誤解を招きそうな題名ですが、セックス関係ではなく、感情の方なのです。
私の夫、俊一郎は、本当に感情が無いのです。
確かにそのとおりなのですが、彼、ちゃんと笑いますし、怒りますし、余り楽しそうな顔はしませんが、泣くこともできるのです。
喜怒哀楽のうち、喜怒楽は乏しいのですが、哀については、歌を聞いているだけで涙を流していることもありますし、笑ってはいけませんが、「しあわせな王子」や「ごんぎつね」の話を読んでも泣くのです。
他人の経験でも、同調することがあって、やはり涙を流します。
つまり、悲しいという感情自体は、割と普通に感じることができるのです。
大きな問題は、彼は、自分自身については、感情を、喜怒哀楽を、全く感じないことなのです。
つまり、その時の状況によって、普通の人間なら、こんな風に感じるのだろうな、と考えて、反応しているだけで、彼自身の感情による反応ではないのです。
普通の人間ならば、彼の反応を、通常の感情によるものだと思ってしまうでしょうが、私は、恐らく私だけは、それが彼の感情から来ているものではないことがわかるのです。
3人の子供たちにさえ、わからないと思います。
子供たちは、父のことを、大分おかしな人間だとは思っていますが、あくまでサヴァン症候群の副作用のようなもの、ぐらいに考えています。
つまり、大天才の父だから、凡人には理解不能な変な反応を示すのだろう、というのが、彼らの捉え方なのです。
そうではないことがわかる私にとっても、感情の無い夫が、どう感じているのか、は謎です。
凡人であり、彼が言うところの、感情豊かな女性である私にとっては、到底理解できないことなのです。
ただ、サヴァン症候群の超越的分析能力によって、常に最善の善後策を考えている彼ですから、ただ常に何かを考えているに違いないと理解するだけなのです。
彼の分析と言うか判断は、超越的です。
速さ一つとっても超人的ですから、未来幻視とも結びついているのかも知れません。
そうなる未来だから、その通りになるように判断しているとも考えられるのです。
特に凄いなと感心したのは、私が浮気して彼を裏切った時で、そのことを正直に白状して、一方的に私が悪い状況でしたから、「離婚して。」と頼みましたが、彼は、怒りもせず、表情も変えず、「別れない。このまま行く。」と即答しました。
3秒も考えませんでした。
その後、個々に聞き出すと、私のことだけでなく、子供たちや、浮気相手のことまで、物凄くいろいろなことを考え、関係者全員のことを信じられないぐらい分析し、見抜いていたことまでわかったのですが、それらを3秒もかからずに総合的に判断して即答したのです。
それができるのがサヴァン症候群の超越的な頭脳なのでしょうが、もし彼に普通の感情があったら、本当に正しい答えを即断することは、絶対にできなかったでしょう。
彼は、その正解を導き出すためには、まず、自分のことは切り捨てていたのですから。
現在の幸せな家族の現実にたどりつくには、つまらない回り道はしていられないというのが、彼の結論だったのです。
本当の正解を導き出すためには、感情は、邪魔にしかならないのです。
彼と45年間付き合って、そのことがようやく理解できるようになりました。
私自身にも、家族全員にも、彼に感情が無いことによって、瞬時に、最適な判断を下すことができたことは、一番の幸運でもあったのです。
唯一彼の心の中まで覗くことができる私には、感情の無い、不気味な夫ですが、その夫と結婚し、家庭を築くことができたことは、現世の私の一番の幸運であり、幸福です。
死ぬまで、いや、私が死ぬまでは、猫かぶっていてください。

ヒガンバナです。
例年はもう少し早く咲くのですが、今年は暑さが続いたためか、本当にヒガンバナになりました。

こちらは、シュウメイギクです。
キクの名前はついていますが、キンポウゲの仲間です。