今朝の那須は、零下5度。
外は一面の霜で、見事に凍っていました。
12月の中旬でこの寒さ、那須に来てもう29年になりますが、覚えがありません。さて、続きです。
京子と神坂家一同、一応応接に案内されたものの、新も明子も、特に新は、神坂家の訪問を快くは思っていないことが明らかでしたから、京子が神坂家の3人を紹介した後、俊一郎から先制攻撃のような申し出をしました。
「今日伺ったのは他でもありません。お嬢さんを息子の婚約者、将来の妻として我が家に迎えたく思いましたから、息子ともども伺ったのです。」
明子は、娘が清輝と親しく、それだけの覚悟で神坂家に行ったことを聞いていましたし、夫と娘の間に何かあったことも感じていました。
ですから、友達の家に行くという口実で、今日泊まりがけで神坂家に行くことには同意したものの、まさか、その神坂家の方から早速挨拶に来ることになるとは思いもしませんでした。「今日伺ったのは他でもありません。お嬢さんを息子の婚約者、将来の妻として我が家に迎えたく思いましたから、息子ともども伺ったのです。」
明子は、娘が清輝と親しく、それだけの覚悟で神坂家に行ったことを聞いていましたし、夫と娘の間に何かあったことも感じていました。
まして新は、蚊帳の外に置かれていたわけで、俊一郎の言葉に顔色が変わりました。
「どういうことや。まだ高校生の娘を、どうしようというのや。」
おやおや、これは娘に変な執着を持っていそうだと感じた俊一郎、逆に微笑んで返しました。
「京子さんから、しばらく我が家に居させてもらいたいとの申し出を受けましたし、当人同士に確認したところ、結婚前提の交際を進めたいとの答えでしたから、私ども神坂家としては、将来の息子の嫁として、京子さんを迎えたいと思って挨拶に参ったわけです。清輝からも、ちゃんと挨拶しなさい。」
「神坂清輝です。お嬢さんの京子さんと、結婚前提のおつきあいをさせてください。」
清輝がきちっと申し出て頭を下げると、二人とも呆気にとられていました。
明子は、夫には詳しく話していなかったので、我に返ると慌てました。
「京子、もうそこまで話が進んだの。」
「俊一郎お父様と、清輝君の言ったとおりです。私は、最初から結婚前提の交際をお願いしました。そして、俊一郎お父様は、認めてくださいました。ですから、お父様とお母様と清輝の3人でご挨拶に見えたのです。」
京子が毅然と答えると、新が血相を変えて詰め寄りました。
「お前、男をたぶらかしたんか。」
京子に殴りかかりそうな勢いに、清輝が素早く新の前に立ちはだかりましたが、俊一郎は、からかうように言い返しました。
「おや、人聞きの悪いことを言わないでくださいよ。息子と京子さんは、高校生ですし、まだ清いおつきあいです。それから、今お話しましたように、京子さんには、私が今日確かめたのです。息子に望むことは何かと。それで、結婚前提の真面目な交際を望むと答えてくれましたし、息子も同じ答えでしたから、神坂家として、私が二人の思いを認めました。ですから、京子さんのご両親であるあなた方にまず筋を通しておこうと思って伺ったわけです。」
新、俊一郎の毅然とした態度に圧倒されたので、苦し紛れに聞き返した。
「あんた方は、まだ高校生の、若い二人が言い出した非常識を、真に受けて認めるんか。」
けんか腰の新を、俊一郎はいなしました。「神坂清輝です。お嬢さんの京子さんと、結婚前提のおつきあいをさせてください。」
清輝がきちっと申し出て頭を下げると、二人とも呆気にとられていました。
明子は、夫には詳しく話していなかったので、我に返ると慌てました。
「京子、もうそこまで話が進んだの。」
「俊一郎お父様と、清輝君の言ったとおりです。私は、最初から結婚前提の交際をお願いしました。そして、俊一郎お父様は、認めてくださいました。ですから、お父様とお母様と清輝の3人でご挨拶に見えたのです。」
京子が毅然と答えると、新が血相を変えて詰め寄りました。
「お前、男をたぶらかしたんか。」
京子に殴りかかりそうな勢いに、清輝が素早く新の前に立ちはだかりましたが、俊一郎は、からかうように言い返しました。
「おや、人聞きの悪いことを言わないでくださいよ。息子と京子さんは、高校生ですし、まだ清いおつきあいです。それから、今お話しましたように、京子さんには、私が今日確かめたのです。息子に望むことは何かと。それで、結婚前提の真面目な交際を望むと答えてくれましたし、息子も同じ答えでしたから、神坂家として、私が二人の思いを認めました。ですから、京子さんのご両親であるあなた方にまず筋を通しておこうと思って伺ったわけです。」
新、俊一郎の毅然とした態度に圧倒されたので、苦し紛れに聞き返した。
「あんた方は、まだ高校生の、若い二人が言い出した非常識を、真に受けて認めるんか。」
「おや、非常識でしょうか。確かにまだ若い二人ですが、息子はこのとおり、十人並み以上の容姿の持ち主だと思いますし、能力もあります。大変真面目な高校生ですし、京子さんは、息子の上を行く容姿の持ち主であり、真面目な、品行方正な高校生であり、その上、息子よりも成績優秀です。非の打ち所のない娘さんなのですから、息子と好きあっているのなら、神坂家としても、将来の息子の妻、娘として大歓迎なので、伺ったわけですが。」
新、凄んだら俊一郎が少しはびびるかと思っていたのだが、全くびびる様子はありませんし、妻の朋子も、微笑んだまま守るように京子を後ろから抱きかかえていますし、息子の清輝は、京子に指一本触れさせてなるものかと、何かあれば京子をかばう積もりで身構えていますし、この一家は普通じゃないと感じました。
「神坂さん、あんた、どんな稼業のお人なんや。」
「おやおや、稼業とは。私は、普通のサラリーマンですが。」
「普通のサラリーマンが、ベンツに乗れるんかいな。」
新、我が家の前に普通のサラリーマンが乗るとは思えないEクラスのベンツが止まったので、組関係と何かまずいことがあったのかとびびったら、降りてきたのが娘達だったのでどういうことかわからなくなっていたのです。
「一応、大手の化学メーカーである、大阪化学工業の本社研究室の課長ですから、普通のサラリーマンであることは確かですよ。車の方は趣味でしてね。自慢じゃありませんが、私、運転技術と感覚にかけてはメーカーのテストドライバー並なんですよ。自分の技術に応え、その上で感覚に一番優しい車がベンツだったわけで、この10年間乗り続けているのです。確かに、上司はいい顔しませんが。」
新、もう一つ更に不思議だったことを、単刀直入に聞いてみました。
「あんた、俺が凄んでもびびらん。何故や。」
俊一郎、にっこり微笑んで答えました。
「ああ、そちらはもっと簡単ですね。私の方が強いからです。」
俊一郎の言葉が嘘では無いことを、新は体で感じていました。
彼は、柔道と空手の有段者であるだけでなく、数々の修羅場をくぐってきた経験も持っていたのですが、俊一郎には勝てそうな気がしなかったのです。
「あんた、堅気やというけど、ほんまは恐ろしい人なんやないか。俺も、あんたには勝てる気せえへん。そんな奴に、娘を預けられるか。」
すると俊一郎、にやりと笑いました。新、凄んだら俊一郎が少しはびびるかと思っていたのだが、全くびびる様子はありませんし、妻の朋子も、微笑んだまま守るように京子を後ろから抱きかかえていますし、息子の清輝は、京子に指一本触れさせてなるものかと、何かあれば京子をかばう積もりで身構えていますし、この一家は普通じゃないと感じました。
「神坂さん、あんた、どんな稼業のお人なんや。」
「おやおや、稼業とは。私は、普通のサラリーマンですが。」
「普通のサラリーマンが、ベンツに乗れるんかいな。」
新、我が家の前に普通のサラリーマンが乗るとは思えないEクラスのベンツが止まったので、組関係と何かまずいことがあったのかとびびったら、降りてきたのが娘達だったのでどういうことかわからなくなっていたのです。
「一応、大手の化学メーカーである、大阪化学工業の本社研究室の課長ですから、普通のサラリーマンであることは確かですよ。車の方は趣味でしてね。自慢じゃありませんが、私、運転技術と感覚にかけてはメーカーのテストドライバー並なんですよ。自分の技術に応え、その上で感覚に一番優しい車がベンツだったわけで、この10年間乗り続けているのです。確かに、上司はいい顔しませんが。」
新、もう一つ更に不思議だったことを、単刀直入に聞いてみました。
「あんた、俺が凄んでもびびらん。何故や。」
俊一郎、にっこり微笑んで答えました。
「ああ、そちらはもっと簡単ですね。私の方が強いからです。」
俊一郎の言葉が嘘では無いことを、新は体で感じていました。
彼は、柔道と空手の有段者であるだけでなく、数々の修羅場をくぐってきた経験も持っていたのですが、俊一郎には勝てそうな気がしなかったのです。
「あんた、堅気やというけど、ほんまは恐ろしい人なんやないか。俺も、あんたには勝てる気せえへん。そんな奴に、娘を預けられるか。」
「あなた方に、本当にその言葉を言う資格がありますか。親としての責任を果たしていると言えますか。私は、正真正銘の堅気で、一流企業の課長です。息子の親として、京子さんを我が家に迎え入れることに賛成しましたから、その責任を果たすためにうかがったわけです。あなた方は、京子さんに対して親としての責任を果たしていると自信を持って言えるのですか。」
新、即座に言い返されるとは思っていなかったので、苦し紛れに自分の家業について答えました。
「俺か。稼業は、一言で言えば口入れ屋だ。はやりの言葉で言えば、イベントプロデューサーちゅう肩書きもあるが。そのことに文句あっか。」
実は京子、父の口から自分の仕事のことを初めて聞いたのです。
「あなたの稼業には文句はありません。京子さんを千里学園に通わせるだけの経済的な余裕もお持ちですから。文句があるのは、あなたがたが、本当に親としての責任を果たしているかどうかだけです。」
痛いところを突かれた新、開き直りました。
「育ててやったんや。他人のあんたに、どうこう文句を言われる筋合いはあらへん。」
今度は、俊一郎の方が大きな声で答えました。
「確かにそのとおりでもありますが、育てるだけなら、施設にだって出来ます。親としての責任とは、そんな小さな意味で言ったことではありません。京子さんを娘として迎えるからには、私たちも親としての責任を持ちます。だからこそ、こうして一家であなた方に会いに来た。そのような意味での責任だと言えばわかっていただけますか。」
新、俊一郎は自分が京子にしたことを見抜いているかのように話すので、混乱して苦し紛れに聞き返しました。
「あんた、俺が京子に何したか、知ってるんか。」
それでも、俊一郎は冷静に答えました。新、即座に言い返されるとは思っていなかったので、苦し紛れに自分の家業について答えました。
「俺か。稼業は、一言で言えば口入れ屋だ。はやりの言葉で言えば、イベントプロデューサーちゅう肩書きもあるが。そのことに文句あっか。」
実は京子、父の口から自分の仕事のことを初めて聞いたのです。
「あなたの稼業には文句はありません。京子さんを千里学園に通わせるだけの経済的な余裕もお持ちですから。文句があるのは、あなたがたが、本当に親としての責任を果たしているかどうかだけです。」
痛いところを突かれた新、開き直りました。
「育ててやったんや。他人のあんたに、どうこう文句を言われる筋合いはあらへん。」
今度は、俊一郎の方が大きな声で答えました。
「確かにそのとおりでもありますが、育てるだけなら、施設にだって出来ます。親としての責任とは、そんな小さな意味で言ったことではありません。京子さんを娘として迎えるからには、私たちも親としての責任を持ちます。だからこそ、こうして一家であなた方に会いに来た。そのような意味での責任だと言えばわかっていただけますか。」
新、俊一郎は自分が京子にしたことを見抜いているかのように話すので、混乱して苦し紛れに聞き返しました。
「あんた、俺が京子に何したか、知ってるんか。」
「知っていたらどうだと言うのです。あなたを訴えればよろしいのですか。私は、京子さんは、息子の嫁として望んでも得られないであろう素晴らしい女性であると認めたから、二人の交際も認めたのです。それだけで、あなたが京子さんに何をしたのかは一切聞いていませんし、何をしていようが気にはしません。息子も同じです。そのことは確約します。それで認めていただけますか。」
新、一流企業の課長にしては、自分のような柄の悪い人間を前にしても余りに堂々としている俊一郎を奇異に思って聞き返しました。
「あんた、ほんまに堅気なんか。俺には信じられん。確かに、あんたの言うように、俺より強いやろう。それも不思議や。」
俊一郎、これから先の話は、他の人間は知らない方がよいと思ったので、新だけを別室に誘って話をすることにしました。
「では、私は、秦野のお父様、あなたと二人だけでしばらくお話をさせていただきましょう。朋子、京子さんと清輝と一緒に、京子さんのお母様と話をしていてくれ。」
朋子は、微笑んで明子を促したので、彼女も従いました。
続く。
新、一流企業の課長にしては、自分のような柄の悪い人間を前にしても余りに堂々としている俊一郎を奇異に思って聞き返しました。
「あんた、ほんまに堅気なんか。俺には信じられん。確かに、あんたの言うように、俺より強いやろう。それも不思議や。」
俊一郎、これから先の話は、他の人間は知らない方がよいと思ったので、新だけを別室に誘って話をすることにしました。
「では、私は、秦野のお父様、あなたと二人だけでしばらくお話をさせていただきましょう。朋子、京子さんと清輝と一緒に、京子さんのお母様と話をしていてくれ。」
朋子は、微笑んで明子を促したので、彼女も従いました。
続く。

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