67歳になって、自分が一番年老いたなあと感じることは、いろいろな言葉が出てこないことです。
では、出て来なかったらどうするかですが、考え得る限り言い換えるのです。
あるいは、名前だったら、考え得る限りの情報を引き出すのです。
最近苦労したのはこの花の名前です。




大変いい匂いのするハーブなのですが、名前が出てこなかったのです。
そこでどうしたかと言うと、まず、これはハーブである、それから、アールグレイのにおい付けに使われている、そして、本来は柑橘の一種の名前であった…、そこまで情報を引き出しても、直ぐには出てこなかったのです。
逆に言えば、これだけの情報があれば、ネットで調べれば簡単に名前はわかるのですが、それでは自分の頭の中の回路につながりませんから、しばらく考えて、ベルガモットという名前にたどりつきました。
それを何度か頭の中で反復すれば、まあ、しばらくは忘れません。
この情報を引き出すことは、外国語会話で役立ちました。
もう29年前になりますが、6か国を巡る海外研修に行かせてもらえたことがありました。
私、英語を専門的に学んだわけではなかったのですが、幼少期から、アメリカ生まれで英独会話ができた父と、インターナショナルスクールで外国人と付き合いのあった母に、これは英語では何て言うかと聞いたり、欧米風のマナーを学んだりしたからなのか、英語の感覚というべきものが何となく身に付いていたのです。
そのお陰と、サヴァン症候群の分析能力からか言語的な才能に恵まれたことがあいまって、海外は初めてだったにもかかわらず、最初のアメリカで、2日でほとんど普通に会話ができるようになったのです。
アメリカって、国際的移民国家ですから、アメリカ英語は寛容、言い換えればいい加減なのです。
ですから、同じ意味の言葉でどんどん言い換えれば通じたのです。
3日たつと、この人はイタリア系だとか、スペイン系だとかまで判別できるようになりました。
思えば、小学生の時に、クリスチャンの父の影響で、日曜学校に行かされて、スペイン人のシスターに少し英語をならったことも。この判別に役立ちました。
ですから、ニューヨークのサラトガ競馬場で、イタリア系のなんとドン・カポーネという名前の責任者に、「私の名前は、ドン・カポーネ、アルじゃないよ。」と自己紹介された時に、有名なギャングスタ―のアル・カポーネとかけたと気付いた私だけが笑ったところ、その後ドン・カポーネ氏、私にしか話しかけなくなってしまって、私は通訳にされてしまったこともありました。
で、アメリカ、カナダは、一人で買い物に行っても大変快適に過ごせたましたし(もっとも、ロサンゼルスでは、治安が良くないので、現地の人には、頼むから一人で出歩かないでくれとお願いされました。)フランス、ドイツ、イタリアでも、そこそこ通じたのですが、英語の本場?イギリスでは、うまく通じなかったのです。
笑い話みたいでしたが、ストラットフォード・オン・エイボン競馬場のプレジデントと会話した時に、日本から研修旅行で来たことの説明で、スタディング・トリップと訳したところ、全然通じなかったのです。
そこで、日本から来て、いろいろな競馬場を巡って、学んでいると説明し、それでも通じなかったので、トリップをジャーニーと言い換えたところ、ようやく通じて、「オー、スタディング・トゥーリップ」と理解してもらえたのです。
でも、アメリカなら普通に通じたのに、ちょっと発音が違ったのでしょうが、それだけで通じなかったのはショックでした。
とはいえ、普通のお店では簡単な言い換えだけで十分通じました。
通じなかったのは、貴族階級が集まっている競馬場内だけだったのです。
イギリスの競馬、上層部だけでなく、係員クラスまで、貴族階級の者が、ボランティアで運営しているのです。
ですから、競馬場ではアメリカ英語は通じなかったのです。
我々は、それでも私の言い換えまくりで何とかなりましたが、カナダまで同行した別団体の職員は、ロンドンで「英語が通じないから通訳をつけろ。」と言われたそうです。
イギリス英語は、寛容ではありません。
でも、イギリスは、旧植民地の関係で、インド人がいっぱいいて、彼らの英語もまた少し違うなとわかりました。
ですから、外国語会話は、如何に多くの言い換えができるか、が上達の秘訣でしょう。
私の場合、もう一つの才能は、英語だけでなく、フランスではフランス語、イタリアではイタリア語、ドイツではドイツで聞きまくり喋りまくることで、3日もたてば、大抵何を言っているかわかるようになったことです。
ただ、イタリアでは、タクシー運転手に、「空港まで料金はいくらだ。」と聞いたら、「20分だ。」というコントみたいなやりとりになったこともありましたが。
でも、折角の才能も、残念ながら、成田空港に着陸した途端、ほとんど忘れてしまいましたから、海外に行く度にその繰り返しでした。
ぼけ防止のために、また外国語会話の勉強をしてみようかなと思う今日この頃です。