「黄金の庭」高橋陽子
2012年度のすばる文学賞受賞作です。今月号の「すばる」に受賞作が掲載されています。
あらすじにまとめるのは、難しいのですが、だいたいこんな感じです。
黄金(おうごん)町という町を舞台に物語ははじまります。
青菜ちゃんという既婚の女性が主人公です。
黄金町には、いろんな人が住んでいます。
人にイタズラをせずにはいられないアーちゃん。何でも屋のような仕事をしている千ちゃん。
青菜ちゃんは、夫と一緒にこの町に引っ越して来たのですが、だんだんとこの町の人間関係というものがわかってきます。
そして、ある日、青菜ちゃんは、この町にある昔話が言い伝えられていることを知ります。それによると、昔、阿子童子という捨て子がいて、悪さをして町の人が困った。そこで、お坊さんにどうしたらいいか町の人が頼むと、お坊さんは、童子にありがたい説教をして、それ以後、童子は改心して、お坊さんを実の父親のように慕った、と。
しかし、ある時、疫病がひろまって、お坊さんが龍神に、自分の命と引き換えに疫病をおさめてほしいと頼んだ。それを聞いた童子は、お坊さんの代わりに龍神に自分の命を差し出して、疫病の蔓延を防いだ・・・。
そして、アーちゃんというイタズラばかりする少年が、実はその昔話の阿子童子の生まれ変わりだと町では信じられているのです。
やがて、千ちゃんが昔、アーちゃんだったことが分かります。黄金町には、代々、少年のアーちゃんが登場するのです。青菜ちゃんは、千ちゃんの魅力に傾きかける自分に気付きます。夫のことは愛していますが、ある日、千ちゃんにキスをされたことで、千ちゃんに対する気持ちは徐々に変化していきます……。
*
ほのぼのした文体で、最後まで楽しんで読ませてくれます。
展開も強引さがなく、物語の醍醐味というか、読むほどに物語のおもしろさが展開されていきます。
星は2つで。
☆☆

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