語らずとも

その内に

密やかな

大志を抱き


あるがままでありながら

時に煩悶し

痛手を負いながら

再びその方角へと育ち行く


生くるうちには

届かずとも

近づくことに

至福を味わう


沈黙の翼を広げ

どこまでも飛び続けよう


あの青い空の彼方へ

その暖かき光のもとへと



風の隠れ家-Goldcrest

( Les ailes silenceuse  レゼール・シランスィユーズ  沈黙の翼 )




天空の果て

君住む庭


芳香に 心奪われ

密やかに 訪れて

漂う夢に 身を浸す


日がな一日

その香を纏(まと)い

心も軽(かろ)く

今日を過ぎる


名も無き花

名も無き我


決して

摘まぬが故の

永遠の恋



風の隠れ家-campanula

( Jardin inconnu ジャルダン・アンコニュ 知られざる庭 )

空の彼方

目覚めよ と 

光は言う


冷気にうずくまる身を起こし

見上げる空に

微か 春の兆し


長い冬の終わり


凍る心も解け

頑なな扉も開く


一度は沈みかけた私も

その確かな呼び声に

再び走り出したくなる


君と共に行こう


ひたすらに

砂漠を緑で埋め尽くす為に


光呼ぶ方角へ

夢叶う時を描いて


ただ一つ

命甦る この言葉を

握り締めて



風の隠れ家-labradorite

( Espoir エスポワール 希望 )


風の隠れ家-La mer et le ciel


静寂の冬の海

陽射しは穏やかに



流れ着く貝殻と遊び

海鳥の足跡を追う



繰り返す波のリズムに

日常の自己を洗う



君は静かに隣に在りて

水平線の彼方を見つめ

共に今を味わう



この空と海の

今日の青に

ひたすら包まれていよう



暫し束の間の心の凪に

幸福を沁みこませていよう


                       ( Voyage ヴォワイヤージュ 旅 )


風の隠れ家-Beau soir2


いのち短き者の きらめき

めくるめく 色とりどりの ゆらめき


その景色の中に佇み

言葉なき言葉を交わす時


わずか残された生を愛しみ

逝くことをためらう程に心震え

頬つたう熱き涙に 再びいのちを知る


皆 明日をも知れぬ命

ただ それを忘れているだけ


この世界にも

耐え難く美しいものが在り

自らも そうあろうとして

喘ぎつつ生きる


それ自体が

ただ限りなく

世界を美しくするのだ


                  ( Beaux jours ボ・ジュール 美しい日々 )


風の隠れ家-dent de lion



日ごとの風の冷たさに

周りの草は枯れても

僅かばかりの陽だまりで

私は咲く


たった独りに思えても

独りでは咲けないんだ


そう、今のまんまで

いいんだよ

生きていけるし

花も咲かせられる


見えないけれど

確かなものが

注がれているから

こうして君に話しかけている


君も同じだね

震えながらも

笑って咲いている


            ( Fleur d'hiver フレール・ディヴェール 冬の花 )

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凍える大気 胸を刺し

真白き風は 頬を打つ


見上げる灰色の空の下

震える指で夢を奏で

わたしの心を刹那に溶かした

あのまなざしを懐かしむ


冬の只中に生きようとも

別れてなお

温かき 君


le ciel gris

( Piano ピアノ  )



名も知らぬ綺麗な鳥が

私の庭に来て

人知れず歌を歌っている


空は青

白い雲は流れ

微かに枯葉の香りを運ぶ風


君の小さな歌が

私の心に

空の果ての物語を教えている


やがて飛び立つ君と

私の心も旅に出る


ああ 自由だ

この心

どこまでも飛べる



                       ( Un oiseau アノワゾ 一羽の鳥 )


kinmokusei


甘き香りは 苦き思い出


秋の日の 冴え渡る気に漂う 

あの花の香に酔いながら

君への想いと決別した夜


独り 歩き

彷徨う心に 苛立ちながら

涙することにも疲れ

私は 逃げたのだ


金木犀 芳香を放つ今宵

胸に満つ

帰らぬ日の 甘美なる悔恨


                     ( Le parfum ル・パルファン 芳香 )



空高く

青の極みを見据え

ひたすらに

思い描く

来るべき時の至福


あわれ

地に生くる身なれど

それ故の

幸いもあり


美しき秋


何処(いずこ)から

流れ来るやも知れぬ

深き切なさも

人知れず心地良し


頬をつたう涙にも

命の熱きを知り

哀しみの中に於いても

歓喜に噎(むせ)ぶ


あわれ

地に生くる身なれど

それ故の

幸いはあり



Les arbres
( Beaux jours ボ・ジュール 美しき日々 )