2gether ~恋する気持ち③(SaraTine)二次創作小説~
最終話
自宅に戻ると、二人でベットに腰掛ける。
何も言わずに。
Watは、静かに床を見つめている。
「あの、Wat・・・・・ごめん。」
そっとWatの腕に触れると、触れた手を反対の手で包まれた。
ぎゅっと力を入れて握られると少しだけ痛い。
「不安だった。」
大きくて綺麗な目が、俺を捕らえる。
「お前がいなくなったらどうしようって。
不安だった。
良いか、Tine。
不安なのはお前だけじゃない。
俺だって不安なんだ。
お前が居なくなっちゃうんじゃないかって。
誰かに・・・・・・取られるんじゃないかって。
もしそうだとしても、俺は笑って祝福なんてできない。」
じっと見つめる瞳は、嘘偽りなく澄みきっていた。
「Wat・・・・ごめん。
俺、本当に自信がなくて。
だけど、俺だって、もしかしたらWatを喜ばせることできるかなって思ったんだ。
だから、バイトをして、新しいギターをプレゼントしようと思って。
それくらいしか、できないから・・・・・」
せっかく始めたバイトも、これで首になるかもしれないけど・・・。
Watは、大きな目をさらに大きく開いて俺を見る。
そして、ゆっくりと包みこんだ。
「お前は・・・・・最高だな。愛してる」
Watの温もりに包まれると、安心する。
「でも、俺はTineが欲しい。」
耳元で囁かれると、背中に電気が走る。
指でそっと髪をすかれる。
「Wat!!!」
心臓が壊れそうなくらいに動いている。
「だめ?」
首を傾げるWatはズルイ。
そんな顔をされると、断れない。
「あー・・・・・・Wat・・・・・。
あの、俺、おかしいんだ。
病気かもしれなくて・・・・・」
俺の不安要素。
大切な恋人だからこそ、ちゃんと言わないといけない。
さっとWatの表情が曇る。
「俺、あの・・・息が苦しいんだ。
なんか、モゾモゾする。
大声で叫びたくなるし、イライラしたり、嬉しくなったり。
心臓が、こう、ドキドキして壊れそうになるんだ。
これって、何かの病気かもしれない。」
最近ずっと不安だったこと。
こんな甘ったれなWatを置いて、どこにも行けない。
泣きそうな俺を余所に、Watがぷっと吹きだした。
「なんだよ。真剣に話ししてるのに」
俺が具合悪いのが、Watには楽しいんだろうか。
Watが優しい眼差しで俺を見る。
「その、苦しいのってどんな時になるの?」
優しく頭を撫でられる。
心臓が痛い・・・・・・・
「今!今みたいな時」
この動機の激しさは、やはりどこか悪いのかもしれない。
「じゃぁ、こうしたら?」
ニヤリとWatが笑ったかと思うと、俺の唇に温もりが重なる。
キスしているのだと認識した途端に、苦しくて泣きたくなった。
Watがゆっくりと離れる。
「どう?」
真っ直ぐに俺を見つめるWat。
それに比べて俺は、動揺して目が泳いでしまう。
「すごい・・・苦しい。」
なんなんだろう。
よく考えたら・・・俺の病気は、キスなんかしてWatには移らないんだろうか。
「じゃあ、Fongといるときは?」
なんでここでFongが出てくるんだ。
俺は動揺を隠せないまま「苦しくない」と答えた。
Sarawatが、ふわりと俺を包み込んだ。
「Tine。それは、大変な病気だ。
あと、俺もその病気にかかってる」
首筋に顔を埋められて、くすぐったさに身をよじる。
なに?
どういう事?
「やっぱり移るやつだった?
ごめん、俺のせい」
心臓がドキドキする。
明日にでも病院に行ったほうが良いんだろうか。
「よく聴いて、Tine。
それは、恋って病気だよ」
Sarawatの優しい声音と、首を傾げる俺。
「お前、冗談言ってる場合じゃないんだよ。
俺だって、今までに恋したことくらい・・・・・」
違う。
俺は、今まで恋なんてしてない。
恋をしてる自分を楽しんでいただけだ。
今まで、こんなに好きになった人なんていなかった。
好きの数だけ苦しくなる。
苦しい以上に好きになる。
独占欲が渦巻いて、愛おしさに溢れて、自己嫌悪して、幸せに満ち足りて。
毎日ジェットコースターみたいに激しい感情の変化がある。
苦しくて逃げ出したいのに、それ以上に一緒にいたいって思う。
「俺はね、Tine。
毎日苦しいよ。
お前を誰の目にも触れさせたくなくて。
この部屋に閉じ込めて、ずっと俺だけのものでいて欲しいって。
一瞬でもお前と目が合う人には嫉妬する。
お前と同じ空気を吸っている人に嫉妬するんだよ。
お前が俺だけのものでいて欲しいって。
毎日苦しい。
だけどそれ以上に、昨日よりもお前を好きになる。
毎日、過去の好きを超えていく。
恋って病気にかかってるのは、俺も同じだ」
今にも泣きそうな顔でWatが話すから、つられて泣きそうになる。
Watも同じ気持ちでいてくれたなんて。
そっとWatの頬に触れる。
心臓が壊れそうなくらい激しく動いている。
これが、Watを好きってこと。
「あと、Tine。
あの場所にいたファンの子には、きちんと説明したから。
俺が誰を愛しているのか。
誰を大切にしているのか。
泣いている子もいたけど、でもみんなお前を羨んだりしないと思う、
俺を好きなら、俺の好きな人を傷つけないでくれって。
・・・・・ごめん。ファンの子たちに気をつかったわけじゃないんだ。
俺にとって、Tine以外はどうでもいいから。
みんなが写真撮ったりしていても、俺にはTine以外はどうでもいいんだ。
その結果がお前を傷つけた。
ごめん・・・・・・ごめん・・・・・・・」
涙を目に溜めて話すWatは、いつもよりもとても小さく見えた。
Watが俺を傷つけたことを、死ぬほど後悔しているのが伝わってくる。
「俺こそ・・・・・・ごめん。
お前に・・・・・その・・・・・ファンの子に辛くさせて。」
Watを独占したいのは、俺のワガママなのに。
その、ワガママのせいでたくさんの人を傷つけた。
ダメだ、涙が出てくる。
「Tine、泣かないで。
どうしたらいいか、分からなくなる。」
Watが優しく目頭にキスを落とす。
「Wat・・・・・・俺、ごめん。
こういうの、初めてで。
こんなに誰かを好きになったの、初めてで。
どうやっているのが正解かわからない。
でも・・・・・えっと・・・・・・好きだよ。
今までも、これからも。」
恥ずかしくて死にそうだから、これくらいで勘弁して欲しい。
心臓が狂ったように暴れている。
真っ直ぐ俺を見るWatの瞳を見ているだけで、胸が苦しい。
「Tine。俺はTine以外何もいらない。
もっと俺を感じて。
もっとそばにいて。
俺の中にお前を閉じ込められればいいのに。
可愛いTine。
愛してる。」
何度も繰り返すキスで、Watの愛情が流れ込んでくる。
苦しくて、切なくて、愛おしくて、優しい。
一緒にいたいのに、一緒にいると苦しくなる。
離れると、寂しくて正気じゃいられなくなる。
激しい恋に、平穏を保てない。
些細なことでヤキモチを妬くし、小さな温もりで幸せになる。
自分たちでも持て余しそうなこの気持ちの名前を僕は教えてもらった。
誰よりも大切な人に。
これが恋する気持ちだと言うことを・・・・・。
Fin
あとがきへ→
みなさん、最後まで読んでくださってありがとうございました。
タイ沼にはまり込んだら、あっという間でした。
湖とかじゃなくて、沼という表現がよくわかりました。
特に、今回の2getherは私にとってすごい影響を受けた、そんな出逢いになりました。
これで終わり、かというと。
もし反響がありましたら、この後のイチャイチャタイムを書こうかなと思っているんですけど、
ここで終わった方がいいのか迷っています。
いいねの数が多かったら、書いてみようかなと思います。
ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。
これからも、Sarawat、Tine、Bright、Winを大好きでいたいと思います。
いいね、コメント、メッセージ、フォローなどで気軽にお話をしていただけると
とても嬉しいです。
周りに話ができる友達がいないので。
宜しくお願いします。