『怒り』CINEMA REVIEW~愛した人は殺人犯なのか? それでも、あなたを信じたい。 | 『にゃんころがり新聞』

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本記事執筆者/いっせ


STORY(物語の結末・核心に触れない程度のネタバレあり)

 ある夏の暑い日、八王子で夫婦殺人事件が起こります。窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、「怒」の血文字が残されています。犯人は全国で指名手配されますが、顔を整形し逃亡を続けています。
 事件から1年後、その行方は未だに知れません。
そんな中、千葉、東京、沖縄に、素性の知れない3人の男が現れます・・・・・・

REVIEW
非常に魅入ってしまう142分の長編映画でした。
 原作は市橋達也氏を元ネタにしており、顔を整形しながらも日常に潜む殺人鬼の、素性の知れない怖さや、日常に溶け込んでいる不気味さを上手く表現していると感じました。
この物語の核は、『自分の本当に大切な人が"全国指名手配されている殺人鬼にそっくり"だと知った時、あなたはその人を信じられるか』という、愛と信じる心というテーマがあるんじゃないかと感じました。
 物語的には、3人のうち誰が犯人なんだろう…!?
というエンターテイメント性もあり、それだけで楽しめる内容になっています。

3人の謎の人物は、綾野剛、森山未來、松山ケンイチが演じており、よく考えたらこの配役にも納得。(みんな一重で塩顔で、顔の系統がそっくり!)
だからこそ、最後まで誰が犯人かわからないようになっている。この「犯人なのか!?」という見せ方、カメラアングルに好意的な苛立ちを感じつつ、物語にのめり込んでしまう自分がいました。

 指名手配されている殺人鬼の話と聞くと、なんだかおどろおどろしい話かと思われるのですが、先ほどお話をした『愛』と『信じる心』が、この物語・映画の本当のテーマだと思います。
 「自分の愛する人が殺人鬼の疑いをかけられたら、それでもあなたは信じることができますか?」
という質問を終始投げかけられているような、そんな重くも人間の核心に近いテーマを、推理系のエンターテイメント性も交えつつ見せてくれる傑作でした!!

☆見どころ
 ・綾野剛と妻夫木聡のゲイカップルっぷりが光る体当たり演技

・久々スクリーンデビューの森山未來と、清純派女優広瀬すずの迫真の演技

・最後まで誰が犯人なのかわからない苛立ちすら感じる演出

 特に沖縄編は、恋愛要素もあり、推理要素もあり、様々な出来事が巻き起こるストーリーなので、沖縄編だけで1本の映画として見たいくらいの盛り上がりがあります。沖縄の米軍問題にもサラッと触れていたりして、社会性もチラッと感じられるストーリー。
 千葉編は、圧巻の渡辺謙の演技が光っています。

主演扱いされていますが、実際にはそこまでたくさん出てくるわけではありません。
しかし、渡辺謙のすべてを受け入れ、包み込むかのような演技力は必見です。
 東京編では、アングラなゲイの世界を妻夫木聡と綾野剛が見せてくれています。実際に演技するにあたり、2人で風呂に入ったり生活をともにしたりといった役作りも行う徹底っぷりがよく現れているなぁといった感じでした。

2度目に見ると、また違った視点で楽しめるのではないでしょうか!
総評して、とても評価の高い傑作です!!
 

 

 
いっせの評価↑




『怒り』の原作は、小説家・吉田修一の同名小説
映画『怒り』は、2016年9月に公開の日本映画。
監督/李相日。
主演/渡辺謙。
音楽/坂本龍一。



 
本記事執筆者/いっせ




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