に寄り添って生涯を終えるのだから。玩具ではないのだ。彼らにも気持ちがあり、楽しいも、嬉しいも、悲しいも、痛いも、苦しいもあるのだ。
助かる薬剤があるのであれば、もっと誰もが使えるような価格になり、たくさんの助かるべく猫たちが増えて行く世の中になるべきだと思う。
そして、この遺伝性多発性嚢胞腎についても、人間にもある病なのだから、尚更のこと、遺伝子の次元から研究を進めていただき、是非とも完治を見込める薬剤の開発に期待せずにはいられない。またそう希望を持って戦っていきたい。そういう未来が近いうちに現れるのを懇願している。