無事、尿管結石手術を終え、緑膿菌治療もひと段落したところで、当初より探していた多発性嚢胞腎治療薬の投薬を開始した。
この薬を手に入れるまで、本当に大変だった。
ネットで、岩手大学の論文を見つけ、人間の多発性嚢胞腎の治療薬として使用されているトルバプタンという薬を使って猫に効果があるかの治験で、結果、完治は出来ないが、嚢胞が出来るスピードを遅らせる効果は認められたとのこと。また、それにより延命につながったと書かれていた。
この論文を元に、独自に薬を用いて治療を行っている病院を探すも、わたしの住んでいる地域では皆無だった。また、その薬名を伝えても認知していないドクターも多数おられた。そして知っていても実際には、治療実績がないため、使用出来ないという病院がほとんどだった。
そこで、今度は、実際に治療を行ったいる病院をSNS等で探し、連絡をしてみた。また、同様の治療を受けている飼い主も探し、そちらへも連絡を試みた。
結果、ドクターからの返答は、やはり現在進行形の治療で、絶対に効いているとも、延命出来るとも言えない段階。元々多発性嚢胞腎自体がゆっくりと進行する病気なので、元々のその猫のスピードなのか、薬での効果のスピードなのかは、なんとも言えないとのことだった。
飼い主の方からの返答は、もっと具体的に伺うことができ、この方との出会いから、少しずつ道が開けて行った。本当に感謝している。まず、投薬量、そして経過状態を伺うことができ、またその治療を行っている病院も教えていただくことが出来た。ただし、私の住んでいるところからは、飛行機で移動を要する距離で、具合の悪い兄猫を連れて受診することは難しい状態だった。
当初、一度でも受信をしてもらえたら、その後の薬は、郵送で送ることも可能とのことだったが、それでは経過が処方されているドクターに診てもらうことが出来ない。多発性嚢胞腎は、投薬を始めたら、経過観察が重要となる。肝臓や腎臓に負担がかかる薬でもあるため、血液検査も必須ながら、嚢胞の状態をみながら投薬量を調整する必要があるためだ。
そこで、岩手大学の論文と、治療を行っている病院の資料、そして、この飼い主の方から紹介された病院のドクターが、岩手大学の論文を基に行われた学会資料を、LINEで添付してくださり、それらを持ち、かかりつけ医へ説得に向かった。
当初は、やはり他の病院と同様に、新たな薬の導入に難色を示したが、こちらの熱意に負け、また今回この治療を行うことで、今後同様の病気の子たちに、この地域では唯一治療を施すことができる病院となる可能性もあることから、担当ドクターが医院長ということもあり、導入してくださることになった。
本当にその勇気に感謝しかなかった。
そして、その薬を使用できる事を本当に嬉しく思った。
それから薬を取り寄せるまでの1週間を待ち、連絡をいただき、最初は少量からスタートさせることになった。
ちなみに岩手大学の論文では、3mg/Kgが副反応もなく、効果が出る量とされている。
兄猫は、この頃体重が減り、また術後で腎臓や肝臓にも負担がかかったこともあり、トルバプタン7.5mgの半分を夜1回からスタートした。合わせて腎臓病の薬ラプロスも服用することとなった。元々は利尿剤としての薬剤なため、水の飲む量が増え、おしっこ量も増えてくる。
腎不全の症状ではなく、薬の影響なので、そこは気にせずに逆に利尿剤なので、たくさんの水が飲める環境を整えることが重要となる。同様にトイレも通常より多く設置した。
次回→多発性嚢胞腎治療薬開始から4週間後
<少量のトルバプタン>
スタートは、この錠剤の1/2を夜1回から始めた。
薬剤単価@900円/錠
動物用は、開発されておらず、人間用を用いているため、10割負担の価格となる
<動物用腎臓病薬ラプロス>
朝晩1日2回、1回1錠
薬剤単価@150円