『愛人』マルグリット・デュラス・・・82点
文庫の裏に「自伝的小説」とあります。内容的に、私小説といっていいのだろうと思いました。
散文であるが、文章は詩的な言葉で綴られています。
過去の出来事はすぐそばで手にとることができるかのように煌めき、また霞んでいる。
時間の扱い方が、特殊です。
小説内の言葉を使うとイマージュ(映像)として過去の出来事を思い出しているためなのでしょうか、順序通りに思い出さずに、行ったり来たりするかのように回想しています。
文庫版の解説も何も読まずにこの文章を書いているので、82点では点数が低いかもしれませんが、私の思ったとおりの感想を書いてみました。他の人の書いた解説の引き写しでは単なる真似になってしまいますし、この文章を読んでおられる方はそんな真似事の文章より私が思った通りの率直な感想を望んでいるでしょうし。
私がもっとこの作品を理解していれば82点にはならなかったかもしれませんし、私の理解度が82しかなかったということかもしれません。まだ一回しか読んでいないので、もう一度読めばもっと味わい深さが出てくるかもしれません。
でもこういう体験は若い頃は出版しずらいでしょうし、老年期でないと書きづらかったのでしょうね。そういう意味では禁断の書です。
でも今からすれば、フランス人と中国人の恋なんて別に禁断でも何でもないですけど。
叶わぬ恋を描いた小説というところでしょうか。
<あらすじ>
フランス人の女の子である私が、植民地のインドシナで、金持ちの中国人と愛し合った日々をデュラスが五十年経ったあとに回想している。
白人のフランス人が金のために土地の富豪の中国人と寝る。