腎臓機能の検査に欠かせない三項目について、少し詳しく書いていこうと思う。

まずは、クレアチニン、そしてBUN、最近加わった新しい検査としてSDMA。それぞれの内容は、下記に記す。


<クレアチニン(血清クレアチニン):CREA >

クレアチニンは筋肉が活動する際に生じるタンパク質の老廃物。本来は、尿素窒素と同様に腎臓の糸球体でろ過され尿中に排泄されるが、腎臓の機能が低下すると尿中に排泄される量が減少し、血液中にクレアチニンが溜まる。腎臓機能低下と共に、血清クレアチニンの数値は高値となる。ただし、猫の筋肉量にも比例するので、体の大きな若い猫などは高めの数値、筋肉量の落ちた高齢猫では、低くでる傾向あり。


<BUN:血液尿素窒素>

BUNは、タンパク質を栄養として用いるときの老廃物U

クレアチニン同様、腎臓機能低下に伴い体内に留まる性質があり、そのため腎機能検査として用いられている。

なので、直近でタンパク質を多めな食事を取った場合、値も高めに出ることがある。


<SDMA:甲状腺機能亢進症を患う猫における信頼性の高い腎機能の指標>

腎機能の低下において、SDMAは常に一歩先を行き、糸球体濾過率(GFR)が低下すると、SDMAが上昇。このとき腎機能は平均して40%、少ない場合では25%低下した状態。一方でクレアチニンの場合、腎機能が最大75%低下するまで数値が上昇しません。SDMAは、クレアチニン検査では見逃されてしまう軽度から中度の腎機能低下を発見できる。また、甲状腺機能亢進症の猫の多くが、同時に腎臓病を患っているため、どちらの疾患の早期発見に繋がる。

この早期の発見が診断、治療、患者の転帰に良い影響を与えることから、最近では、SDMAを含む3つの検査が腎臓病に必須な項目となっている。


またこれら検索の正常値およびステージは下記の表の通りだ。



また、各ステージに関する平均寿命は、

ステージ2 : 1151日(約3年)

ステージ3 : 778日(約2年)

ステージ4 : 103日(約3ヶ月)


これを鑑みると、いかに腎臓病にさせないかが大事だとわかると思われる。今のところ避けては通れない病となっているが、いかに発症を遅らせるか、家族として猫を迎え入れるにあたり、子猫の頃から念頭においていただけると幸いである。