まるがお疲れだ…。
私の前を思わせ振りに素通りする。構ってほしいのに『私別に寂しくないし~。全然平気だしぃ~。』なオーラ全開。
行く手を遮りぶりぶり触ってやると、諦めたような、仕方ないような素振りでデロリンと長く伸びる。
胡桃がいるとお姉ちゃんぶって虚勢を張る姿がどことなく人間くさい。
そんな時は飲み屋のママに変身~
『あ~ら、社長なんだか冴えないのねぇ。そんな時はこ・れ』と、おやつ皿に魔法のパウダーを注ぐ。まるの目に光が宿る。
『おお、ちょうど飲みたい気分だったのだよ』と言ったかどうか定かではないが、一心にパウダーを舐めとるまる。
香りが寝ていた胡桃の鼻腔を擽る。ガバと起きて『なに?ちょれ~?』と歩みよる。
『あらあら、胡桃の嬢ちゃんにはまだ早いわよ』と言ったが聞きやしない。まるがほとんど舐めてしまった皿に顔を突っ込み、残っていたパウダーを舐めてみた。
まるでグルメ漫画のように一口食べると閃光が走り、目が白目になるほどのカルチャーショックを受けた胡桃は、まると争うように皿を舐めだした。
先にほろ酔いになっちゃったまる社長が、部下のちっちゃい頭を舐めてやってる。舐めて舐められ、胡桃にも酔いが回る。
『姐さん、これ何でちゅか!胡桃はなんだか気持ちよくなってきまちた!』
『これかい?これはまたたびさね。たまに配給される極上品だよ』
『またたび!ちゅてきな響き、またたび!胡桃は忘れまちぇん!極上品なんでちゅね!!』
二匹は酔いも手伝いペロペロ舐め合い。ママは手の平で二匹を転がしご満悦。
しかし長くは続かない。悪酔いに若さも手伝い、胡桃は優しく舐めてくれている社長であり、姐さんであるまるの首に食らいつく。
酔いが既に覚めたまるは酔っ払い部下に牽制を加えるも、子猫の大虎には無力で、しつこい絡みに退散。
ママは残った大虎胡桃に『お客さん、もう閉店だよ』と促したが聞く耳を持たず、おやつ皿を小道具に花笠音頭を踊り出す始末。
仕方がないので酔いが覚めるまで店で介抱し、頃合いを見て代行でケージに送ることにした。
それそれ、ヨイヨイと宴会は続き、胡桃は小道具を上手いこと操り、宴会は暫く続いたのであった…。
『あの、またたびでちゅか?極上品でちゅね。ママの店で胡桃にも個別に振る舞ってもらえるよう、胡桃は姐さんの元でビッグになりまちゅ!!!』