ニックは自分がダニエルのホームパーティーに誘われた理由をこう考えていた。
俺が断ることを前提に誘ったんだ。ジェニファーが来ることを自慢したがために、と。
もうパーティーは始まっているであろう。ニックは時計の動きにしきりに目を移す。テレビをつけてはいるが全くと言っていいほど内容は頭に入ってこないでいた。
考えないようにすればするほど気になって仕方がない。ニックはため息ばかりもらしていた。
そんな時、突然電話が鳴り出した。
「もしもし…」
「もしもし、私よ。」
「え、ジェニファー!? ダニエルのところにいるんじゃ?」
「そうよッ。あなたも来るって聞いたんだけど…。」
「え、いやぁボクなんて場違いだし…。ボクのことなんて気にしないで楽しみなよ。」
少しの間沈黙があった。ほんのわずかな間ではあったが、緊張しているニックにとってどうすればいいかわからないこの沈黙は長く苦痛に感じた。
「ダニエルにね、ニックが、、、来るって聞いたから私も来たのにな…」
ガチャッ、、、電話は切れた。
ニックは一瞬わけがわからなくなり立ち尽くした。が、すぐに我にかえり、急いで身支度を済ませて家を飛び出した。
聞き間違えではないだろうか、そんなことを考えながらダニエル宅に向かって走った。
息を切らしてダニエル宅の門へ行くと、ひとりの女がそこに微笑んで立っている。ジェニファーだ。
「いらっしゃい。来てくれたのね。って私が言うのも変かしら。ふふっ」
「…………」
「ニック…?」
「ジェニファー聞いてくれボクは君のことが、、、、、、、、」
ニックはダニエルとバルコニーで同じ夜空を眺めていた。
「ダニエル、なぜだ?」
「何がだよ」
「とぼけるなよ。ジェニファーのことさ。」
「あぁ…。まいったよ。パーティーに彼女を誘ったら『ニックは来るの?』だぜ? まったく俺は何をしているんだか。」
「ダニエル…お前…」
「まったく世話がやけるよな。じれったいんだよ。ジェニファーから電話が来たろ? あれは俺がかけさせたんだ。『あの意気地無しを待ってても無駄だぜ』ってな。」
「ありがとう、ダニエル。」
「うるせぇよ。」
ダニエルはそこからニックが去った後もしばらく窓の外を眺めていた。
それを見上げていた視線を少しずつ下へ移していくと、男と女の後姿が見えた。
そのふたりから輝きを感じた。つい今まで眺めていた星空にも負けない幸せの輝きを、、、。
そして、きっと今は自分の目も輝いているのだろう、目に熱いものがこみ上げてくることに気づきダニエルはそう思った。
「おい! ダニエル、そんなとこで何やってんだよ!」皆のところへなかなか戻らないダニエルのことを不思議に思った友人が呼びに来た。
「これでよかったんだよな…」
「はぁ?」
「いや、なんでもない。アレックス、朝まで飲み明かそうぜ!」
「そうこなくっちゃ!」
ダニエルは今までの自分になかったものが生まれるような感触を心地よく思っていた。
ニックには生涯の恋人とかけがいのない友人を同時に手に入れるという最高の一夜となった。
一方そのころ磯野家では、、、
「ただいま~!」
「おかえりなさい。今日のおやつはカスタネットよ!」
「食えねぇよ!」
つづく
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第11話を書き終えて、、、
今回は前フリが長い!
「一方その頃シリーズ」が本編との位置関係が逆っていうオチです。