このところ、雨が降ったら、日中でも最高気温が13度、夜になったら9度と、3月並みの寒さかと思えば、晴れると30度近くまであがってみたり、ジェットコースターのようなお天気です。

さて、母高子の延命措置打ち切りのため、子供たち3人を連れて、車で夜通し走って、大阪にとんぼ返りの俊一郎です。
幸子、昨日マンションで別れた後、できるだけ早くまた彼に会いたいし、子供たちとも会いたいなと思って、彼にプレゼントされたトルマリンのブレスレットを握って願ったところ、4時間後に、母高子が事故で脳死状態となったため、子供たちも一緒に、車で那須を出て、夜通し走って、大阪に行くことになった。
ついては、明日、会えるように手配して欲しいとのメールが届いて、用件的には不吉ではあったのですが、豊中と京丹波の役場に行ってくれば、入籍もできると、喜んでしまいました。
夜通し高速を走って行った神坂家一行は、朝8時に正雀に着きましたから、早速幸子と智佳に電話すると、二人とも驚いていました。
幸子は、羽川家としても、婚姻届けに、母と兄の署名をもらって、戸籍謄本も取って、入籍できる用意をしておくから、高子の延命措置が片付いたら、羽川家に来てもらいたいと返し、智佳からは、貴世子は9時半ごろに病院に着く予定だと、返信が返って来ました。
神坂家一行は、前回来た時よりもひどいゴミ屋敷となっている正雀の家に呆れつつ、近所のコンビニで朝食を手配し、食事を済ませ、9時になると、俊一郎は、会社と学校に電話をかけて、忌引きを申請しました。
丁度仕事が片付いたところで、有給休暇もほとんど取得していませんでしたから、会社の方は、1週間休むことにしました。
バイクで来た智佳夫妻と、正雀で待ち合わせした後、病院に移動し、貴世子の到着を待って、高子の延命措置を打ち切りました。
予め、高子は死んだら葬式は行わず、献体に出すことで了承されていましたから、その手続きも済ませて、貴世子を車に同乗させて、一旦正雀の家に戻りました。
そこで貴世子は、実は高子に、「ママが朋子さんを殺したんでしょう。」と言ってしまったことを話し、智佳は、救急隊が来た時の状況から考えると、怒り狂った高子が、罵声を吐きつつ隣にあった食器棚を叩いたら、アンバランスに重いものを詰め込んでいたため、倒れてきて、下敷きになって、呼吸困難で脳死になったと思われることを話しました。
貴世子としては、後ろめたいところがありましたから言葉少なだったのですが、何と俊一郎が、こう声をかけました。
「グッジョブ。」
一瞬の間の後、子供たちも含めて大笑いになり、深刻な雰囲気は吹っ飛びました。
そして、続いて、宏和が、叔母の貴世子に何と感謝の言葉を述べたのです。
「僕たちが言いたかったことを代弁してくださり、ありがとうございました。」
そして、亡き母朋子が、高子を始末できなかったことが心残りだと言い残していたことと、孫3人が共謀して、祖母高子を始末しようとして、母朋子に、それだけはしてはいけないと止められたことも話しました。
結局、その場の全員が、高子を、恨み、憎んでいたことが判明したのですから、それだけひどい人間だったことが実証されたのです。
後始末は、扶養親族にしていた貴世子が請け負うこととなり、神坂家一行は、豊中の羽川家に移動しました。
俊一郎は、まず、子供たちを羽川家に紹介しました。
幸子は大喜びで、子供たち3人をハグして回りました。
すると宏和が、父親に、幸子は最高の相性だと保証しましたから、淑子と一輝夫妻と甥輝和、姪真知子に事情を説明し、母が亡くなったと言う大変な状況だが、この機会に入籍を済ませたいと、了解を得ました。
俊一郎は、先に京丹波役場に行って戸籍謄本を取って来て、豊中市役所に手続きをすると言ったのですが、俊一郎の戸籍謄本以外の書類は揃っていましたから、とりあえず、羽川家で昼食をとってから、幸子も一緒に京丹波に行けばよいと言われて、それに従うことにしました。(注2024年から、マイナカードの普及もあって、戸籍謄本の提出は不要になりました。)
宏和が気を利かせて、父はほとんど眠っていないので、食事の用意ができるまで、少しやすませてもらえないかと申し出たので、幸子が、羽川家の客間に案内したのですが、昨日の続きで、俊一郎に付き添うつもりで、あっという間に熟睡してしまい、食事の用意ができたと知らせに来た輝和と真知子を驚かせました。
神坂家の3人の子供たちも、幸子が、本当に死んだように眠っているのを見て、驚いていましたが、母の淑子と義姉真理も、不眠症気味の幸子がこんな風に熟睡しているのは初めて見ましたから、同様に驚いていました。
幸子は、居間まで俊一郎に抱いて行ってもらって体裁悪そうにしていましたが、食後、神坂家の4人と共に、ベンツのワゴンに同乗して、京丹波役場で入籍手続きを終え、晴れて神坂幸子となることができました。
子供たちが、父と幸子が婚姻届けに記入して提出するところまで、一挙手一投足を見守り、届け終えると、3人で二人を取り囲んで拍手したため、その場にいた役場の職員も拍手して祝福してくれました。
そして、新婚夫婦と子供3人は、今夜は豊中の幸子のマンションに宿泊し、明日5人で那須に行くことになりました。