佐賀県鳥栖市での仕事を終え、今は博多のホテルにいます。
今回の大震災では、安全について、いろいろ考えさせられました。

例えば、津波について、どこまでが安全なのか、今回の津波は、従来の想定をことごとく覆すものだったのです。
想定外の一言で済ますのは簡単ですが、ではどうするか、は難しい問題です。
正直な話、今回の規模の津波に対抗するスーパー防潮堤は、非現実的です。
事業仕分けチームが、何百年もかかると揶揄したこと自体は間違いでは無いと思います。
同様に、津波に耐えうる住宅も、非現実的です。
津波の威力は、防波堤すら根こそぎ破壊したほどのものがあったわけで、確かに鉄骨コンクリート造の住宅の一部には残ったものもありましたが、それだって、逆にそのまま内部にいたら無事では済まないのですから、むしろ変に安全性の期待を持たせる方が危険でしょう。
ですから私は、いざと言うときに絶対に安全な場所を確保し、その場所に早急に逃げることができる手段も確保できるなら、普段は今までどおりに海辺近くで暮らすことも考えてよいと思います。

先んじて巨大津波に襲われたインドネシアも、海辺に従来通りに住宅を再建しており、津波が来たら避難できる1階部分が柱のみのコンクリートの避難施設を海辺に建設していますから、私と同様の考え方によるものと思われます。

水害にしても同様です。
ダム建設において、90年に一度の集中豪雨を想定していることが無駄だと、現政権は問題視していましたが、平成10年8月の那須水害時の降雨などは、1日雨量607ミリ、5日間で1200ミリ超の数値は、確率的に言えば、4千年に一度と言われるほどのものだったのです。
それでなくとも、地球温暖化の影響か、近年の水害は、90年に一度の想定を上回るレベルのものが散見されているのですから、事業仕分けの対象にすること自体が間違いだと思います。
例えばマニフェストの目玉にした八ッ場ダム、現在吾妻川水系には水害対策に使えるダムが一つもないのですから、将来、あの時八ッ場ダムを造って置けばよかったと後悔することになるのではないかと、私は心配しています。

原発問題も、どうも日本人は神経質に過ぎるように思います。
現在の原発30キロ圏内の数値、本当に危険なレベルなのか、私は疑わしいと思っています。
そもそも、放射線はどのような働きがあるのか、ネガティブ面ばかりを報道しているマスコミの姿勢にも疑問があります。
放射線については、癌治療にも使われていますし、照射することにより、分子構造を強化する働きも持っているのです。
原爆問題についても、第二次大戦時、日本にも理化学研究所の仁科芳雄博士を中心とした原爆製造チームが存在していたのです。(仁科博士自身は、原子力の軍事利用には否定的だったそうですが。)
マンハッタン計画(アメリカの原爆製造計画の名称)を推進しながらも、日本の動きに危機感を持ったアメリカは、東京の理化学研究所を空襲することによって濃縮ウラン製造装置を破壊し、日本の原爆製造計画を挫折させたのですが、その事実を知っている日本人が少ないことも不思議です。
私自身は、この事実を、青少年向けの科学雑誌により、10歳の時には既に知っていました。
ちなみに、その科学雑誌では、1960年台後半には既にアスベストの発癌性についても紹介しており、欧米では使用を禁止したとまで書かれていたのに、日本が禁止したのは30年以上後の2006年でした。

これらの問題に共通するのは、物事の表裏をきちんと教育していないことです。
原発が、絶対安全なんてことはあり得ません。
大量のエナジーを作り出す事ができること自体、そのエナジーの向く方向が変われば大量破壊兵器である原爆と同じであり、絶対安全はあり得ないのです。
いや、原発に限らず、あらゆる物事に対して、絶対安全なんてことはありえないのです。
プラス、マイナス、メリット、デメリット両面があることを正確に知らせ、その上でプラスの面、メリットの面を選択している、いや、現在の日本のエナジー政策上、選択せざるを得なかったと何故正直にかつ積極的に知らせなかったのか、教育しなかったのか、それが問題であると思います。
背景には、日本には広島、長崎、の原爆による原子力アレルギーがあったこともわかりますが、危険性について隠したことで、今回の原発問題を更に難しくしたように感じられます。
福島原発、最初に爆発した時点で、大量の放射性物質が放出されたにもかかわらず、原子炉は無事だ、核物質は放出されていないと大嘘ついたのですから、国内だけでなく、国際的な批判が集中したのは当然です。

実際、爆発の直後、福島原発周辺では、100ミリシーベルトを超える放射線濃度が観測され、驚いた地域の消防本部が、周辺市町村に対して避難を指示し、それで慌てて避難したのが事実であり、国の避難指示とか屋内退避命令なんてものはその後であったということも、報道されていません。
私が話を聞いた地元自治体の関係者は、避難指示や屋内退避については、集団で郡山に避難した後で初めて聞いたもので、国の言うことは信じられないと憤慨していました。

教育は大切です。
でも、偏った教育は危険です。
特に安全問題については、事実とともに、プラス、マイナス、両面に触れた教育を施す必要性を感じました。
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